息子へ。東北からの手紙(2015年12月20日)幸せになるために生まれてきた iRyota25 2015.12.22 6 2,243 0 いちばん海に近い蔭磯橋の架け替え工事が始まっている。 もともと蔭磯橋が架かる河口あたりは、山と海からの砂が堆積して天井川みたいになっていて、北町から橋へ向かう道はゆるやかな上り傾斜だった。つまり橋の方が町より高かった。だもんだから、蔭磯橋が津波に呑み込まれ
息子へ。東北からの手紙(2013年10月17日)ボールをまわす iRyota25 2014.10.17 5 1,620 0 何もしないでいると、だんだんそのことから気持ちが離れていく。自分に何ができるだろうかと問いかけて、何もできないやと心の中で小さくつぶやくと、そのことに対する意識がだんだん薄らいでいく。そして、同時に自分自身までもが希薄になっていくような気がする。 東北のこ
息子へ。東北からの手紙(2014年8月15日) iRyota25 2014.08.15 4 1,701 0 会社の夏季休暇を使って東北に行って、知り合いの人たちと話したことをいくつか。 かさ上げ工事が始まった町で かさ上げ工事が始まって、その準備のためにこれまで残っていたコンクリート基礎が撤去されて、整地されていく津波被害地を前にして、 「やっと始まったよね。町が
息子へ。東北からの手紙(2014年1月1日) iRyota25 2014.01.09 4 1,723 0 岩手県の沿岸部を走るたび、釜石湾内の半島から東の海を見ていらっしゃる釜石大観音に立ち寄りたいと思っていた。だから初詣では迷うことなく観音様に決めた。 駐車場から見上げると、高台に立たれた観音様はかなりのスケール感。高さは48.5メートルということだから自由の女
息子へ。東北の「夏休みの友」 iRyota25 2013.08.29 3 3,144 0 久之浜・浜風商店街の駄菓子屋さん、あかもの屋さんの店頭に、たくさんの小学生たちの姿があった。まさに「引きも切らずやってくる」ってそんな感じ。 「夏休みだから?」と尋ねると、 「いえもう夏休みは終わりました」と律儀な言葉が返ってきた。 そっか、夏休みの宿題も終
息子へ。東北からの手紙(2015年9月19日)「元気そうに見えても体の中はボロボロなのよ」 iRyota25 2015.09.25 3 1,994 0 かさ上げ工事が進む陸前高田の高台にある県立高田高校。甲子園の出場経験もある名門校のグラウンドには、震災後、仮設住宅が立ち並んでいる。 お昼前、グラウンドにチャイムのような音楽が大きく鳴り響いた。近くのスーパーの移動販売車の到着を知らせる音楽だった。トラック
息子へ。東北からの手紙(2014年2月23日) iRyota25 2014.02.27 3 2,266 0 「オレはさ、現場監督みたいなもんだから。ボランティアセンターに来てくれた人たちの中からチームを組んで、依頼主さんのところに行って、皆さんに作業してもらっているわけだからさ。ま、ほんとに現場監督みたいなもんだね」 ITさんからそんな話を聞いたのは、前日土曜日の
息子へ。東北からの手紙(2013年12月25日) iRyota25 2014.01.15 3 1,767 0 (クリスマスのプレゼントということで) 「また東北に行くんだ。大変だね」なんて言われると、けっこうムカついていた。中には「今度は岩手に行くのか。じゃあ女川の様子を教えてね」なんて、トンチンカンなことを言ってくる人もいて返す言葉に窮することもあった。(もちろ
息子へ。東北からの手紙(2014年12月20日)陸前高田で聞いたこと iRyota25 2014.12.26 3 2,157 0 短い話だからちょっと聞いてほしい。 陸前高田で「傾聴ボランティア」という活動をしている人から聞いた話。傾聴ボランティアというのは、仮設住宅などを訪ねて、そこで暮らしている人からいろいろな話を聞くというボランティア。 被災地の人たちには、地元の人には「近すぎて
息子へ。東北からの手紙(2013年11月11日)この11日という日に iRyota25 2014.11.11 3 1,627 0 自己表現という言葉のウソ だれが言い始めた言葉なのか、絵を描いたり、歌をうたったり、ダンスをしたりすることを自己表現という人が多い。自分も、何も考えずにそう思ったりしていたけどね。 でもそれは絶対に違うと、確信を持って最近は思うようになった。たぶん、自己表現
息子へ。東北からの手紙(2013年8月30日) iRyota25 2013.09.10 3 1,963 0 石巻市・蛤浜のCAFEはまぐり堂で 牡鹿半島の付け根にある小さな「浜」、蛤浜(はまぐり)で杉林の枝打ちボランティアに参加した後、おしゃれなCAFE・はまぐり堂で美味しいお昼ごはんをいただいた(もちろん自費ですよ)。 その経験自体とても貴重なものだった。もう少し詳しく
息子へ。東北からの手紙(2015年9月20日)自分に突き付けられた「風化」 iRyota25 2015.09.24 3 1,938 0 9月20日の日曜日、陸前高田市の海沿いの高台にある仮設住宅に行くと、集会所はチリ中部沖地震の津波注意報と土曜日未明の大雨警報の話題で持ちきりだった。津波注意報や大雨警報が解除されて1日以上たっているのにだ。 「津波注意報は解除されるまで長かったねえ」 「まる1日
息子へ。東北からの手紙(2014年5月6日) iRyota25 2014.05.30 3 2,177 0 寄り添う、という言葉を安易に使うことなどできない 春も終盤に近づいたある日、ひとつの記事に出会った。そこには記者として彼女が陸前高田で経験したというこんな言葉が綴られていた。 私は「娘さん」という言葉も、「市民会館」という単語も口に出すことが、どうしてもでき
銀河鉄道の夜と銀座の夜 iRyota25 2014.07.11 3 1,912 2 息子へ。東北からの手紙(2014年7月5日) 6月半ばの夜以来、ほぼ連夜参加している人もいるらしい。父さんは今年2回さ。伊豆から電車に乗って東京の銀座へ。新幹線が発達したこんにちでは、仙台あたりの人が東京に来るのと大して変わらないくらいの、ちょっとした小旅行。 だ
息子へ。東北からの手紙(2014年2月22日) iRyota25 2014.02.26 3 2,043 0 ウィークデーの火曜日、金曜日に引き続き、土日も静岡県小山町須走地区の除雪ボランティアに参加してきた。 とにかくもう、 土日のボランティアでチームを組んだメンツのすごかったことといったら! 亘理で活動しているロシナンテス関係者のDoさんは、いまでも毎月、旧警戒区
息子へ。被災地からの手紙「神戸の人たちの津波への危機感」 iRyota25 2016.06.02 3 6,159 0 避難誘導看板の周りが暗く見えるのは、ライト内蔵の電飾表示が明るいから。この誘導看板が設置されているのは神戸の中心街、元町のアーケードの天井だ。 アーケード街全体が見えるように撮った写真を補正してみたものの、ライト入りの誘導看板は白く飛んでしまった。それだけ
息子へ。東北からの手紙(2013年8月29日) iRyota25 2013.09.18 2 2,133 0 夏休みも最終盤! 石巻市門脇(かどのわき)の「がんばろう!石巻」の看板で また会ってしまった。 「がんばろう!石巻」の看板を設置した黒澤さんに。看板が設置されたあの場所で。 石巻の知り合いの中には、「せめて電話くらいしてから来なさい」とニコニコ笑顔でたしなめて
息子へ。東北からの手紙(2014年6月24日) iRyota25 2014.06.24 2 2,079 1 津波を生き延びた庭木をレスキューできないか 「町ではかさ上げの工事が始まっているでしょ。そうするとね、敷地の中に残って立っていた木は撤去されてしまうんです」 お前さんを先に帰したゴールデンウィークの東北旅行の後半、いわき市久之浜で懇意にさせていただいている神
缶ビール飲みほしたら、広がる空に桜満開(東北からの手紙) iRyota25 2014.03.31 2 1,975 0 息子へ。東北からの手紙(2014年3月29日) ゴクゴクゴク。缶ビールを飲みほす。だんだん視界が空に向かって開けていって、目の前には青空と咲いたばかりの桜。風の香りが心地よい。 とても風が強かった3月29日、沼津の海辺近くへバーベキューをしに行った。「あったかい静岡で
息子へ。東北からの手紙(2014年9月11日) iRyota25 2014.09.11 2 1,794 0 上空を何機ものヘリコプターが飛ぶ。水に浸かった町には独特のにおいが立ち込めている。通勤するためには膝より深い水の中を歩かなければならない。冠水した商店街では泥水に汚れた店の掃除が始まる。集中豪雨被害を受けた石巻市は、震災3年半となる9月11日の朝を「あの日」を
息子へ。東北からの手紙(2014年6月11日) iRyota25 2014.06.12 2 1,607 0 今日は11日。あれから3年3カ月 祈るしかできないから、祈ります。 あれから3年の時間が流れ、さらに3カ月がたった日。ブログやフェイスブックにはたくさんのコメントが上げられていた。 自分のことみたいにうれしかったひとつがこの記事。がんばろう石巻の会さんの記事。 6月7
目の前にあって、手で持っているからコントロールできる iRyota25 2014.04.11 2 1,494 0 息子へ。東北からの手紙(2014年4月11日) 桜の花びらが散っていく中、今週から朝の電車に新1年生(高校1年生)が増えた。 それにしても、どうして新1年生って一目で分かるんだろう。ピカピカの制服、同じ電車に乗ることになったクラスメートとのお喋りの微妙な距離感とかもそ
息子へ。東北からの手紙(2013年10月23日)中越地震から10年 iRyota25 2014.10.24 2 2,204 0 中越地震から10年。ネットでは「亡くなられた68人の方のご冥福を祈ります」というコメントがたくさん発信されていた。 宮城県石巻市にある「がんばろう!石巻」看板の黒澤さんは、この日、次の短いコメントを上げた。 「石巻でもあっという間に10年がたつのかな。」 震災から
息子への手紙(2015年11月6日)北九州、高齢化の町の将来 iRyota25 2015.11.07 2 2,212 0 今日は「東北からの手紙」ではなく、福岡県北九州市からの手紙だ。 アドベンチャーみたいな交通事情 レンタカーを借りて小倉(おぐらではなく「こくら」)の町を久しぶりに走って、今回気づいて驚いたことがあった。かつて北九州というと、自動車運転のマナーが悪いことでは全
息子へ。東北からの手紙(2013年12月1日)防災のキモ? iRyota25 2013.12.04 1 2,171 0 静岡県で防災訓練。東北の人たちの話を思い出した。 訓練ならではのダラケはあるが、けっこう実践的 12月1日、市の防災訓練があった。9月1日の防災訓練は避難訓練が中心だったが、今回は自主的な防災について体験したり考えたりすることを主眼においての訓練だった。 まずは町