息子へ。東北からの手紙(2014年2月22日)

iRyota25

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ウィークデーの火曜日、金曜日に引き続き、土日も静岡県小山町須走地区の除雪ボランティアに参加してきた。

とにかくもう、
土日のボランティアでチームを組んだメンツのすごかったことといったら!

亘理で活動しているロシナンテス関係者のDoさんは、いまでも毎月、旧警戒区域や宮城県でボランティア活動を続けている人で、もうそれはそれはボランティアのプロみたいな方だということは知っていた。だから同行させてもらったのだけれど、ボラセンに到着するなり、現地にいたITさんという人から「特別チームを編成するから」って話になって招集されたメンバーというのがまたすごかった。

最初に入った現場は、民家から路地を入ったところにスナックがあって、そのさらに奥にもう1軒民家があって、屋根から落ちてきた雪も含めて2メートルをはるかに超える雪に埋もれた場所に歩行路を確保するというニーズ。

初見でのぱっと見では、半日で終了するなんて無理、ぜったい不可能、という感じだった。雪の深さもさることながら、かいた雪を捨てる場所がまったくない。すでに積もっている場所を掘り起こして潰して、雪捨てスペースを作るか、民家と民家の間の50センチ幅ほどの場所にできるだけ積み上げて行くか。高さ2メートル、距離10メートルほどの歩行スペースの雪を積めるかどうかなど、やってみなければ分からないが、やる前からほぼ絶望。いよいよダメなら軽トラに積んでの搬出まで考えた上で取りかかったのだった。

ところがーー。

作業を始めて30分とちょっとでとりあえず通路が貫通する。休憩を入れて作業再開して、道幅を広げ、軒先の危ない雪を落とし、足下の雪をかき削って、実働時間としては1時間とちょっとくらいで作業は完了してしまった。さすが東北や大島でボランティアを続けてきた猛者揃い。

「早すぎるよ!」

ボランティア参加者が口々に言う。そう言って笑っているみんなの肩や背中からは湯気があがっている。おれは疲労困憊気味だったけど、みんなが「早すぎ!」「このチームは何もの!」なんて笑いながら話しているのにつられて、こっちまで楽しくなってくる。

ボランティア作業は、午前1件、午後1件で組むことが多いのに、午前の最初の現場を終えたのは、時計の短い針がまだ10時と11時の中間あたりにある頃だった。

次の現場もまあ似たようなもの。オプションで追加されたパジェロの走路確保なんて、「四駆なんだからこれくらいの雪、自走しろ」なんて言い合いながら、人手が余ってしまったものだから、要請のなかった向いの家の通路まで開削して、それでも30分ほどで片付けた。

午後のメインディッシュとなるはずだった場所。左右に家が3軒ずつ並んだ間の通路にクルマが出入りできるようにというニーズも、高さ1メートル以上の雪をどうするかなんて相談ながらも、まあやってみるかって感じでがんがん進めて、2時間ほどで終わらせてしまった。

「このチームおかしいよ」「早すぎる」みんなが口々に言う。

「あー、現役自衛官がいるからさ、ペースが早くなるんだな」なんて、このチームに加わっている幹部自衛官のIkさんがやり玉に挙げられるが、彼自身はみんなが取り組んでいる現場のちょっと先、次に手が届く場所を単独先行部隊として作業していたから、チーム全体のペースが上がることにはむしろ意識的にブレーキをかけていた感じだった。それでも、やっぱりニコニコしながら、早すぎるよね、と笑う。防寒服の上からも丸太のような腕と腿の筋肉が透けて見えるような、そして笑顔がチャーミングな人だった。

午後からは、ボラセン前で遊んでいた除雪機(新潟県からの支援物資らしい)も投入。おれが運転している時に、肝心要の雪かきローターのネジが外れるなんていうアクシデントにも見舞われたが、本職がレースカーのメカニックだというITさんとDoさんの二人でその場で応急修理してしまう。

さらに驚くべきことに、機械が止まっている間、人力で進めた雪かきの方が早いくらいだった! これには心底驚いた。

幹部自衛官のIkさんは、角スコを使って50センチ四方くらいの雪のブロックを切り出しては、屋根より高いところへホイ!と投げ上げる。思わず重さを計算してみたさ。50センチ角の直方体なら、容積は8分の1立米。これが水なら125キロ。雪の比重が水の10分の1なら12.5キロだけど、積雪から1週間たって、かさが半分ほどになっていたから、重さは多分2倍。20キロ以上もあるものをスコップに乗っけて、屋根より高いところへ投げ上げているわけでだ。計算するまでもなく、オレが投げ上げることができたのは、せいぜい2メートルちょっと。力の差だったね。

そんなこんなで、「これも1日仕事だな」って場所を2時間ほどで完了し、さらに次の現場へ。到着は3時過ぎ。通常ならもう「しまい」にかかるところなのだが、現場に全員が集合したところで、「10分くらい休憩しようか」。このチームは最強だという共通認識ができていたからこその、事前休憩だった。

30分もかからないと、誰もが思っていた。しかし、その場所、雪は水平に積もっていたものの、敷地は建物に向かって傾斜していて、しかも玄関へのアクセスがどうなっているのかがまったく不明。

午後から投入した除雪機が威力を発揮していたので問題ないと踏んでいたが、玄関先は複雑なカーブと段差を経て、その間に植え込みやプランターが地雷のように点在する厄介な現場だった。名古屋からやってきたヤマ屋のOkさんが、斥候として玄関周りを試掘して、「どうなってるか分からないからやばいよ」とみんなに声をかけ、幹部自衛官と三島から来てたNaさんとオレで頭くらいの高さの雪を試掘しながらかき出して、外から攻めているマシンチームと通路を合流させ、なんとか作業が終わった時には、太陽はとっくに山の尾根に隠れていた。

終わった頃にはみんなヒーヒーハーハー、まるでラマーズ法みたいな息を上げていたが、それでも成し遂げた。俺たち、ここまでやり遂げたんだというキラキラした光を全員が瞳に宿していた。すごい!

おちゃめなヤマ屋Okさんが雪かきの合間につくった雪だるま
おちゃめなヤマ屋Okさんが雪かきの合間につくった雪だるま

初日・土曜日に完了したニーズは4件。そのすべてが、ほかのチームなら丸1日というハードコース。しかも要請がないのに開通させたというオプションまでついてきた。

翌日も同様だ。前日に「チームイトウ」の名はボラセンに轟いていたから(オーバーな言い方でなく実際に。派遣場所検討用の地図には、チームイトウと記された別扱いの付箋が何枚か用意されていたのを目撃した。他チームがダメだったら救援で入れるという作戦をとっていたらしい)、2日目も朝からハードな現場。幅4メートルほどの通路にこんもり溜まった雪の山に、人が通れればいいとの要望なのにクルマが余裕で通れるくらいにまで広げ、しかも当初は要請のなかった駐車場の除雪まで完了させて、それでも11時過ぎ。

すごい、すごい、ばかりで食傷気味だけど、実際にすごい作業の連続だったから仕方がない。やってる方もちょっと「すごい」以外の言葉をしゃべりたくなって、「たまにはゆっくり昼飯を食うか」とボラセンへ。

ところが日曜日とあってボランティア参加者は5倍増し、10倍増し。のんびりお昼を楽しむわけにもいかず。それでも、ご飯を食べながら出てくる話題は東北のこと。被災した町の名前が聞こえてくると、たとえ知らない相手にでも「亘理のどこに行ったの?」とか、「南三陸の健寿さん知ってます?」とか、そんな話があちこちで。見回してみると、「いかにも」という人がたくさん。東北活動経験者の割合は8割を超えていたかもしれない。

そんなこんなで午後1時過ぎには作業を再開したのだが、午後の現場は山あいのさらに雪の深い場所。10人で2日と見積もられていたような場所だった。ガーン。

山間部の地域のゴミステーション前の雪の除去と、雪を捨てにきたクルマが転回できるスペースを作ってほしいというのがニーズの内容。しかし雪を捨てる場所がない。最初はとにかく人海戦術で、人の背丈をはるかに超える雪の移動を試みるが、やはりせっかく除雪機があるのだから活用しない手はないと、エンジンを全開にしたのだった……(続く)

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文●井上良太

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