生きているということ hometown_of 2017.04.11 1 1,285 0 ここに写っているの、たぶん私なのよ。 陸前高田のコミュニティホールのエントランスで行われた津波写真展で、避難所となった体育館の写真を指差しながらAさんは話し始めた。数えきれないほどの人がいる体育館の写真の片隅。Aさんとはとても判らない小さな人影を指差しながら
2016年から2017年へ。一葉に愛を込めて。 iRyota25 2017.01.01 3 1,782 0 除夜の鐘が聞こえる。年に一度、世界の平和を祈る鐘の音を聞いていると、まるで世界が平和であるかのように感じられる。 旅に出ていると黒田三郎の言葉を思い出す。ちょっと読んでほしい。 久しぶりに旅に出て 車窓の景色を僕は見る 山なみははるかに 田や畑は豊かに 破綻のし
町を浸した黒い水に映った月 hometown_of 2017.03.17 1 1,016 0 あの日は満月ではなく三日月だったんだ。気仙沼の自分が住んでいた辺りは、直撃こそ逃れたが津波で浸水した。ただただ逃げるのに懸命だった。腰まで水に浸かりながら、近所のアパートに逃げ込んだ。2階の部屋の女性が引っぱり上げてくれた。その人の部屋の玄関先でその晩は過
2016年から2017年へ。今年の成人式の日。この空を飛びゆく者たち iRyota25 2017.01.09 3 1,699 0 田舎の方の公民館に行くと、部屋の長押(壁の上の方に渡された横木)の上に、ずら〜っと額縁入りの写真や賞状が飾られていたりする。明治のころの初代村長以下歴代村長の写真だったり、官公庁から贈られた感謝状だったり、町民運動会で「右の成績をおさめましたので」との表彰
2016年秋、電柱だらけの大槌町 iRyota25 2016.10.05 5 2,259 0 大槌町で「希望の灯り」が灯されているのは、大槌川と小鎚川の間にある高台、城山公園。ここからは大槌の町を見渡すことができる。 数カ月前には国道45号線から町に続くメインの道路は工事中。町方と呼ばれる津波被害が大きかった地域では宅地の区画整備が進められていた。 9
板挟みのような感覚。復興は成ったのか iRyota25 2016.10.31 4 2,315 0 東京の友人にこの写真を見せたら、「これどこ? いつの写真?」と驚いていた。写真の場所は岩手県山田町、船越半島にある大浦漁港で、撮影したのはつい先月。 津波で防潮堤が破壊されたところには、新しい防潮堤が高い壁のように築かれているが、残った防潮堤とはまだつながっ
【シリーズ・この人に聞く!第131回】バレエダンサー 福岡雄大さん kodonara 2016.12.09 2 5,702 0 小顔で手足が長くしなやかな動作。福岡雄大さんは新国立劇場バレエ団のプリンシパルとして舞台に華を添えるイケメンのバレエダンサー。12月恒例のクリスマス公演「シンデレラ」で王子様役として登場されます。19歳で文化庁在外研修員としてチューリッヒバレエ団に入団し、ソリ
【今週の一冊】 発達障害の子どもたち、「みんなと同じ」にならなくていい。_長谷川 敦弥 Vermeer 2017.01.16 1 1,945 0 発達障害の子どもたち、「みんなと同じ」にならなくていい。 発達障害に希望が持てる 「障害のない社会をつくる」というビジョンを掲げ、発達障害の子供を中心としたサービスをしている、株式会社LITALICOの長谷川社長の本です。 社長自身が発達障害(ADHD)ということで、幼
5年6カ月後の空にそびえる「奇跡の一本松」 iRyota25 2016.09.13 4 5,048 0 樹脂で固定されたその松はいつ見ても変わることはないはずなのに、一本松の表情は一日として同じことはない。 震災からもう5年6カ月。9月10日と11日、陸前高田の奇跡の一本松に行ってきた。 晴れているか曇っているか雪空か、風は強いか、ツバメが飛んでいるか、野に花が揺れ
福興市で出会ったキラリと光る逸品 iRyota25 2016.12.30 2 1,535 0 南三陸で毎年恒例のイベント「おすばで祭り」。今年は12月29日に福興市と合わせて、志津川仮設魚市場で開催。マダコ、にサケ、アワビ、ホタテなど南三陸名物の海産物に農産物や正月飾りまで特産品が勢揃いした。(おすばでとは酒の肴の意味) タコもイクラも昆布も餅も、おす
楢葉町の誇りだった場所 iRyota25 2016.12.10 2 1,894 0 去年の夏(2015年)、福島県出身で東京電力福島第二原発に勤務していたという人に浜通(福島県の沿岸地方)を案内してもらったことがあった。その時彼が残念そうに語った場所を1年ぶりに訪ねてみた。 その場所は、国道6号線沿いにある、正確には「あった」、道の駅ならは。 国
人が減った仮設住宅でいまもイベントが行われるわけ iRyota25 2016.12.10 1 1,809 0 被災地では災害公営住宅が次々と完成し、町では新しい市街地の整備が進む。被災した人たちは新たな生活を歩み始めている——。東日本大震災関連のニュースがめっきり伝えられなくなった昨今では、そんなイメージが一般的になりつつあるかもしれない。そのイメージ、一面では正し
陸前高田で開催された国体のビーチバレー iRyota25 2016.09.12 5 2,501 0 青い空にボールが高く上がる。砂浜に選手たちの声が響き渡る。 震災後の被災地ではじめて開催される「希望郷いわて国体・希望郷いわて大会」。10月1日の総合開会式に先立つ8月31日、陸前高田市の特設会場ではデモンストレーション競技「ビーチバレー」が開催された。 ビーチバ
クレジットカードを持ち歩かずにポイントを貯める方法 monomoney 2016.08.24 7 1,816 0 わたしは年間で180万円以上クレジットカード払いを利用しています。その理由は「ポイントがつくから」です。 一括払いなら手数料はかからない クレジットカードによる買い物などの支払いは、1回払いで利用していれば手数料や利息はかかりません。 あまりよく知られていません
津波警報発令。その時わたしはどう行動したか iRyota25 2016.12.24 2 7,351 0 その朝、わたしは仙台市の隣の多賀城市にいた。前の日に鹿島神宮で「どうかこれ以上、地震や天災で人々が苦しみませんように」と願をかけた後、歌枕として有名な「末の松山」の写真を撮影するために、多賀城で夜明けを待っていた。 三十六歌仙の一人清原元輔が詠んだ「契りき
【シリーズ・この人に聞く!第127回】LGBT初級講座「まずは、ゲイの友だちをつくりなさい」著者 松中権さん kodonara 2016.08.05 7 7,024 0 「LGBTと、いろんな人と、いっしょに」を合言葉に、セクシュアリティを越えてすべての人が自分らしく歳を重ねていける社会づくりを応援する認定NPO法人「グッド・エイジング・エールズ」を2010年に立ち上げた。真面目だけれど楽しそうに活動を拡げる姿に共感する人が年々増え
2016年から2017年へ。陸前高田「うごく七夕」〜被災から変わっていく町が生きる現実であるということ〜 iRyota25 2017.01.07 2 6,255 0 一本松茶屋の交差点を曲がって国道340号線に入る。気仙川に沿うようにぐるっと迂回して走り、奈々切の跨線橋を越えると、目の前に長い坂道が見えてくる。陸前高田市高田町大石の坂道だ。登り切った所には市役所の仮設庁舎がある。今年の夏には県内最大規模の災害公営住宅であ
4枚の「クマ注意」 iRyota25 2016.08.04 5 3,219 0 震災以降、継続して活動を続けているトヨタグループのボランティアに参加させてもらった時のこと。その日の活動は蕎麦の種まき。種まき自体は子どもたちと一緒にあっという間に完了したのだが、その後、シカの害を防ぐための電線を張る作業がなかなかどうして大変だった。 ク
【シリーズ・この人に聞く!第128回】耳の聞こえない映画監督 今村彩子さん kodonara 2016.09.02 2 4,019 0 生まれつき耳が聞こえない映画監督 今村彩子が、2015年夏、自転車で日本縦断の旅へ。9月3日から上映される「Start Line」は、コミュニケーションをテーマにしたロードムービー。聞こえる、聞こえないに関わらずニッポン中のためらう人に観てほしい、勇気のおすそわけをもらえ
【シリーズ・この人に聞く!第132回】フォトジャーナリスト 安田菜津紀さん kodonara 2017.01.06 2 3,927 0 カンボジアをはじめ東南アジア、政情不安な中東へカメラを持って市民の取材を続ける。国内では3.11以降、陸前高田市をはじめ東北の都市をまわり、高校生を伴うツアーも継続中だ。国内外問わず苦しんでいる人がいたら耳を傾ける。そんなジャーナリズムの原点を想起させてくれる
流されるたびに再生されてきた松日橋 iRyota25 2016.07.23 5 3,290 0 陸前高田から太平洋へ注ぐ気仙川。鮎釣りで賑わうこの川の上流に、なんとも絵になる松日橋がある。 松日橋は見るからに古風な木造の橋。それも、枝のような細い橋脚で支えられた、本当に人が渡ることができるのだろうかと不安になるような橋だ。 実際に橋に乗って渡ってみると
2016年から2017年へ。「正月早々のいい話」 iRyota25 2017.01.07 2 2,053 0 正月早々いい話を聞いた。お正月だからといって、松竹梅とか一富士二鷹三茄子みたいな縁起ものの話ではない。その話とは、町会費の積み立てでリヤカーを買ったという話。どうしてリヤカーがいい話なのか、少しの間おしゃべりにおつきあいいただけたら幸いだ。 高齢化ニッポン
岩手県最大規模の災害公営住宅オープンへ iRyota25 2016.07.08 6 3,897 0 このごろ陸前高田では、「栃ヶ沢にできる新しい公営住宅に入居するのよ」という嬉しそうな言葉が仮設住宅などで時々聞かれる。近々入居が始まる予定の「災害公営住宅(陸前高田市栃ヶ沢地区)」は、9階建て2棟合計戸数301戸の大きな復興住宅。その建物は見上げるばかり。壮観
【伝える】石巻市復興まちづくり情報交流館「雄勝館」 iRyota25 2016.07.08 6 2,203 0 6月に雄勝に行った時にはあいにく休館日だった「石巻市復興まちづくり情報交流館 雄勝館」に行ってみた。場所は旧雄勝小学校から300mほど。5月末に移転した仮設商店街「おがつ店こ屋街」のすぐ近くだ。 情報交流館は管理棟、展示棟、交流棟、そして交流テラスの4つのパートか
おかえりなさい故郷へ iRyota25 2016.08.26 4 2,575 0 お盆が過ぎればもう秋、と言われるが、東北では「もうすぐ寒くなる」のが毎年のお決まり。しかし今年は七夕祭りの後も、お盆休みが終わっても残暑が続いている。お盆で里帰りしたひとたちの思いが、真夏日続きの町なかにいまでも残っているかのようだ。 お盆前、大船渡や陸前