2016年から2017年へ。陸前高田「うごく七夕」〜被災から変わっていく町が生きる現実であるということ〜 iRyota25 2017.01.07 2 6,208 0 一本松茶屋の交差点を曲がって国道340号線に入る。気仙川に沿うようにぐるっと迂回して走り、奈々切の跨線橋を越えると、目の前に長い坂道が見えてくる。陸前高田市高田町大石の坂道だ。登り切った所には市役所の仮設庁舎がある。今年の夏には県内最大規模の災害公営住宅であ
雪の朝の一本松 iRyota25 2016.12.19 3 2,213 0 陸前高田の町なかに、今年初めて雪らしい雪が積もった朝、久しぶりに一本松に行ってみた。積雪は日が昇るにつれてどんどん融けていき一本松への道はシャーベット状のぬかるみ道になった。 それでも、べちょべちょの雪の上には足跡がついていた。寒くても、雪が降っても、雪が
復興ドラマの舞台となった老舗理容室 iRyota25 2016.12.18 3 2,271 0 岩手復興ドラマの撮影現場に行ってきた。撮影場所は大船渡で一番の歴史を誇る老舗理容室と聞いて、盛あたりの古い町並みに残った建物かと勝手に想像していたのだが、訪ねていくとそこは大船渡市大船渡町の仮設店舗。加茂神社への登り口近くに建つ大同理容さんだった。 老舗と
生きているということ hometown_of 2017.04.11 1 1,270 0 ここに写っているの、たぶん私なのよ。 陸前高田のコミュニティホールのエントランスで行われた津波写真展で、避難所となった体育館の写真を指差しながらAさんは話し始めた。数えきれないほどの人がいる体育館の写真の片隅。Aさんとはとても判らない小さな人影を指差しながら
2016年のクリスマスに寄せて iRyota25 2016.12.26 3 1,419 0 ごく内輪で開いたクリスマス会に、こんな一品が登場した。 赤や緑のクリスマスカラーが映えるこの料理は柿なます。岩手県産の赤かぶに宮城県産の雪菜の緑、そして柿酢の柿は福島県産。 ぱっと見た目はクリスマスらしい色鮮やかな料理に見えるが、実は地元の食材を使った普段な
久しぶりのサン・アンドレス公園 iRyota25 2016.11.15 4 3,418 0 大船渡の魚市場近くにあるサン・アンドレス公園。異国情緒が感じられるネーミングは1611年にスペインの探検隊が大船渡を訪れたことにちなむという。タワーが印象的なこの公園は東日本大震災の津波をもろに受けたものの、タワーは生き残った。大船渡の町の変化を見渡すことがで
2016年初冬、紅葉の意味 iRyota25 2016.11.25 4 1,974 0 この季節になって、以前所属していた会社の社長が、「うん、紅葉いいね」と言った言葉を時々思い出す。2012年の11月、被災した東北の状況を取材しに行くときのことだ。 それは震災の翌年の秋だった。彼が言った「いいね」とは、人々の暮らしがずたずたに破壊されながらも、何
一本松に「恥を知れ」と言い放つこころ iRyota25 2016.12.16 3 2,088 0 陸前高田といえば「奇跡の一本松」が有名だが、陸前高田市やその周辺に暮らす人たちの中には、実は一本松はをそれほどプラス評価していない人も少なくない。 とりあえず一本松で 来年2017年の春に中心市街地の一部オープンを控え、陸前高田ではさまざまな場所で将来の町づくり
お茶の小谷園からのメッセージ iRyota25 2016.12.18 3 1,853 0 かさ上げ工事が進む陸前高田の町なかの、まさに工事現場のすぐ近く、そして本丸公園に向かう神社への入口近くで、こんなメッセージを見つけた。 今年もあとわずか 健康で笑って 新年を迎えられますように メッセージが貼り出されているのは、創業80年以上、高田の町で唯一のお
冬には「雪っこ」がよく似合う iRyota25 2017.01.15 2 2,659 0 日が傾くにつれて気温はどんどん下がっていった。今シーズン最大の寒波、数年に一度規模の厳しい冷え込みと気象情報が繰り返していたその日、日没後にはクルマのデジタル外気温計の数値はあっという間に「-6」を示した。 年明けから春のような暖かさが続いてきた東北にも、本
味と人情の鶴亀鮨でのドラマ撮影 iRyota25 2016.12.18 3 1,773 0 岩手復興ドラマ、撮影最終日の夜は陸前高田の鶴亀鮨での撮影が行われた。撮影の見学に行ってみると、知人がエキストラとして参加していて驚いた。そればかりか、ドラマの原作者である佐々木俊夫さんは、鶴亀鮨のご主人と同級生だったと聞いてさらに驚いた。 さらに、エキスト
お返事は「ウン、冷え込んできたヨ」 iRyota25 2016.11.25 4 1,635 0 その翌日、岩手県はひどく冷え込んだ。 お世話になっている仮設住宅の自治会長さんの奥さんとすれ違う時に、寒いですねと挨拶したら、「ウン、冷え込んできたヨ」と言われた。 文字ではうまく伝わらないかもしれないけれど、南の地方からやってきた人間に、これから本格的に寒
津波警報発令。その時わたしはどう行動したか iRyota25 2016.12.24 2 7,254 0 その朝、わたしは仙台市の隣の多賀城市にいた。前の日に鹿島神宮で「どうかこれ以上、地震や天災で人々が苦しみませんように」と願をかけた後、歌枕として有名な「末の松山」の写真を撮影するために、多賀城で夜明けを待っていた。 三十六歌仙の一人清原元輔が詠んだ「契りき
寒風に負けない、ヤルキタウンの感謝デー iRyota25 2016.12.11 3 2,134 0 12月10日土曜日、陸前高田市米崎町の仮設商店街ヤルキタウンで「市民の交流イベント・お客様感謝デー」が開催された。 数日前には積雪を見た陸前高田だが、この日の天気は晴れ。しかし、海の近くのヤルキタウン。冷たい風が吹き付ける中でのお祭りとなった。冷たい風、なんて
「毎度ごひい〜きありが〜とおっ」の意味すること iRyota25 2016.10.31 5 2,194 0 お世話になっている知り合いの仮設住宅で作業などさせてもらっていると、昼間に裕次郎か何かの歌の口笛が聞こえてくる。口笛だけでなく「毎度、ごひい〜き、ありが〜とおっ」と決まった節回しの歌声も交じる。 さすがに裕次郎の口笛だけでは分からないが、歌声で誰が来たのか
「お隣」のコミュニティホールで毎朝行われるラジオ体操 iRyota25 2016.12.10 3 1,854 0 この夏から入居が始まった陸前高田の県営栃ケ沢アパート。県内最大の災害公営住宅だ。先日、入居している男性宅を初めて訪ねた。 男の一人住まいとは思えぬほど広々とした室内は、考えてみれば「物がない」ということの裏返しだったのかもしれない。それがその人の人となりに
大船渡の人たちの新しい町へのねがい iRyota25 2016.11.15 4 1,969 0 県が実施した復興工事の見学会に参加して、地元の人たちの声に真情を感じさせていただく機会があったのでご報告します。 約半日かけて大船渡市内各所の復興工事の現場を見て回った見学会、この日最後のプログラムは、JR大船渡駅があった周辺で工事が進めらている市街地の見学
「虎舞の稽古」祭りは世代をつないで iRyota25 2017.01.12 2 1,780 0 陸前高田大石祭り組の虎舞、今年は1月15日に開催されることに決まった。元々虎舞が行われていた小正月の開催は久しぶりのこと。 震災後に建て替えられた公民館に笛の音が響く。太鼓が床を振るわすと同時に、虎が躍動する。この日は虎舞の稽古だ。 震災後にこれまで参加させて
スーパームーン前後のこと iRyota25 2016.11.17 4 1,436 0 68年ぶりのスーパームーン、全国的には曇りがちでなかなか見えなかったらしいが、三陸沿岸ではけっこうよく見ることができた。 もっとも小さく見えた時よりも面積で3割増の満月ということで、少し前から話題になっていたが、地震との関係を心配する声もあった。 そんな矢先の1
アバッセの看板が掲出される【2017.3.11】 hometown_of 2017.03.11 1 2,059 0 3月11日2時半過ぎ、陸前高田のかさ上げ地に建築中の「アバッセ(Abasse)」の敷地東側に、施設名を示す看板が掲出された。 防災無線で黙祷が呼びかけられた時間をはさんで、現場では看板のベース部分の工事が続けられていた。3.11に合わせての看板お披露目かと思って作業員さ
三陸めかぶ冷麺は天才だ!【道の駅やまだ】 iRyota25 2016.10.31 4 2,485 0 岩手と言えば『盛岡三大麺』だ。わんこ蕎麦にジャジャ麺、そして冷麺。いずれも甲乙つけがたいものながら、さわやかな酸味のあるスープに弾力ある麺、さらにキムチなどがあしらわれた冷麺を三大麺の筆頭に推す声も大きい。 山田町の南、船越半島の付け根に位置する道の駅やま
板挟みのような感覚。復興は成ったのか iRyota25 2016.10.31 4 2,302 0 東京の友人にこの写真を見せたら、「これどこ? いつの写真?」と驚いていた。写真の場所は岩手県山田町、船越半島にある大浦漁港で、撮影したのはつい先月。 津波で防潮堤が破壊されたところには、新しい防潮堤が高い壁のように築かれているが、残った防潮堤とはまだつながっ
この土地を埋め尽くした真っ黒な濁流 hometown_of 2017.03.11 1 1,758 0 土木作業員のKさんと偶然再会した。3.11の数日前の夕方、「おう、久しぶり」と声を掛けられた。Kさんは仕事帰りに一本松茶屋で休憩している様子だった。 真っ黒な巨大な渦 少し気が早いが今年の祭りのことを話したりしていたら、Kさんが突然あの日のことを語り始めた。 「あん
みちのく見語り聞き語り百ばなし~2~ iRyota25 2017.03.02 1 2,666 0 5.ダルトン式(大迫2) 大迫の歴史的建造物で出会ったチャーミングな老婦人の「ダレトモシキ」という呪文のような言葉に引きつけられるように、古い建物の2階に上がっていくと、そこには彼女が「先生」と呼ぶ人物がいた。先生は古いおひな様を見学に来た人たちに、大迫(おお
東北の地に蕎麦を蒔いたトヨタグループのボランティア。なぜ住田町でだったのか iRyota25 2016.10.31 4 2,125 0 7月末の夏祭りに合わせてやってきて、トヨタグループのボランティアチームが住田町の畑で蕎麦を蒔いてから3カ月。蕎麦畑の蕎麦はしっかり実をつけていた。 彼らが夏にやって来た時には、『デンボク設置』という農作業が物珍しくて、ボランティアさんたちのさらにサポートとい