最重度の知的障害を伴う自閉症の娘との暮らしを綴っていく中で、うちの娘は「寝る時に親の腕を自分の顔の上に起きたがる」ことを何度かご紹介してきました。
娘が寝つく時はだいたい横向きで、その際に自分の目というか「こめかみ」のあたりに親の腕を置くように要求してきます。その場所に「ある程度の重さ」が欲しいみたいです。
もうひとつ、寝ている時の娘がわたしたち親に仕掛けてくることがあります。それは「指の関節をキメる」です。
静かなる格闘技
指を組む(親の指の間に自分の指をはさむ)ぐらいならまだいいのですが、親の指を「限界以上に小さく」曲げようとしたり、その逆に「曲がらない方向へ」曲げようとするのです。
いつどこで覚えたのか、自分の指を巧みに使って「てこ」の原理で鋭くわたしたちの指関節を「キメて」きます。これがとても痛い。力はすごいのに娘の指が短く細いことも「強くキメる」うえで武器になっているようです。
力士が相手のまわしのどこを取りたいか、柔道家が相手の襟や袖をどうつかみたいか、と同じように「自分の型」に持ち込もうとする娘と、そうはさせるかというわたしの間で「指の攻防」が続きます。
このとき、親は目覚めていますが娘は寝たまま(「半分寝てる」ぐらいなのかもしれません。でも目は閉じたまま)。「寝ても強い」なんて剣豪が残した伝説のようです(+_+)。
闘いの果てに
指の攻防でわたしが優位に立つと、寝たままの娘がイライラしてくる様子が手で伝わってきます。やがてイライラが募るとわたしの髪の毛をガッとつかみます。ただし起きている時よりは指をほどきやすいので、それも繰り返していると娘のイライラは頂点に達し、わたしの腕を噛もうとします。
それもよけ続けていると、最終的に娘も目を覚ましてしまいます。でもその時はニコニコ笑ったりしているのです。「お父さんなかなかやるじゃん」的な相手を称える精神でしょうか、違いますね(^_^;)。「目が覚めて正気に返った」のに近いと思います。つくづく娘の脳みそは不思議です。
娘がイライラしてからの「親の髪の毛をつかむ」「噛む」という行動は起きている時のパニックと同じように「不快感を別の刺激に置き換える」ための行動だと思いますが、その前の「指の攻防」は少し違うような気がしています。
それは自閉っ子の特徴のひとつである「圧迫刺激を好む」「密接な身体接触を好む」あたりに当てはまるのではないかと考えています。
「ぎゅ」で安心
自閉症は「スペクトラム(=虹のように境目のない連続体ということ)」という表現が用いられるほど様々なタイプの子がいます。したがってこのような刺激を好む子が「多数派である」ことを意味するものではありませんが、そういうタイプの子が一定割合でいることは確かです。
その中でも「後ろからぎゅっとしてあげると落ち着く子」もいれば「重たい布団が好きな子」もいます(実際に自閉っ子向けのそういう商品もあります)。「ピタッとした服が好きな子」もいるでしょう。
甘えて膝の上に乗ってくるとか、なんとなく親の体温を感じていたい時もある、逆に離れていたい時もある…。娘は本当に「ネコみたい」で、ふだんそれほど強く圧迫や接触を求めるわけではありません。
しかし寝る時の「こめかみに腕を置け」は必須。そして「関節をキメる」については「自分にとって”いい感じの力”を込めたい」と言うか「自ら好んで圧迫刺激っぽいものを作る=安心を得たい」みたいなことなのかな、と考えています。ただその「力加減」が親にとっては「とても痛い」なのが悩みどころです。
ちょうどいいがむずかしい
物をつかんだり、人や動物と接するとき「力加減」はとても大事なもの。しかし言葉を持たない娘に伝えるのはとても難しい概念です。
そんな娘も、お箸で食べるのは上手になってきました。娘が使っている介護用のお箸は箸先がズレることはなく「力がそのまま伝わる」ので、力をうまく加減しないとやわらかく煮た野菜や細い麺を食べることができませんが、今はとても上手に使います。ひとえに食欲のなせる技でしょう(*^-^*)。
しかし相変わらず人に何かを要求して引っ張る時や甘える時の力加減は強すぎるので、わたしたち親以外と接している時の娘にはハラハラします。
さらに寝ている時の娘の感覚はまた独特ですから「指の攻防」の今後についてはなんとも言えません。「ひとりで寝かせる」がひとつの解決策ですが、昨夜みたいにたまーにおとなしく寝てくれると…ねえ…超かわいいのでひとりで寝かせるのはなんかもったいないというか(^_^)。
最終更新:
baikinman
> 「ひとりで寝かせる」がひとつの解決策ですが、昨夜みたいにたまーにおとなしく寝てくれると…ねえ…超かわいいのでひとりで寝かせるのはなんかもったいない
激しく同意してしまいます。
私が子供と寝るのは、これが理由かと納得しました。
pamapama
寝てるときは最高にかわいいですものねえ(*^-^*)おとなしくて(*^-^*)
orangeoor18
> その逆に「曲がらない方向へ」曲げようとするのです。
指相撲の逆バージョン的な競技ですね…。それにしても寝たままの攻撃はすごいです。
寝ている時の我が家の悩みは息子のペチペチ攻撃です。知らぬ間に起きていて、泣くよりも先に自分の顔にペチペチをかましてくる時があるので驚きです。
pamapama
> ペチペチをかましてくる
かわいいですね(^^♪、わたしはゆうべも突然ガーン!と殴られました(T_T)
cha_chan
うちの長男は、寝るとき必ず私のお腹の上に足を乗せて寝ます。どかしても、またすぐ戻ってきてしまいます。
たまに強烈な回し蹴りが入ることがあり、防戦一方です(汗)
pamapama
最近うちも蹴りが始まりました。娘の場合まわし蹴りではなく足の裏をどーんと当ててくる「16文キック」スタイルです。馬場さんリスペクトですね。
akaheru
>このとき、親は目覚めていますが娘は寝たまま。「寝ても強い」なんて剣豪の伝説のようです(+_+)。
これは本当にすごいですね・・・。(我が家の子供たちはくすぐろうが持ち上げようが転がそうが無反応です)
重たい布団が好きな子向けの商品があるように「指を組む」商品なんかあればいいのですが、やっぱりパパママと組みたいのですかね。
pamapama
> 「指を組む」商品なんかあればいいのですが
「仮想対戦相手」ですかね、すぐにでも欲しいです(*^-^*)