以前にもご紹介したとおり「自閉症は、生まれつきの脳の障害」。「脳(中枢神経)の障害なので、本人にもコントロールできないことが多い」ため、「睡眠」についても何らかの問題を抱えていることがしばしばあります。今回はそのあたりのことをご紹介しましょう。
うちの娘の場合
うちの娘は「夜中に起きてしまう」ことが多いです。多いというより「夜中に起きるのが普通」であって朝までぐっすり寝てくれるのは週に1~2回あるかないか。だいたい「深夜3時半ごろに起きて5時ごろにまた寝る」のがパターンです。
自閉っ子には不安やストレスから「うまく眠れない」とか「夜中に突然起きてパニックになる(夜驚症・やきょうしょう)」などの悩み(いわゆる睡眠障害)を持つ子がたくさんいます。
うちの娘は上のどちらとも少し違って、だいたい決まった時間にちゃんと寝ます。夜中に突然起きてもパニックはなく、ニコニコしたり拍手したり笑ったり、ひとりで謎の言葉をしゃべったり歌ったりしています。
一度こうなってしまうとなかなか再び寝つかないのは経験上わかっているので、なんとなく相手をしながら娘が眠くなるのを待ちます。
気にしだすと悪循環なので…
慣れない頃は「明日も仕事なのに、なんで寝てくれないんだ」とイライラしたりもしました(いまも時々そうなります)が、焦っても状況は変わりません。「そのうち寝る」といい意味であきらめて時間が経つのを待つのが精神的には最良の策です。
と言っても娘が起きている間は腕を引っ張られたり「こっち向け」と(娘はしゃべれませんがそんな感じで)顔の向きを無理やり変えられたりするので眠れません。
楽なのは眼を開けてニタニタこちらの顔を見ているだけの時(気持ち悪い・笑)。でも一番ひどいのは真冬の真夜中に「リビングで遊ぶぞ!」と引っ張っていかれること。寒いんですけど…。
自閉っ子は温度調節が下手というか感覚が独特なことがあります。夏なのに厚着だったり、冬なのに薄着だったりする子も多いですね。半分寝ぼけたような状態でもある娘は真冬だろうが真夜中だろうがお構いなしです。
そんなこんなで1時間半から2時間ぐらいぴーひゃら騒いだ後、娘は急に猛スピードで布団へ戻ってきてうつぶせになり、横を向いた顔の上にわたしたち両親どちらかの二の腕を乗せます。これが「眠さの限界サイン」です。こうなればすぐに寝ます。やれやれと安心する瞬間です。
わりとちゃんと起きる
親はそれから1時間、娘も2時間経ったら起きる時間です。さすがによく寝た日と違ってパッとは起きないのですが、不思議なものでなんとなく揺さぶったりしているとそのうち起きます。眠さから不機嫌になることはあまりなく、ちゃんと学校へ行くことがほとんどです。きっと眠いのに…これも脳みその神秘ですね。
日曜の夜はほとんど必ず起きるため、ちょうど今朝も3時から5時まで付き合いました。そんな日の娘は朝のスクールバスや、学校から放課後デイサービスへの送迎車の中でこっくりこっくり寝ていることも多いそうです。眠いままで不機嫌になってしまうとそれも大変なので、居眠りしてくれて大いに結構です。
親は居眠りできませんから眠いですが…それでもうちの子は寝つき時刻はほぼ規則的。もし起きてもその間はだいたいゴキゲンなので楽な方だと思います。夜遅くまで眠れない子、睡眠時間が極端に短い子、夜驚症の子、その親御さんの悩み・苦しみはわたしたちには計り知れないものだと思います。
毎晩眠れずに苦しんでいる子、親御さんがいます。どうか「眠い」という苦しみへの理解が進み、支援の手が差し伸べられますように。
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