竹駒第2トンネルのいまとむかし iRyota25 2017.02.13 4 1,960 0 道慶さんの祠のすぐ近くにトンネルがある。いまや草ぼうぼうで、遠目には分かりにくいが、道慶さんの祠の前にはJR大船渡線の線路が走っていた。こちらは道慶さんのように400年もむかしのことではない。わずか6年前のこと。 津波の被害が大きかった場所では、線路はおろか路盤
400年前、道慶さんが目にしたもの iRyota25 2017.02.13 4 3,572 0 むかしむかし、いまからもう400年もむかし、陸前高田に村上道慶という人が住んでいなすった。道慶は西国出身の武士の家柄だったが、伊達の殿様の頃に大肝煎のお屋敷のあった今泉村に移り住んで、村人たちに読み書きなんかを教えて暮らしていたそうな。道慶はやがて気仙川の対
見つけたボール iRyota25 2017.02.13 1 1,074 0 夢を見た。誰かとキャッチボールをしていて、どこかに飛んでいったボールを探す夢。この辺だろうかと目星を付けた場所で見つからなくて、どこだろうとあちこち探し回ったのにどうしても見つからない夢。 よくありがちな夢だ。 夢なんて、いい夢だから覚えておこうと思っていた
「校庭」のない中学校 iRyota25 2017.02.11 3 7,876 0 以前このページで、陸前高田市立高田東中学校の新校舎のことをお伝えした。震災後に合併して誕生した東中が、今年の3学期から新校舎での授業を始めたこと、その竣工式で校長先生が、「この春入学する新中学1年生たちはこれまで校庭というものを知らない子どもたちなのです」と
人の都合と自然の都合 iRyota25 2017.02.06 5 1,915 0 猫くんがぶーたれた顔して座っているのは線路の敷地内。 振り返ると、線路の反対側にはキジの姿があった。シャッター音に気づいてバサバサと近くの山に飛び去っていってしまったが。 キジを狙っていたところに、とんだ珍客(つまりわたし)が間に割り込んできたので、猫くん、
日曜日も工事の日 iRyota25 2017.02.05 4 1,834 0 日曜日は工事は休みというのが建設業の常識なのだが、陸前高田の中心市街地付近では、日曜日にも重機の音が響く。 朝一番に道路から見ると、2台の重機で掘削を始めていた。場所は、3月の完成予定目指して複合商業施設の建築が進む、いわばいま一番ホットな現場。厳しい冷え込
雪のさんぽ道で見つけた「冬の龍」 iRyota25 2017.02.03 4 1,552 0 最初の印象、びっくりした! ぎょっとしたとか、いろんな印象を言葉として思う前に、とっさに一歩後ろに飛び退いたと白状すべきか。 なにせ、雪の中に大きな龍のような物体がのたうっていたのだから。 頭を川沿いの薮に突っ込んで、龍は雪の上に横たわっていた。 「千と千尋の
WILDLIFE in TOHOKU「くるみとカラス」 iRyota25 2017.02.03 5 1,960 0 写真の中にくるみの実があるの、わかるかな? ほら、こっちの写真には、1ッコ、2コ、3コ6個は写っているみたい。 くるみの樹は川や沢の近くの日当りのいい場所で大きく成長するそうで、東北の川沿い、たとえば写真を撮影した気仙川の岸辺にもたくさん生えている。大きな立派な
仮設商店街の店じまいと復興 iRyota25 2017.02.03 2 2,786 0 中心市街地の建設が進む大船渡。工事の進捗に合わせて、相変わらず道路の付け替えが頻繁に行われている市道丸森権現堂線(海沿いの幹線道路)のファミリーマートがある交差点を山側に曲がると、BRT専用道路のすぐ先に海の星幼稚園の入口があって、そこから100メートルも行けば
新しく生まれかわったJR新地駅 iRyota25 2017.02.03 4 3,082 0 国道6号線を左折すると、そこにはこれから新しい町が造られていくことになる広々とした土地と、青い空が広がっていた。6年前の震災の頃とおそらくそれほど変わってはいないだろう国道沿いの風景とはまったく違った別世界だった。 新しい造成地の真ん中を走る道の先に福島県新
年末の飯舘村の空気感 iRyota25 2017.02.02 4 1,734 0 いつまでこんな写真を撮っていなければならないんだろう。 福島県飯舘村の役場前に設置された線量計を撮影していたら、そんな声が聞こえてきた。声がしたのは外からではなく、自分の内側から。何しろ周りには人影ひとつないのだから。 村役場にて 村役場の隣には村民の交流の
南相馬「かしまの一本松」 iRyota25 2017.01.31 3 2,962 0 福島県南相馬市鹿島区の海岸近くに一本の松が立っている。高さおよそ25メートル、根の周り約2メートルの大きな松の木だ。震災を生き延びたこの松は、地元では「奇跡の一本松」と呼ばれている。 震災前、この海岸には数万本の松並木が広がっていたそうだ。「福島に津波はやっ
冬の天気予報とサバイバル iRyota25 2017.01.31 3 1,111 0 車での移動が多いのでFMラジオを聞くようになった。地域の楽しい話題やホットな情報、ここ10数年ほとんど興味のなかった最新チャートの上位曲を聞けるだけでなく、冬の東北ではラジオから流れてくる最新のお天気情報が生活(あるいは生存?)のため必須の情報だ。そして、同じ
今年の春の新入生たちは「校庭」というものを知らないんです iRyota25 2017.01.31 4 2,563 0 陸前高田市立高田東中学校は、東日本大震災で被災した広田中学校、小友中学校、米崎中学校の3校が統合して2013年4月に誕生した。これまで修理した米崎中学校を校舎として利用してきたが、1月16日の3学期の始業式から、新設された校舎で授業を始めている。 1月29日(日曜日)に
内陸の「未災地」と沿岸の「被災地」 iRyota25 2017.01.31 2 2,195 0 このところ、岩手県の内陸部の人たちと話をする機会が多いせいか、内陸部と沿岸部という軸で考えさせられることがしばしばある。 たとえば岩手県の場合、東日本大震災で沿岸部はいまなお癒せぬ甚大な被害を受けているが、盛岡市や花巻市、北上市、世界遺産がある平泉町や一関
雪とみかんとハンドバッグ iRyota25 2017.01.30 6 1,694 0 こんなつながりがあったとは! びっくりした。雪がしんしんと降りしきる陸前高田のとある復興住宅でのお茶っこ会。地元の人たちがお茶を飲み飲み、数人は手芸を続けながら「そういえば」と静岡の話になった。 残雪の町とハイヒールのお姉さん お茶といえば静岡だけど、静岡っ
北国の冬の朝 iRyota25 2017.01.30 4 2,147 0 沿岸部の陸前高田にも雪の季節がやってきた。被災した町の中心部から少し山の方に入った大隅の仮設商店街のモニュメントの前に小さなスノーマンが並ぶ。作っていたのは、陸前高田で活動している支援団体の顔見知りの人たちだった。 思わず駆けよって雪玉づくりに参加しようと
中浜小学校で出会った「ひと」 iRyota25 2017.01.29 2 1,465 0 仙台市から海沿いの道を南へ走っていくと、こんもりとした丘がいくつも見えてくる。巨大防潮堤の代わりに、丘とそこに植えた樹木で津波被害を軽減しようという千年希望の丘の群れだ。そこからさらに南に向かってどんどん走って宮城福島県境あたりまで来ると、荒涼というほかな
冬には「雪っこ」がよく似合う iRyota25 2017.01.15 2 2,659 0 日が傾くにつれて気温はどんどん下がっていった。今シーズン最大の寒波、数年に一度規模の厳しい冷え込みと気象情報が繰り返していたその日、日没後にはクルマのデジタル外気温計の数値はあっという間に「-6」を示した。 年明けから春のような暖かさが続いてきた東北にも、本
「虎舞の稽古」祭りは世代をつないで iRyota25 2017.01.12 2 1,780 0 陸前高田大石祭り組の虎舞、今年は1月15日に開催されることに決まった。元々虎舞が行われていた小正月の開催は久しぶりのこと。 震災後に建て替えられた公民館に笛の音が響く。太鼓が床を振るわすと同時に、虎が躍動する。この日は虎舞の稽古だ。 震災後にこれまで参加させて
WILDLIFE in TOHOKU「キツネの瞳に映るもの」 iRyota25 2017.01.12 3 1,889 0 峠道の頂上まで登り詰めると、道路の真ん中に1頭のキツネがいた。 タヌキと違ってキツネは用心深いから人の姿を見ればすぐに逃げるもの、と思っていたら、このキツネは車で近づいても一向に逃げる気配はなく、それどころか車窓に近づいてきてこちらをじっと見つめるのだった。
2016年から2017年へ。今年の成人式の日。この空を飛びゆく者たち iRyota25 2017.01.09 3 1,686 0 田舎の方の公民館に行くと、部屋の長押(壁の上の方に渡された横木)の上に、ずら〜っと額縁入りの写真や賞状が飾られていたりする。明治のころの初代村長以下歴代村長の写真だったり、官公庁から贈られた感謝状だったり、町民運動会で「右の成績をおさめましたので」との表彰
2016年から2017年へ。陸前高田「うごく七夕」〜被災から変わっていく町が生きる現実であるということ〜 iRyota25 2017.01.07 2 6,208 0 一本松茶屋の交差点を曲がって国道340号線に入る。気仙川に沿うようにぐるっと迂回して走り、奈々切の跨線橋を越えると、目の前に長い坂道が見えてくる。陸前高田市高田町大石の坂道だ。登り切った所には市役所の仮設庁舎がある。今年の夏には県内最大規模の災害公営住宅であ
2016年から2017年へ。「正月早々のいい話」 iRyota25 2017.01.07 2 2,036 0 正月早々いい話を聞いた。お正月だからといって、松竹梅とか一富士二鷹三茄子みたいな縁起ものの話ではない。その話とは、町会費の積み立てでリヤカーを買ったという話。どうしてリヤカーがいい話なのか、少しの間おしゃべりにおつきあいいただけたら幸いだ。 高齢化ニッポン
2016年から2017年へ。一葉に愛を込めて。 iRyota25 2017.01.01 3 1,770 0 除夜の鐘が聞こえる。年に一度、世界の平和を祈る鐘の音を聞いていると、まるで世界が平和であるかのように感じられる。 旅に出ていると黒田三郎の言葉を思い出す。ちょっと読んでほしい。 久しぶりに旅に出て 車窓の景色を僕は見る 山なみははるかに 田や畑は豊かに 破綻のし