夢を見た。誰かとキャッチボールをしていて、どこかに飛んでいったボールを探す夢。この辺だろうかと目星を付けた場所で見つからなくて、どこだろうとあちこち探し回ったのにどうしても見つからない夢。
よくありがちな夢だ。
夢なんて、いい夢だから覚えておこうと思っていたって、朝起きてごはんを食べて、玄関を出た頃にはたいていは忘れてしまっている。どんなにいい夢であっても。
それが見つかってしまった。
ロストボールを探して見つけられずに「しょうがないね」なんて話し合っていた。それが、目の前に、さも「探していたのはこのボールでしょ」って感じで転がっていた。
いやいや、探していたのは昔の野球の軟球で、ボールの表面にはまるでゴルフボールみたいな小さなくぼみ、ディンプルが刻まれていたもので、いま目の前にある縫い目模様の軟球じゃないんだ、なんて言い張ろうとしてもみたが、今朝見た夢で軟球を探していて、それから数時間も経たないうちに実際に、まるで「これでしょ」って感じのロストボールに出会ってしまうと…!
ここは国道45号線。陸前高田市の海沿いを走る幹線道路。かつてこの道の両サイドにはたくさんの商店が建ち並んでいた。何気なく野球の軟球が転がっていた場所は、いまでは夏祭りの七夕山車のうちの4基が保管されている、吹きっさらしの道路端。しかし震災以前には、携帯電話ショップやドラッグストアがあった場所。陸前高田の誇りとも言える七夕の山車がかつては勢揃いした道の駅のお向かいに当たる。
失くしてしまったとまどろみの中で思っていた物を、うつつの中で見つけてしまった。ただそのことがドキッとするくらい驚きだったので、ごくごくワタクシ事ながら書き記させていただます。
早朝にボールに出会ったこの日、この道の沿線で、またこの場所から遠くないところでさらにたくさんの出会いがあったことのpreludeとして。そして、その夢を見たのが2月11日に寝床に入った明け方だったことも、さりげなく付け加えさせていただきます。
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