2015年3月11日。東日本大震災から4年が経過するこの日、亡くなった方のご冥福をお祈りするとともに、震災を風化させてはいけない、東日本大震災を教訓として次に来る災害に対して備えなければいけないという想いから、勤務先の会社で東北の復興を中心に考える社内イベントを全社員参加のもと実施しました。
イベントで実施したグループディスカッションのうち、「原発事故と食の安全」をテーマに話し合われたことをシェアします。
グループディスカッションでは、最初の45分間を「ディスカッションタイム」としてグループごとにそれぞれのテーマについて話し合いました。その後、「シェアタイム」として、話し合った内容をグループごとに発表して、参加者全員で内容をシェアしました。
ディスカッションタイム
食の安全という身近なテーマだったこともあって、活発な話し合いが行われ、熱い意見が多く出されていました。ディスカッションタイムで聞いた意見の一部をご紹介します。
・多くの人がもっと東北の食材を食べたいという気持ちを持っているのではないだろうか。しかし、放射線量や安全性に関する情報について、どれが信用できるのか不明な状況であり、健康に対してのリスクを冒してまで食べることに踏み切れないでいるのではないだろうか。
・情報の中には、明らかに事実と異なると思われるものも少なくない。しかし、それを明確に判断する材料がないため、どうしても安全寄りの判断になってしまう傾向があるのでは。
シェアタイムでの共有内容
シェアタイムでは、「原発事故と食の安全」ついての現状と今後のことについて、次のような発表がありました。
【現状】
・メディアの報道によって風評被害が発生している。行政や専門機関の信頼が損なわれている以上、民間レベルで信頼できる情報を発信する必要がある。IT企業である当社としてできることがあるのではないか。
・放射線障害の確定的影響(脱毛、出血、嘔吐、細胞の再生が行われず死に至るなど)は広島と長崎の原爆で被爆した人々から得られたデータであり、これについては専門家の間でもコンセンサスがとれている。しかし、確率的影響(将来ガンなどになるなど)については、データそのものが不足しているのに加えて、被爆から長い時間を経た後で発症した場合、被曝以外の原因を否定することもできなくなる。専門家の間でも意見の対立がある。
【今後】
・食に対して安全を自分で守る。その方法や仕組みとして、スマホで簡単に放射線量を計測できるアプリの開発や、生産地から食卓にあがるまでの流通経路を明確にさせることが有効だと考える。
・原発事故後の開示情報が二転三転したことや事故対応の不手際で、国への信頼が揺らいでおり、国の食品出荷基準が信用できるかわからない。そのため、自分達で独自の安全基準の設定も考えてみてもいいのではないか。
・原発事故は繰り返されてはならないが、福島の原発事故をモデルとして、原発事故の際の風評被害対策を検討してみてはどうか。
これらグループの発表に対して次のような意見が出されました。
・「独自の安全基準」について、安全と言い切れる基準値が不明である。また作った基準に対して誰が安全を担保するのか。
・ある食品で基準値以上の放射線量が検出されると、その地域の全ての食品が基準を満たしていないように思われてしまっている。これをどう払拭していくか考える必要がある。
・地元静岡県の放射線量の測定結果について、シイタケなど、事故直後はデータの開示があったものの、その後は情報が表に出てこない。情報開示は継続しないと意味がない。
・風評被害が出ている地域よりも、実は風評被害ない地域の方が高い放射線量が検出されているケースもある。
・風評被害は福島県産の食品について顕著だが、実は福島県以外の広い地域で、原発事故以前と比較して高い放射線量が計測されたケースもある。
その他のグループディスカッション
紹介:sKenji
最終更新: