熊本地震の揺れと地盤の関係を調査している産業技術総合研究所と新潟大学の研究グループによると、火山灰が積もった軟弱な地盤では、 場所により地震の揺れが1.5倍前後大きくなった可能性があることがわかったそうです。
地震の揺れの感じ方について
地震の揺れの大きさと地盤の関係は、過去の経験に照らし合わせて考えた場合、確かにうなずける点があります。
同じ震度でも場所によって揺れの大きさが違うように感じることがあるのです。もちろん、木造や鉄筋コンクリートといった建物の造りや何階にいるかなどの違いもあるものの、同様の造りと思われる住宅において、揺れに違いがあるように思います。
例えば築20、30年ほどの比較的古い家と築数年と思われる新しい家で同じ震度3の地震を経験しても、古い家の方が揺れが小さいと思えたケースもあります。地震速報で揺れの大きさを知り、「あれ?そんなに大きかったんだ」と思うことも度々あります。
住宅の耐震基準に地盤は考慮されているのか
もし、地盤によって揺れの大きさが変わってくるとなると、気になるのは住宅の耐震基準は地盤も考慮されているかどうかです。
現行の耐震基準では「震度6強~7程度の大地震が発生しても倒壊しないこと」となっています。しかし、地盤によって揺れが1.5倍にもなるのでしたら、地盤の強さも重要になってきます。
これについては、耐震基準が強化された1981年以降に建てられた住宅であったとしても、一般の二階建て以下の木造住宅においては、地盤の強弱は反映されていないそうです。
2000年に建築基準法が改正されて、木造住宅においても地盤の強度に応じて基礎を造らなければいけないことになっているものの、耐震強度を算出する際に考慮する必要はないといいます。
住む家を選ぶ際に重要視するポイントについて
ちなみに住む家を選ぶ際、いったいどれくらいの人が耐震性や地盤の強度といった災害に対しての強さを重視しているかを示すアンケート結果があります。
今後引っ越す際に重視するポイント(3つまで)を聞いたところ、「生活利便性(59.6%)」、「部屋の広さ/間取り(56.9%)」、「金額(48.4%)」が上位3位を占めた。「災害に強い」地盤や住居を選択した人は24.4%にとどまった。
「災害に強い」地盤や住居と回答した人を年代別に見たところ、60代が41.2%と最も高く、20代と30代では2割以下だった。(20代:14.1%、30代:18.7%)。未既婚でも差が出ており、既婚者が30.3%に対し未婚者は15.9%と、既婚者のほうが災害に強い住居を重視する傾向にあることが分かった。また、今後住まいの購入を検討している人の約3割が「災害に強い」地盤や住居を重視ポイントのひとつと回答し、賃貸の住居を検討している人と比べて約3倍となった。
年代などにより違いはあるものの、結果を見るといつ起こるかわからない災害よりも、生活の利便性といった直近に影響してくる問題を重視する傾向があるように思えます。
地震大国に住んでいるからには、揺れに強い住まいへの関心向上は重要であると思います。
地盤の強度も考慮する必要性について
地震の揺れの大きさに地盤が影響することは以前から指摘されていましたが、今回の調査結果を見ると改めて地震に強い家を選ぶ際には、建物自体の耐震基準だけではなく地盤の強さも考慮する必要がありそうです。
たとえば、地盤が弱い地域では、耐震基準をぎりぎり満たした建物では大きな揺れで倒壊する可能性も否定できません。そのため、より強度のある耐震等級3の住宅も選択として考えた方がよいかもしれません。
また、震度7クラスの地震に2回耐えるとも言われている耐震等級3の住宅に住んでいるからといって、地盤にはよっては2回目の大きな揺れで倒壊する恐れもあります。
地盤の強度については下記リンクで調べることができるので、住宅を選ぶ際や入居後の対策の参考にされてみてはいかがでしょうか。
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