遅れる福島県の災害廃棄物処理
下記、本日付の岩手日報の記事です。
久慈市の災害廃棄物最終搬出式は24日、同市長内町の久慈地区拠点工業団地内・平沢仮置き場で行われた。同日は最後にトラック3台が不燃系混合物を運び出し、9万トン近くになった同市のがれき搬出を完了。国は2013年度内の災害廃棄物処理を目標としており、県内各地で作業が大詰めを迎えている。
今年に入ってから、東日本大震災によって発生した災害廃棄物の処理完了を報じる記事をたびたび目にするようになりました。
国は、震災で発生した災害廃棄物について、平成26年3月の処理完了を目標としています。そのため、東北各地から処理の終わりを告げる、ニュースが伝えられているようです。
現在の災害廃棄物の処理状況についてですが、環境省が先月21日に公表した資料によると、下記のとおりです。
上記の表のデータは、今年1月時点のものであり、括弧内の数値は昨年12月末時点のデータです。宮城県、岩手県の両県については、ほぼ完了に近い数字であり、当初の計画通り、今月で処理が終わるとのことです。
しかし、福島県だけは、割合が68%と極端に低くなっています。これは、災害廃棄物処理を行う前に、原発事故によって放出された放射性物質を取り除く必要であり、その除染作業が進んでいないために、廃棄物の処理も遅れているそうです。
避難指定区域の災害廃棄物について
遅れている福島県の災害廃棄物処理ですが、前出の表には、注意書きで「福島県の避難区域を除く」と記載があります。つまり、公表データ以上に、実際の廃棄物処理は、遅れています。
その避難区域の災害廃棄物の量ですが、昨年12月26日環境省の報道発表資料には、11市町村で推定、およそ80万2千トンと記載されています。ただし、この数字には、帰還困難区域にある災害廃棄物は含まれていません。
避難指定区域(帰還困難区域を除く)の災害廃棄物の処理について、平成27年度中に仮置き場への搬入完了を目標としていますが、その後、最終的な処理方法について、いまだ決まっていない自治体もあります。
さらに、帰還困難区域の処理については「今後の線量低減の見通しを見極めつつ、処理方針について検討する」としており、目途すらついていないようです。
圧し掛かる原発事故の影響
「災害廃棄物が撤去されない限りは、復興は始まらない」と言われています。しかし、福島県では、災害廃棄物を処理する以前の放射線量を下げる除染作業すら見通しがたっていません。
地震発生から3年以上が経過しても、まだ復興のスタート位置にすら立つことができない地域があるという現実。原発事故の影響の大きさを改めて感じます。
参考WEBサイト
Text:sKenji
最終更新:
iRyota25
「避難指定区域(帰還困難区域を除く)の災害廃棄物の処理……目標としていますが、その後、最終的な処理方法について、いまだ決まっていない自治体もあります」とありますが、8000Bq/KG以上は国の管理だし、燃やした灰がその数値に達してもやはり同じ扱いになるからってことで、「自治体」では決めかねているのでは?
sKenji
コメントありがとうございます。
災害廃棄物の処理について、おっしゃるとおり、焼却灰の取り扱い方法が定まらず、決めかねていることが一因としてあるようです。
iRyota25
あまちゃんの舞台にもなった久慈市。そうなんだ。岩手はやっぱり大変だったんだなあと改めて思いました。
それもそうですが、福島県の「80万2千トン」って、言葉で「80万2千トン」と言ってもどんな量なのか想像もつきません。ぜんぜん。しかも「帰還困難区域は除く」ですか。
sKenji
80万2千トンという量ですが、10トンの大型ダンプカーで約8万2千台(※災害廃棄物の種類によって、大きく変わる可能性があります)ということになります。
車種によってことなりますが、このクラスのダンプカーの全長は、約7.6m超が多いようです。
これを隙間なく一列に並べると約610㎞(8万2千台×7.6m)ということになります。
sKenji
この長さは東京から青森の直線距離にほぼ匹敵します。
避難指定区域(帰還困難区域を除く)にある災害廃棄物の膨大な量に、改めて恐ろしさに近いもの感じます。
sKenji
ダンプカー8万2千台と書きましたが、正しくは、8万2百台です。すいません。
ダンプカーを一列に並べた距離の計算は、8万2百台で行っており、約610㎞(8万2百台×7.6m=609.52㎞)です。