【福島第一原発事故】危惧される国の情報公開

sKenji

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今年2月下旬あたりから、福島県田村市の都路(みやこじ)地区について報じるニュースを、たびたび目にしてきました。同地区は、福島第一原発事故によって、避難指示が出されていたのですが、本日付けで解除されています。

都路地区についてのニュースのほとんどは、避難指示の解除を伝えるものですが、その中に埋もれてしまいそうな、次の記事がありました。

東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示の解除予定地域で昨年実施された個人線量計による被ばく線量調査について、内閣府原子力被災者生活支援チームが当初予定していた結果の公表を見送っていたことが24日、分かった。関係者によると、当初の想定より高い数値が出たため、住民の帰還を妨げかねないとの意見が強まったという。調査結果は、住民が通常屋外にいる時間を短く見積もることなどで線量を低く推計し直され、近く福島県の関係自治体に示す見込み。調査結果を隠したうえ、操作した疑いがあり、住民帰還を強引に促す手法が批判を集めそうだ。
(中略)
関係省庁の担当者のほか、有識者や福島の地元関係者らが参加する原子力規制委員会の「帰還に向けた安全・安心対策に関する検討チーム」が昨年9~11月に開いた会合で調査結果を公表し、被ばく線量の低さを強調する方針だった。
しかし、特に大半が1ミリシーベルト台になると想定していた川内村の推計値が2.6~6.6ミリシーベルトと高かったため、関係者間で「インパクトが大きい」「自治体への十分な説明が必要」などの意見が交わされ、検討チームでの公表を見送ったという。

福島原発事故:被ばく線量を公表せず 想定外の高い数値で - 毎日新聞

上記の記事は、先月25日付の毎日新聞が報じたものです。原子力被災者生活支援チームが、当初公表を予定していた資料(※現時点では非公表)を、同社が入手し、それを元に書かれています。被ばく線量調査を実施した場所は、今日、避難指示が解除された田村市都路地区のほか、川内村、飯舘村の3カ所とのことです。

都路地区の調査結果については、記事に記載されていないためにわかりませんが、川内村の放射線量の数値は高いと報じています。

調査結果の公表を見送った原子力被災者生活支援チームですが、原発事故による被災者の生活支援を行うために、内閣府によって平成23年に設置されています。

活動内容は、「被災者の避難、受入れの確保(除染体制の確保を含む)」のほか、「被災者への被ばくに係る医療等の確保」や、「環境モニタリングと情報提供」などの諸問題について、関係機関や企業と調整を行い、総合的かつ迅速に取り組むとしており、経済産業大臣をチーム長として、官房副長官、関係省庁の副大臣などによって構成されています。

 原子力被災者生活支援チームについて(出典元:経済産業省WEBサイト)
www.meti.go.jp  

原発事故が発生した際に、国は放射性物質(放射能)の拡散予測システム 「SPEEDI(スピーディ)」によって、放射性物質の拡散状況をある程度、予測していたにも関わらず、当時、その内容を公表せずに批判を受けました。

事故発生直後、スピーディーの予測を知らされなかったばかりに、避けることができたかもしれない放射線の影響を受けた方々がいます。

スピーディと同じことが繰り返されないためにも、メディアに情報収集と発信を切望するとともに、私たちひとりひとりも、強い関心を持ち続ける必要性を改めて感じます。

国は、指示が解除された田村市以外に、現在、6市町村で早期の避難指示解除を検討しているそうです。そのなかには、川内村も含まれています。

報じられた川内村の放射線量は、避難指示解除の条件(※)を満たしてはいます。
しかし、記事に書かれていることが事実で、意図的に調査結果の隠蔽、操作が行われていたならば、都合が悪い情報を隠蔽しようとする体質に強い危惧を感じます。

川内村

(※避難指示を解除する際の放射線量の条件は、年間積算線量が20ミリシーベルト以下となっています)

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tohoku100nen.potaru.com

参考WEBサイト

 東京電力株式会社福島第一原子力発電所について-原子力被災者支援-(METI/経済産業省)
www.meti.go.jp  

Text:sKenji

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