【記事紹介】東北からのニュース ~避難指示区域に咲く桜~

sKenji

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今月に入り、東北から桜の開花をつげるニュースを目にするようになりました。その中から、河北新報、福島民報が報じた2本の記事を紹介します。いずれも、福島県富岡町から、桜の満開をつげるものです。

福島第1原発事故で全町避難が続く福島県富岡町の桜の名所・夜の森地区で、ことしもソメイヨシノがほぼ満開となり、長い桜のトンネルができている。
 2.5キロの道の両脇に約400本の桜の木が並ぶ。昨年の避難区域再編で桜並木全体のうち約300メートルが立ち入り可能となったが、大半は帰還困難区域に入り、バリケードで仕切られている。
 時折訪れる見物客は、写真を撮るのもそこそこに車の中に戻った。富岡町からいわき市に避難した飲食業堀部佳奈さん(27)は、原発事故後初めて見に来た。「人はいなくてもきれいに咲くんですね」。咲き誇る桜並木を寂しそうに車中からカメラに納めた。

人恋しや桜並木 福島県富岡町の名所・夜の森地区 | 河北新報オンラインニュース

富岡町の公式WEBサイトには、桜満開の夜の森地区を写した写真があります。美しい桜のトンネルです。けれども、どこか違和感を覚える画像です。

 富岡町 夜の森さくら 360°パノラマ写真 | 富岡町役場
www.tomioka-town.jp  

WEBサイトの写真は、複数の写真をつなぎ合わせたパノラマ写真となっており、マウスで移動させて見ることができます。写真をぐるっと一周してみると、白い放射線防護服を着た方たちが写っている写真がありました。

最初に感じた違和感は、美しい桜が咲き誇っているにもかかわらず、放射線防護服を着た人以外は、誰もいないことにあったようです。

公式WEBサイトに載せられている写真は、夜の森地区の2地点で、震災翌年の春に撮影されたそうです。現在、2地点のうち南側の「富岡第二中」付近は、「居住制限区域」であり、記事にも書かれているように、(一時的に)桜を見ることができますが、北側は帰還困難区域で、今も観桜はできないそうです。

夜ノ森地区

もう一本の記事は、同じ富岡町の宝泉寺の桜の満開を伝える記事です。

 富岡町本岡の宝泉寺。境内にある樹齢900年のシダレザクラが、東京電力福島第一原発事故から4度目の満開を迎えた。寺は原発事故に伴う居住制限区域にある。「今年は去年よりきれいに咲いた。みんなに楽しんでほしいのに。残念で仕方がない」。避難先のいわき市から車で約1時間かけて通っている住職の松村宏栄さん(64)は11日、ひっそりと咲く桜を見上げ、つぶやいた。
 シダレザクラは、ピンク色の花を付ける古木と、白い花を咲かせる木が夫婦のように寄り添う。古木は町の文化財に指定されている。夜の森の桜並木とともに町の桜の名所として広く知られ、見頃を迎えると、露店が並び、観光バスが列をつくった。夜のライトアップも好評だった。
 しかし、原発事故は桜の名所を一変させた。福島第一原発から直線で約7キロの距離にある寺は警戒区域となった。松村さんはこの年、生まれて初めて満開の桜を見ることができなかった。「悔しいというか、寂しい気持ちでいっぱいだった」
 昨年は、渡り鳥が芽をついばみ、よく咲かなかったという。今年は昨年よりきれいに咲いたが、震災前よりピンク色が薄いと感じている。「何の手入れもできずに3年以上が過ぎ、日に日に弱っているのではないか」と気掛かりだ。
 居住制限区域での除染の見通しは立っていない。それでも、「周囲が除染され、安心できる環境が整えば、震災前のように近所の人たちと花見をしたい」と願う。「いつの日か、必ず帰ってくる」。長い歳月を経ても、この地に咲き続ける桜に誓った。

桜に誓う帰還の夢 富岡の宝泉寺 原発事故から4度目の春 | 県内ニュース | 福島民報

宝泉寺

夜の森地区と宝泉寺の桜の満開を伝える2本の記事。故郷の桜を見ることができない、もしくは制限下でしか見ることができないことを伝える記事は、不安なく美しい桜を愛で、花咲く木の下で友人たちとお酒を楽しむことができる幸せが、貴重であることを伝えているニュースのようにも思えます。

記事紹介:sKenji

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