息子への手紙【空気の研究】水木しげるの「総員玉砕せよ!」 iRyota25 2016.06.07 3 5,873 0 昨年11月30日、水木しげるさんが逝去された後、書店には水木しげるコーナーが設けられ、戦争中の体験を描いた「総員玉砕せよ!」など、多くの作品が平積みで並べられた。そんな折り、氏を追悼する意味で本書の書評を書こうと思い立ったのだが、書評なんて堅苦しい文章を書くこ
【終戦から20数年の時代、SFに描かれた空気感】ウルトラセブン「メトロン星人」 Rinoue125R 2016.05.31 4 2,259 0 最初に放映されてから49年。半世紀前の作品なのだから、古典と呼んでもいいくらいなのに驚くほど今日的なのがウルトラセブン第八話「狙われた街」。 ウルトラセブンに変身する前のモロボシ・ダン(しかも、ウルトラ警備隊のユニフォームではなく私服)が、宇宙人とちゃぶ台を
【終戦から20数年の時代、SFに描かれた空気感】ウルトラQ「ナメゴン」 Rinoue125R 2016.05.31 3 2,625 0 ゴジラが「水爆怪獣」であるという設定は有名だ。石ノ森章太郎の「サイボーグ009」の敵、ブラックゴーストが死の商人を束ねる組織だということもよく知られている。鉄人28号はもともと旧日本陸軍が開発したロボットだったりもする。 アニメもヒーローものも制作者は戦争経験者
【終戦から20数年の時代、SFに描かれた空気感】ウルトラセブン「スペル星人」 Rinoue125R 2016.05.31 2 2,511 0 この作品についてはあまり詳しくは書きようがない。ウルトラセブンの第12話「遊星より愛をこめて」は、放映から3年後、永久欠番になってしまったからだ。 しかし、このドラマの設定にはどきっとさせられるものがある。最初のシーンである、宇宙パトロール中のウルトラ警備隊の
歴史を変えた「二・二六事件」から80年 Rinoue125R 2016.02.24 2 4,939 0 事件勃発 1936(昭和11)年、2月26日未明、陸軍歩兵大一連隊、歩兵大三連隊から合計1,500名に上る兵士たちが、数十年ぶりといわれる大雪の中、日本の政治の心臓部とも言える永田町、赤坂、半蔵門、麹町一帯へ向けて出動した。兵を率いたのは青年将校と呼ばれる陸軍の尉官(下
『稲むらの火』と甲子園のおにぎりマネージャー iRyota25 2015.11.07 3 5,232 0 80代の女性に小学校の頃の話を聞いていた時、国民学校(小学校)5年生の国語の教科書に載っていた『稲むらの火』の話題になった。彼女は物語のストーリーをよく覚えていた。庄屋の五兵衛が収獲したばかりの稲穂の山に火を放った犠牲的精神を鮮やかに思い出すと語った。 戦時中
あなたは【傷痍軍人】を知っていますか? Rinoue125R 2015.07.29 8 7,994 2 生まれ育った町には川を挟んで西側に区役所とデパートが2つ、東側にもデパートと駅と商店街があって、東西の繁華街を結ぶ通りは休日ともなると歩道が埋まるんじゃないかというくらいの人通りだった。バナナの叩き売りとか、ハブとマングースの対決、ヒヨコ釣りやオカヤドカリ
「赤字国債」復活から半世紀 Rinoue125R 2015.11.19 1 3,686 0 戦費捻出のための国債 第二次世界大戦中、国民に対して国債(戦時国債)購入を積極的に呼びかけてきた。証書に軍艦や戦車が描かれていることから分かる通り、目的はもちろん戦費を捻出するためだ。その結果、1945年の敗戦時には日本の国債発行額は国内所得の2倍を超える規模に
【終戦70年】世界平和のためのインデックス Rinoue125R 2015.01.09 3 1,613 0 平和は戦争の対義語だと思っていました、漠然と。しかし、戦争がないから平和だとは決していえないし、戦争と戦争がない状態はカッキリ区分できるようなものではなく、つなぎ目の痕跡すら分からないくらいの連続性をもっていることを、私たちは薄々気づいています。 2015年、
[空気の研究]戦争の終らせ方 Rinoue125R 2014.08.19 4 1,708 0 太平洋戦争開戦当時の連合艦隊司令長官・山本五十六大将は、近衛文麿首相から戦争の成算について尋ねられて「初め半年や1年の間は随分暴れてご覧に入れますが、2年3年となれば全く確信は持てません」と答えたと言われる。 その話を本で読み知ったとき、そんな無責任な見通しで
[空気の研究]笑いの向うに Rinoue125R 2014.08.15 3 1,494 0 笑いの向うに 広辞苑で越中ふんどしをひいてみたというと みんな笑いを浮かべて いまでは女性も恥ずかしがりもせず 明るく「どんななの」とたずねる 日本の男がしめていた六尺を 倹約して半分の三尺にしようと 越中守という殿様が考えついたらしいのさ つまり手拭の端に紐をつ
[空気の研究]いつか来た道、兵器産業復活はなぜ政府方針からこぼれ落ちたか Rinoue125R 2014.08.15 3 1,319 1 アメリカにこてんぱんにやられて敗戦して、占領されて、平和憲法を持たされることになって。日本は敗戦とともに軍国主義とは決別し、戦後69年ずっと平和国家としての道を歩いてきた——。そのように思うのが錯覚だと教えてくれる文章を引用します。 サンフランシスコ講和条約の
[空気の研究]世界大戦はいかにして勃発したのか Rinoue125R 2014.08.15 2 3,132 0 世界大戦と呼ばれる大戦争を人類が初めて経験してから100年が過ぎた。 第一次世界大戦が勃発した理由を訊かれて、100字程度で答えられる人などいないだろう。世界史の授業でオーストリア皇太子夫妻が暗殺された「サラエボ事件」とか「三国協商」「三国同盟」といった言葉を教
[空気の研究]戦死者が出ることが反戦につながるか Rinoue125R 2014.06.27 3 2,527 0 高村薫さんが語った「妄想から覚める劇薬」 5月22日の毎日新聞に掲載された作家・高村薫さんのインタビュー記事に、次のような一節があった。 高村さんは視線を落とし「最悪の想定ですが、集団的自衛権が必要という妄想から覚める劇薬はある」という。 集団的自衛権行使が認め
学徒出陣の記念碑 ~戦争の記憶を未来に~ iRyota25 2014.01.17 3 5,003 0 2020年、東京オリンピックのメイン会場となる国立競技場の敷地内に、「出陣学徒壮行の地」との石碑が建てられている。第二次世界大戦(太平洋戦争)最中の昭和18年10月21日、かつてこの地にあった明治神宮外苑競技場で、学業半ばでペンを剣に持ちかえて戦地へ赴くこととなった
[空気の研究]飯島耕一の死 iRyota25 2013.10.23 3 2,146 0 ひとりの詩人が死んだ。というか、亡くなっていた。 「戦後を代表する詩人の一人である飯島耕一さんが、今月14日、呼吸器不全のため東京都内の病院で亡くなった。83歳だった」 というような記事を読んで、何十年も前に古本屋の100円コーナーで買った現代詩文庫の表紙を思い出