久しぶりに沼津港へ行ってきました。
最近は観光客で大変混むため遠方から来た親戚や友人を案内する時ぐらいしか行くことはありませんが、昔は仕事でもよく行っていました。
高台はないんです
さて、狩野川の河口にも隣接するこの沼津港で大きな地震にあったら、大勢の観光客のみなさんはどこへ逃げればいいのでしょう?
試しにいつもの「高台サーチ」アプリで海抜20m以上の高台を探してみると…
地元の方ならご存知のように、この辺に高台なんてありません。アプリが見つけてくれた狩野川の対岸にある我入道(がにゅうどう)地区へ行くにはいったん港大橋まで戻って…なんてことになるので「走って6分21秒」なんて無理無理。歩いたら30分ぐらいかかります。
ということであらかじめ知っておくべきは「津波避難ビル」の存在ですね。沼津市のハザードマップで確認してみましょう。
沼津市の津波ハザードマップだと「赤い丸」が津波避難ビルなんですが、「第三地区・我入道」の字が邪魔だし沼津港のあたりには見当たりません、おかしいな…。
じゃあこのマップの素になっている静岡県の「第3次地震被害想定による津波ハザードマップ」で確認してみます。こちらです。
ああ、ありますね。こちらのマップだと「赤く塗られた■」が津波避難ビルです。そのひとつがこちら。
ちょっと見えにくいですが「みなとパーキング2号棟」と書かれています。このエリアでいちばん大きい立体駐車場です。この写真右端の建物。上のマップだと狩野川の北岸にある正方形に近いところがそうです。
沼津港エリアには商業施設ごとの無料駐車場もありますし、奥の方には誰でも無料で駐車できるスペースも結構あります(早い者勝ち&運しだい)。ただし誤って業者さんの駐車スペースに停めてしまったりするとたぶん死ぬほど怒られるので、業者さんが作業中の時間帯ではないことや、路面に業者さん名の表示がないかなど注意しましょう。
混雑のなか無料駐車スペースを求めてぐるぐる探し回るのがイヤだと言う方は最初からこの立体駐車場に停めるのが無難です。店によっては行列必至なので駐車場探しに時間をかけるのは歯がゆいですし、ここで高い階に停めれば万が一の時クルマを守ることにつながるかも知れません。
ちょっと話が逸れました。沼津港のお店がたくさんあるエリアで大きな揺れに遭ったら、まずこの駐車場やその近くにある高い建物へ逃げましょう。2階建ての建物では不十分です。
日本最大級の水門
もうひとつこのエリアで圧倒的な存在感を放つ津波避難ビルをご紹介しましょう。
こちらが沼津港のランドマーク、大型展望水門「びゅうお」です。さきほどのハザードマップだと「水路にまたがった赤」がこちらです。
沼津港のランドマークとして人気を集める日本最大級の水門
沼津港大型展望水門「びゅうお」は沼津港の内港と外港を結ぶ航路から進入する津波から港の背後地の50ha、 9,000人を守るために作られた水門です。
津波をシャットアウトする扉体(ひたい)は、幅40m、 高さ9.3m、重量は406tと日本最大級です。
これだけの大きな扉体なので、それを支える躯体も大きく沼津市ではその高さを生かして展望施設を併設しました。
展望スペースには、両岸に設置した13人乗りのエレベーターにより昇ることができます。
両岸の機械室の周囲を展望回廊がまわっていて、この展望回廊の床は、地上約30mです。
両側の展望回廊を幅4m、長さ約30mの連絡橋がつないでいて、北には愛鷹山、富士山、南アルプスを望み、遠く清水まで見渡せます。
また、箱根連山や沼津アルプスを見渡し、眼下には我入道海岸が広がり、その先に駿河湾に突き出した大瀬崎をくっきりと見ることができ、360度の眺望を楽しめます。
津波の侵入を防ぐ水門は津波避難ビルでもあるわけです。
いざという時には写真左の扉が開放され、階段で上へ避難することができるようになるのでしょう。ふだんは写真右の入口から有料のエレベーターに乗ります。久しぶりに入ってみました。
富士山が見えなかったのは残念でした。でもこの日は
素晴らしい魚の絵を描くことで知る人ぞ知る沼津市の小学生画家(と言っていいでしょう)、すずきしょうたくんの絵がたくさん展示してありました。
色づかいも構図も素晴らしすぎます。買えるなら買いたいぐらいです。しかも娘と同じ4年生だなんて!すごいなあ。
そんな親の気持ちなどお構いなし、景色もアートもなんのこっちゃの娘がそろそろ飽きてきたので、入った時とは反対側のエレベーターで「びゅうお」を降り、公園でひと遊びしてから帰りました。
沼津も大好き
むかし仕事でよく行っていた当時の沼津港は観光客もまばらで、いくつもの信号のない交差点を漁港関係者のクルマやフォークリフトが自信満々に横切っていく、ちょっと荒っぽい男仕事の街といった感じでした。
それが今では毎週すごい賑わいです。「ラブライブ! サンシャイン!!」による盛り上がりのずっと前からです。わたしは長いこと働いていた沼津が大好きなので、沼津港がこんなに賑やかになって良かったなあとしみじみ感動します。
ただ「びゅうお」という巨大水門があるとはいえ、東日本大震災時の映像を記憶しているわたしたちからすれば「水門の脇から津波が浸入してくるのでは」と思ってしまうのが正直なところ。実際その効果がいかほどのものかについては議論もあるようです。
津波を恐れすぎるということはないと思います。お出かけの際はこれら津波避難ビルの位置を確かめたうえで存分に沼津港を楽しんでください。ビール好き垂涎の「ベアードビール」も絶品ですよ♪
最終更新:
baikinman
すずきしょうたくんの絵が素晴らしすぎる。
小学生とは思えないですね。
それにくらべて沼津市の津波ハザードマップ。
大事なところが文字で見えなくなるなんて・・・。
pamapama
見ていて本当に楽しくなる絵でもっとたくさん載せたかったのですが、載せたいものをぜんぶ載せると結局ぜんぶになってしまうので仕方なく絞りました。
orangeoor18
> 高台はないんです
地元の人間ですが、書かれているように港からアプリの高台に移動するのはあまり現実的ではありませんね…。ハザードマップに書かれている津波避難ビルも全て安心して逃げられるかというと、ちょっと不安な建物もあります…。なのでpamapamaさんが記事を通じてやられているような事前の確認が大事だとあらためて思いました。
pamapama
地元の人間としては、いったん港大橋まで戻って目指すのがまた海沿いの高台(しかも遠い)なのは現実的ではないですよね。海から離れても香貫山まではもっと遠いし…。3階建て以上の建物自体はポツポツありますけど「緊急時に誰でも入れる」ことが大事なので、津波避難ビルの事前確認は必須だと思います。
akaheru
>「水門の脇から津波が侵入してくるのでは」
すごい立派な水門ですが、確かに「脇から入ってきそう」ではありますよね・・・。
でも、100%津波の被害を防ぐための堤防づくりは現実的ではないし、まずは「津波の侵入を遅らせる」という意味で機能してくれればと思います。
大事なのは「あくまでも時間稼ぎ」という認識を住む人達が持つことのような気がします。
pamapama
> 確かに「脇から入ってきそう」ではありますよね・・・。
3.11のショッキングな映像を観てそれを連想した市民は多いと思います。やっぱり「とにかく早く高台(津波避難ビル)へ」の徹底ですね。
cha_chan
沼津へは、夏の花火大会のときにジョギングで行きました。とても大きな街で、高いビルがたくさん建っているな、という印象でした。すずきしょうたくんのことは初めて知りました。オークションでいくらで買えるのでしょうね。売上金を動物保護団体へ寄付されているのも素晴らしいことですね!
pamapama
> オークションでいくらで買えるのでしょうね。
ある個展での出展作品数と寄付額を見ると1作品の落札額は「平均1万円ぐらい」だったようですが詳細は不明です。いずれにせよ個展へ足を運んで実物を見て心が動いたエネルギーでオークションに参加するのがいいんでしょうね。実物は素晴らしいですから…。