静岡県伊豆市土肥(とい)地区(旧土肥町)が「津波防災地域づくり法に基づく『津波災害特別警戒区域(オレンジゾーン)』」に指定される見込みです。
「津波防災地域づくり法」は2011年12月に施行された、津波に強い街づくりを進めるための法律。「津波災害警戒区域」に指定されると、病院など要援護者が集まる施設は「避難計画の策定や避難訓練の実施」が求められます。
「津波災害特別警戒区域」の指定は、全国で初めてとなります。
ここで確認しておきたいのは、特別警戒区域への指定は「国や県などから一方的に指定される」ようなものではなく「伊豆市が自ら進めてきた計画」だということ。
「防災に正面から取り組んでいるとの姿勢を示すことが重要」という考えに基づいて進められてきた計画を、地域住民のみなさんが了承したことにより決定したものなのです。
上の図にもあるように、「警戒地域」には
・津波災害警戒地域(イエローゾーン)
・津波災害特別警戒区域(オレンジゾーン)
・津波災害特別警戒区域(レッドゾーン)
という3つの段階があります。
伊豆市土肥地区が指定されるのは「津波災害特別警戒区域(オレンジゾーン)」。図の中では
1)病室等の居室の床面の高さが津波の水深以上
2)病院等の建築を予定した盛土等の開発行為の規制
と解説されています。
つまり、病院など支援の必要な人がいる施設は
「居室の床が、想定されている津波の高さ以上であること」
「この区域内に新しく建設する場合は、居室の床が想定されている津波の高さ以上になるようにする」
ということです。
上の図は、静岡県が2013年に公表した土肥地区の津波浸水想定。最大クラスの地震で津波が起きた場合、薄い水色の部分は「浸水深1m~2m」が予想されているエリア、濃い水色は「浸水深2m以上」が予想されているエリアです。
土肥地区が指定される「特別警戒地域(オレンジゾーン)」とは「基準水位が2m以上になる地域」とされています。
この「基準水位」と言うのは「想定されている浸水深さに、津波が建物にぶつかってせり上がった分を加えた水位」。つまり上の図での濃い水色エリアだけでなく、薄い水色エリア(の一部かもし知れませんが)もオレンジゾーンに指定されるはずです。
観光に悪影響?
ここでもういちど確認しておきたいのは、特別警戒区域への指定は「防災に正面から取り組んでいるとの姿勢を示すことが重要」という考えに基づいて「伊豆市が自ら進めてきた計画」という点。
簡単にまとめると、オレンジゾーンは「津波が建物にぶつかってせり上がった分まで想定して、支援が必要な人を守る地域」ということ。つまり「住民や来訪者を全力で津波から守りますよ」という決意を持った「津波対策が進んでいる地域」として名乗りをあげたのです。
しかし「特別警戒」という名称のイメージなどから「他よりも危険な地域という誤解」を招くのではないか、観光に悪影響を及ぼすのではないか、と心配されています。
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伊豆市にとって観光は大事な産業。伊豆市も含めて伊豆半島全域が全国ネットの旅番組、グルメ番組で取り上げられることは目に見えて増えています。
さらに、2020年に開かれる東京五輪で自転車競技(トラック・レースとマウンテンバイク)が開催されるのも伊豆市。観光客をもっと増やすためにはこの流れにはぜひ乗りたいところです。
伊豆市では2016年から専門家や観光関係者で協議会を作り、防災と観光をどうやって両立させるかを話し合ってきており、例えば「避難訓練に参加すると宿泊料金を割り引く」といったアイデアも検討しています。
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とどめは恋人岬と美しい夕日!土肥は魅力いっぱいなんです♪
春本番です。防災先進地域としての歩みを始める伊豆市土肥地区に、もっともっと大勢のお客さんが来ますように。
最終更新:
Vermeer
この記事を読んで、土肥に行きたくなりました。
地域ぐるみで津波からの防災に取り組んでいるので、いざという時はむしろその他の地域より安全に素早く非難できるように思います。
目先の利益だけに捕らわれずに取り組んでいるところが素敵です。
pamapama
山のイメージが強い伊豆市ですが、夕日のきれいな海もあるんですよね。高校の同級生も何人かいるのでぜひ土肥地区を応援したいです!
akaheru
>しかし「特別警戒」という名称のイメージなどから「他よりも危険な地域という誤解」を招くのではないか、観光に悪影響を及ぼすのではないか、と心配されています。
積極的に防災に取り組んだ結果、逆に観光客にあ警戒されるのはおかしいですよね・・・。
各自治体が伊豆市のように積極的に防災にもっと取り組んでいけば、結果としていい意味で目立たなくなるかもしれません。
pamapama
案内表示や施設など、来てもらえば安全さがわかる地域だったとしても、「特別警戒」という文言でそもそも来てもらえないのでは困りますしね。。。なんせ全国初ですから「呼ばれたい名称」を勝手に名乗ってしまっても構わないと思います(^-^)
cha_chan
「特別警戒」や「レッドゾーン」と言われると、観光で生計を立てている人にとってはマイナスのイメージが大きいかもしれませんね。ただ防災面では、このように危険な場所を示した名称でハッキリと地域を区別する必要がありますし、難しいですね。
そういえば最近温泉にほとんど行っていません。土肥温泉、ぜひ一度行ってみたいです!
pamapama
ひょっとしたらまだ金塊が眠っているかもしれないので、ぜひ行ってみてください(*^^*)
jina
津波防災地域づくり法はおそらく東日本大地震の教訓のもと施行されたかと思います。人の命を守るシンプルな課題がゴールかと思いますが国民に認知はされていないのでしょうか。恥ずかしいことですが津波災害特別警戒区域を知りませんでした。
伊豆市は全国初でこの法律に準じた計画を進めて行くあたりが同じ県民として誇りに思います。
今年の夏は土肥で遊びます!
pamapama
わが家は戸田ばっかり行っていて土肥の海をぜんぜん知らないので、この夏の行き先として真剣に検討開始です!