シリーズでご紹介していく「避難ルートを実際に歩いてみました」。今回は沼津の片浜・原地区へ行きました。
わたしの娘が通っているのはこの地区にある沼津特別支援学校。海岸まで1km足らずなので、障害のある子供たちが安全に避難できるかどうかがとても心配です。
参考にしている静岡県のハザードマップでは、この片浜地区や原地区は津波危険地区になっていません。その理由を要約しますと
・市西部地区の海岸は急深で緩やか。東日本大震災で被害が大きかった地域のようなリアス式海岸ではない。
・そのため津波が一箇所に集中して高くはならない。さらに海岸部の幅が広く高いため、海岸が自然堤防の役割を果たしている。
・1854年に発生した安政東海地震(マグニチュード8.4、沼津は震度6だったと推定されています)で原付近の津波高は3m以下であり、「間門村より元吉原までは格別なこともなし」との史実が残っていることから、浸水の可能性は低いと考える。
・また、千本地区から富士市五貫島まで延長20kmで整備された防潮堤の高さは、9m~17mあり、県第4次地震被害想定の最大クラスの津波3.6~5.0 mの想定高に比べて高くなっている。
・以上の理由で、地震・津波工学の専門家も津波による浸水の可能性は低いと見ている。
とのことでした。
結論から言うと「この地区は、防潮堤より陸側なら津波の心配はないと想定している」ということですね。
下の図を見ると、このあたりで想定されている津波の高さ(赤い数字)は「4.3m」。沼津特別支援学校に隣接する原東小の標高(青い数字)が「4.6m」ですが、防潮堤の高さ(白ヌキ数字)は「17.0m」なので「浸水の可能性は低い」と想定しているようです。
ただ、「なだらかな海岸線だから津波が高くならない」という想定に対してわたしが連想するのは東日本大震災の時に見た「仙台空港周辺を襲う津波の映像」です。
参考までに仙台空港は海岸からの距離が約1.4km、標高は約1.7mです。その付近の当時の海岸堤防の高さは「6.2m」(現在は7.2m)だったそうです。津波はそれを超えて仙台空港にまで達したということになります。仙台空港のターミナルビルは「3.02m」の高さまで冠水したそうです。
あの映像を思い出すとどうしても「それでも津波はやってくる」と思ってしまいます。いえ、そう想定しておくに越したことはないでしょう。
ということで、先日学校へ行った際に防災アプリ「高台サーチ」を使って「学校にいる時にはどこへ避難するのか」を調べてみました。
以前、学校での行事に出席した際も、想定している津波の高さはハザードマップでの想定よりも高いものだったと記憶しています。そこで今回は「とにかく標高10m以上のところへ逃げたい」という条件で検索してみました。
このあたりの地理をご存知の方ならすぐに「高台なんてないよ」とわかります。そう、このあたりは海岸から「愛鷹山」の始まりあたりを東西に走る「根方街道」まではひたすら平地。高台にたどりつくにはかなりの距離を移動する必要があります。
結果は走っても6分以上かかる場所でした。
このアプリはあくまでも「地形」で検索するためこのような結果になりますが、現実的にはこの地区の学校へ通う子供たちは「高い階」へ避難することになるのではないでしょうか。沼津特別支援学校は3階建て。隣接する原東小学校も3階建て。近くにある市営原団地が5階建てです。
さらにもし海の近くである片浜・原地区の海岸にいて強い揺れを感じたら、まずは防潮堤を超えて海岸から少しでも離れること。近くにある少なくとも3階建て以上の建物に避難したいですね。
ただし、高台が遠いので仕方がありませんが、本音を言えば「建物の中・上」というのはどうしても不安が残ります。甘い想定ではいけませんが、どうか津波が来ても想定通りに防潮堤でとどまってくれ、というのが親としての願いです。
最終更新: