今月22日付河北新聞の記事が「宮城県亘理町荒浜地区で亘理町水産センターの再建工事が始まった」と報じている。
東日本大震災の大津波で全壊した宮城県亘理町荒浜漁港の町水産センターの再建工事が21日、始まった。町が国の復興交付金を活用し、郷土料理はらこめしのシーズンに合わせてことし9月の再オープンを目指す。主に地元農水産物の直売所や津波観測施設などが入居する。町は新施設を荒浜復興に向け、観光客の誘致などにぎわい再生の拠点として期待を寄せる。
亘理町の復興計画と状況
震災発生から、2年10か月が経ってのニュースだった。亘理町が平成23年12月に策定した復興計画によると、平成32年度までの10年間を「復旧期」「再生期」「発展期」の3期に分けて復興事業に取り組むとしている。「復旧期」は平成25年度完了予定であり「町民生活の再建や企業活動の再開に必要な住宅、社会生活基盤等の復旧と整備を早期に進め、安定した生活や企業活動を取り戻す」とのことだった。
しかし、昨年の夏、同町にいちご団地が完成した明るいニュースがある一方、荒浜地区の状況は「安定した生活や企業活動を取り戻している」ようには思えない。
昨年7月に荒浜地区を訪れたのだが、その時はまだ港の護岸は壊れたままであり、企業が活動できるような環境ではないように見えた。
実際に、荒浜地区の復旧状況について調べてみると、人件費、資材高騰による復興工事入札不調などで復興に遅れがあるという。
今後の復興計画について注視
町の復興計画では、平成26年度から「発展期」と位置付けている。亘理町では、発展期について「亘理町が更なる発展を遂げ、新たな魅力と活力にあふれ、災害に強いまちとして復興を遂げる期間」と定義している。
荒浜地区に限って言えば、先月5日付の日刊建設新聞によると、第7回復興交付金事業で荒浜地区の水産加工施設整備に14・7億円が認定されたという。
亘理郡亘理町の第7回復興交付金事業は、5事業で総額101億5000万円となった。東日本大震災で被災し、再建を目指す水産加工流通施設や漁具倉庫の整備事業が認可された。このうち、水産加工流通施設については、年度内にも民間事業者の公募を開始し、審査会で選定を進めていく方針だ。
水産業共同利用施設復興整備事業の水産加工流通施設の整備には総額14億7000万円が認定。町震災復興計画に基づき、水産加工流通施設の整備について、国や町が支援することにより、地域水産業の復興を図ることを目的とする。
整備予定地は、町震災復興計画で水産ゾーンに位置付けられた荒浜地区の北側を想定。民間事業者を公募し、審査会で選定を進めていく。総事業費の8分の7を補助する。荒浜漁港で揚がった水産物を活かした商品の開発・製造・流通にとともに地域雇用の増大を図る。今後、審査会を立ち上げ、年度内にも公募を開始する見通しだ。
入札不調などもあり、遅れが指摘されている亘理町荒浜地区の復興事業。今後、計画通りに実施されるかを注目したい。
亘理町の観光拠点として期待
亘理町水産センターのオープンは今年9月予定。同時に町営温泉施設「わたり温泉 鳥の海」の日帰り温泉も再開させるという。「わたり温泉 鳥の海」は、震災前、併設されていた産直施設も含めて、年間約17万人が訪れていた亘理町の観光拠点だったという。
少し先の話ではあるが「亘理町水産センター」と「わたり温泉鳥の海」が予定通り再開して、亘理町観光の拠点となり、荒浜地区の復興が進むことを願いたい。
亘理町・荒浜地区
Text & Photo:sKenji
最終更新:
iRyota25
「人件費、資材高騰による復興工事入札不調などで復興に遅れがあるという」とのことですが、理由は?
「遅れが指摘されている亘理町荒浜地区の復興事業。今後、計画通りに実施されるかを注目したい」とのことですが、都民・国民の多くの方がたに注目してほしいですね。
sKenji
復興事業に必要な人、モノともに需要が大きく、現在、不足気味のため、価格が上がっているそうです。そのため、応札者がいなかったり、いたとしても行政の見積もり金額との隔たりのために不調となっているもようです。
また、その他にも、人、モノ不足で手が回らないという要因もあるようです。