平成28年熊本地震の発生から1ヶ月以上が経ち様々な問題が山積しているなか、住宅を損壊された方々のことが心配です。
先日、ニュースを見ていると、ご自宅が全壊した方が「家が無くなってしまった。家が無くなってしまった」と繰り返し口にされていました。思い出が詰まった家をなくした喪失感、そして今後の住む場所についての不安が痛いほど伝わってきました。
熊本地震の一連の揺れにより、22日午後1時半の時点で少なくとも9万2千棟以上の住宅被害が確認されています。このうち全壊は7千8百棟以上、半壊は1万7千棟以上、一部損壊は6万7千棟以上あるといいます。家屋の被害調査は現在も継続されており、被害件数はさらに拡大すると思われます。また、避難所で生活をされている方が9千百人いらっしゃるとのことです。
倒壊した家屋について
熊本地震で倒壊した住宅は、1981年の建築基準法改正以前の旧耐震基準に基いて作られたものが多いといいます。
しかし、新聞等でも報じられているように、新しい耐震基準で造られている家屋でも倒壊したものがあります。
これは、現行の新耐震基準が震度6強から震度7程度の「大きな揺れ」に耐えられるように定められてはいるものの、複数回の大きな揺れを想定していないことによるといいます。そのため、1回目の前震に対しては耐えたものの、強度が落ち、2回目の本震で倒壊したことが指摘されています。
今回の熊本地震の教訓のひとつは、「新耐震基準を満たしており、一見倒壊の危険性が低そうな家屋でも、大きな揺れに襲われた後は避難すべき」。ということがあると思います。
耐震等級3の住宅について
地震の揺れに耐えて倒壊しなかったとしても、強度の低下により建て替えもしくは大規模な補修が必要になった場合、経済的負担は計り知れないものがあります。
現在の住宅は耐震レベルによって耐震等級1から3まで3段階あるといいます。耐震等級1は現在の建築基準法を満たしているレベル。耐震等級2は耐震等級1の1.25倍、耐震等級3は耐震等級1の1.5倍の揺れに耐えるものと規定されています。
京都大学工学研究科の研究グループの計算によると、震度7クラスの地震に2回耐えるためには現行の新耐震基準の1.5倍の耐震強度、つまり耐震等級3が必要なのだそうです。
当然、耐震等級が上がると建築コストも上昇します。しかし、その金額はわずかとも聞きますし、何より建て直しをせざるを得なくなった時のことを考えると、耐震等級3の住宅も選択のひとつとして積極的に検討する価値があるように思います。
今後、コストダウンの研究が進むと同時に、耐震等級3の住宅が一般的になることによって、費用が抑えられることを期待したいです。
避難生活を送られている方々への支援について
今朝の西日本新聞の記事によると、防衛省が人数、宿泊日数限定ながらもフェリーでの宿泊、食事、入浴の無料提供を実施するそうです。
2、3日というのはとても短いように思います。しかしたとえ僅かな日数でも、少しでも快適性が高い環境で定期的に過ごすことにより、過酷な避難生活を送られている方々の支えになるように思います。避難生活が長引いていることから、このような支援活動が継続されることを願います。
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