熊本県上益城郡益城町。秋津川近くの古くからの住宅地だけでなく、なだらなかな高台に広がる住宅地でも大きな被害が出ている。家が完全に潰れてしまう状況でなくても、多くの家々に「赤紙」が貼られている。
[熊本大地震]赤紙が貼られた家が並ぶ住宅地で
赤紙とは応急危険度判定で「危険 UNSAFE」と判断されたことを示す紙のこと。余震による倒壊、壁や瓦の落下で住民や通行人が二次災害に巻き込まれる危険があるので入らないようにという注意喚起をする紙だ。(地元の方はこの紙を文字通りアカガミと呼んでいた)
ブロック塀の倒壊から身を守る方法はあるのか
赤紙が貼られた家が並ぶ住宅街では、外見上建物の被害がそれほど大きくは見えなくても、敷地の外回りには地震の烈しい爪痕が残る。そのひとつがブロック塀だ。
45度くらい傾いているブロック塀は、内部に入れられた鉄筋で辛うじて倒れずに残っている。その手前、軽いフェンスが載っていただけのブロックは、鉄筋が入ってなかったのだろう、ばらばらに壊れて散乱している。
烈しい地震でブロック塀や自動販売機が倒壊して、通行人が下敷きになる。その危険や恐怖を被災地のブロック塀は物語る。
被災したばかりの町で防災を語るのは気が引けるが、倒壊したブロック塀の写真から、日常生活の中で歩く道のことを想像してみてほしい。通勤や通学、買い物などへ行く途中にもしも大地震でブロック塀が倒れかかってきたらどうなるか。
烈しい地震では揺れの中で立っていることすらできない。そしてそんな地震は突然やってくる。
ふだんからブロック塀のない道を歩くようにするか、ブロック塀から離れて歩くようにしない限り、身を守るのは難しい。
前もって考え、考えるだけでなく話し合い、話しあうだけでなく家族の習慣にしておく必要がある。加えてブロック塀だけではない町の危険物を意識しておくことも大切だろう。
家の中はどうなっているか?
大きな塊として倒れたり、原型を留めないほどばらばらに散乱していたり、粉々に砕けていたりする被災地のブロック塀。その壮絶な倒れ方から想像してみてほしい。
赤紙が貼られた住宅には、一見健全に見えるものも少なくない。しかし、外構のブロック塀がここまで無惨に破壊されているのだ。倒れることなく斜めに危うい形で残るブロック塀は中に入れられた鉄筋のおかげで倒壊を免れただけ。しかし、家の中の家具などは鉄筋で固定されてなどいない。
建物の内部はばらばらに壊れて散乱したブロック塀と同じように、想像を絶する状況だろう。そしておそらく、破壊は室内だけでなく、建物の構造を支える部分にまで及んでいることも考えられる。
昨夜(4月27日)、同級生から連絡があった。熊本市中央区に住んでいる彼のマンションに赤紙が貼られていることを初めて知った。「無事だけどね」という言葉の向こうに破壊され尽くした屋内の状況が見えた気がした。
※ 熊本地震の被害を伝えるため、個人の住宅の写真を掲載させていただきました
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