大丈夫???自閉っ子が学校に泊まってみる!

pamapama

公開:

8 なるほど
5,944 VIEW
10 コメント

娘が通う特別支援学校では、4年生になると「宿泊学習」という「学校に一泊する日」があります。

これは6年生での修学旅行を控えて「外泊の練習」という意味合いもありますが、もっと大事なのは「災害などで家に帰れなかったとき」「避難所で生活するとき」などに備えて「親と離れて学校に泊まる」「集団の中で過ごす・泊まる」経験をするということです。

「きょうは学校に泊まるよ」と言ってはみたものの理解はできませんから、実質「何も知らずに」スクールバスに乗り込む娘。しめしめ。
「きょうは学校に泊まるよ」と言ってはみたものの理解はできませんから、実質「何も知らずに」スクールバスに乗り込む娘。しめしめ。

うちの娘の課題

すごく小さい頃に娘だけを実家に泊めたことはありますが、物心ついてからわたしたちと離れて泊まるのは初めてです。

自閉症スペクトラムと言っても実に様々なタイプがありますから、それぞれの親御さんがそれぞれの心配ごとを抱えながら一晩を過ごします。うちの娘が学校に泊まるにあたって心配な点は次の4つです。

心配その1「ちゃんと食べるか」

娘はあまり好き嫌いはないものの「その日の気分」によって出されたものを食べる食べないがとてもハッキリしており、ママが何度も作り直しを命じられる日があるほどです(まるで海原雄山)。

給食は好きなようでほぼ毎回完食していますし、この日の晩ごはんは好物のカレー。でも果たしてこの日が「カレー気分」なのか、ちゃんと食べてくれるかがまず心配。

さらに厄介なのが、食べたら食べたで「足りるか」ということ。みんなで作ったカレーを食べる時間は16時30分。ふだんの晩ごはんより2時間早いです。

最近おとな並みの量を食べるあの「怪獣」がこんな時間に晩ごはんを食べ終わって翌朝までもつのか?19時のおやつ「バナナ」が頼みの綱です。

心配その2「ずっと学校にいることをどう思うのか」

娘がふだん学校にいるのはほとんど15時過ぎ、時々13時過ぎまで。その時間になると「放課後等デイサービスの送迎車」あるいは「帰りのスクールバス」に乗って自宅方面へ向かいます。

でもこの日は「ずーーっと学校」です。重度の知的障害をもつ娘であっても「毎日のリズム」は頭や体に入っていて、それがなんとなく快適だと思ってることは見ていて感じ取れるのですが、この日は待てど暮らせど大好きなクルマに乗り込むことはありません。

「あれーきょうは帰りの会もないし、クルマにいかないし誰も帰らないなーなんでかなー」みたいな疑問はわくのでしょうか。娘の脳みそを覗きたいです。

心配その3「眠れるか」

娘は誰かにくっついていないと寝付けません。特に娘がこだわるのは自分の腕や肩、顔の目のあたりにわたしやママの「腕を置け」ということ。

身体や顔、目のあたりに「ある程度の重さ」と「温度」がないと寝付けないのです。

熟睡してしまえば離れても大丈夫なのですが、夜中にちょっとでも意識があると、目は閉じたままでもわたしやママの腕を「ちゃんと乗せとけ!」とばかりに引っ張ります。

「腕を乗せていないこと」はわたしたちの「怠慢」だと思っているようで、寝ぼけながらも娘は怒っており引っ張り方がとても乱暴。しかも爪を立てるのでとても痛いです。

しかもこの日はふとんではなく「寝袋」なのです(災害用に各自学校に置いてある)。娘があんな袋状のものにおとなしく入っているのか、そして「誰かとくっつきたい」件はどうなるのか?先生に「添い寝を命ずる」のか?

心配その4「よりによって暴風雨」

この日は深夜から翌日の明け方にかけて暴風雨の予報が出ていました。

以前にもご紹介したように自閉っ子には気圧の変化に弱い子が多いです。ウチの娘はかなり弱いです。あと窓のすき間からビュービュー聞こえてくる風の音も大嫌い。

災害時の訓練を兼ねているとはいえ、よりによってこの日が暴風雨だなんて…心配ごとにオプションがついてしまいました。

帰ってきた!

「娘の世話から解放されるなんて超楽しみ♪♪」とこの日を心待ちにしていたわたしとママ。張り切って外食の予約までしていたのに、食べながらするのは娘の話ばかり。

外食から帰っても「静かすぎる」「手がヒマ」「おひざがフリーで軽すぎる」「好きな姿勢で寝れるなんて変」。

翌朝も「することがない」「時間があまった」「米を炊きすぎた」と娘がいない違和感でとてもぎこちない始まりでした。
 
宿泊あけではありますが「いつものリズムで過ごさせよう」ということでこの日も放課後等デイサービスに行かせた娘。でも結局ママは待ちきれなくて、早めにお迎えにいったのでした。

そんなママを待ち受けていたのは娘のこんな表情でした。

絶妙ですねこの笑顔。心から笑っているのではなく無理してます。

「ずっと学校にいてヘンだったよ~でもがんばったよ~でも限界ふがー、はやく帰ろうよ~~」

って顔に書いてあります(笑)。

結果発表~~~!

娘はしゃべれませんので、学校での様子を知る手がかりは先生が書いておいてくれた記録だけです。とても丁寧に書いておいてくれました♪

ちゃんと食べたか

★調理 夕食★
調理はあまり気持ちが乗らず、ゆでたジャガイモを袋に入れてもんだり(ポテトサラダ用)、友達が切った野菜を鍋に放ったりするのをサッと経験しました。カレーはまさにモリモリと2皿ペロリ完食でした。

★朝食★
おにぎり2コとからあげ、ウインナー、たまご焼きの入ったセットをたまご焼きとおにぎりの具のシーチキンマヨネーズ以外はペロリと完食!!もの足りないようだったので私のウインナーとからあげも泣く泣くわけてあげました(^^)

先生より

調理は「気持ちが乗らず」「野菜を放って」やりすごした娘。「サッと経験」ってなんだ(笑)。そのクセ「モリモリと2皿」なんてズルいね。

家では最近あまり食べない朝ごはんも、先生が「泣く泣く」わけてくれるほど食べたそうです。食べることはまったく心配いりませんでした(^_^;)

ずっと学校にいることをどう思ったのか

★入浴★
浴槽のふちに足をおいて前のめりになり、手をチョンチョンと湯につけていましたが、最後まで湯船にはつからず…。あつかったのかな?

★夜のお楽しみ★
カラオケコーナーでいろいろな歌をききました。この時間にT先生(昨年の担任)も来てくださり、ひざの上にのってカラオケを楽しむことができました。

先生より

温泉が大好きで放っておけば少々熱いお風呂だっていつまでも出たがらない娘なのに、学校のお風呂(お友達と3人で入る)はちょっと勝手が違ったようでした。

カラオケは先生の「ひざの上」でしたか(笑)。本当に甘えん坊で困りますが、とにかく歌が大好き。長い長い学校での時間も歌さえあればリラックスして過ごせるようです。「NO MUSIC NO LIFE」。

大雨の夜に眠れたか

★就寝22:00~起床4:30★
ねぶくろで横になり電気が消えると先生の腕をとりニコニコ ^_^
しばらくするとぐっすりと眠りました。
朝は4:30に歌を口ずさみ起床。30分ほど横になったり起きたりをくり返していました。起きたあとも本を読んで6:30まですごしました。

先生より

寝袋の中にちゃんと入ったのか寝袋の上で横になったのかはわかりませんが、やっぱり「先生の腕をとり」でしたね、先生スミマセン(^_^;)。でも「ニコニコ」していたのは先生と一緒に寝れるのがうれしかったからでしょうね。

雨はたくさん降っても、風は予報よりだいぶ弱かったので良かったです。娘はふだんから7時間寝れば大丈夫なので、学校で興奮した分さし引いて6時間半睡眠なら上等でしょう。起きてすぐ歌うのも普段どおりです(^^♪

帰宅後すぐに食べられるようママが「お弁当形式」の晩ごはんを用意。一瞬で食べ尽くしたあと「なんか麺類つくれ」とばかりにどんぶりを取り出そうとしました。もう普段どおり(*^-^*)
帰宅後すぐに食べられるようママが「お弁当形式」の晩ごはんを用意。一瞬で食べ尽くしたあと「なんか麺類つくれ」とばかりにどんぶりを取り出そうとしました。もう普段どおり(*^-^*)

少しずつ成長してます。

娘は天気の悪さも環境の変化もしっかり受け止めて穏やかに楽しく過ごせた宿泊学習。

まだまだ手がかかることはたくさんありますが、以前に比べて娘が落ち着いている場面が増えてきたように感じています。びっくりするぐらいゆっくり、でも確実に成長しています。

そわそわしてちっとも落ち着かなかったのは娘ではなく、わたしたち親の方だったのでした。わたしもママも身体はとても楽な1日だったのに「娘がいないのは年にこの1日だけでいいや」という感想で一致しました(*^-^*)。

最終更新:

コメント(10

あなたもコメントしてみませんか?

すでにアカウントをお持ちの方はログイン

  • J

    jina

    ママと再開した時の笑顔、そして宿泊時の先生のレポ、どれもホッとしてウルッとしました。
    彼女は彼女のペースで日々成長している。。私たちもがんばろうと思える記事でした!!

    • P

      pamapama

      きょうで一学期が終わり、ママにとっては「恐怖の」夏休みがやってきます。でも落ち着いている時間が増えてきたと思うので、さらにいい子になって「夏休みにグーンと伸びた子」って言われたいですね(*^-^*)

    • A

      akaheru

      >わたしもママも身体はとても楽な1日だったのに「娘がいないのは年にこの1日だけでいいや」という感想で一致しました(*^-^*)。

      我が家では以前、子どもたちだけでばあばの家に泊まりに行ったことがあります。

      最初は「何を食べようか」とかワクワクしたものの、気がつくとpamapamaさん同様子どもたちの話ばっかり。翌朝早く迎えに行ったのでした(笑)

      • P

        pamapama

        帰ってきた日は娘に嫌がられるほどベタベタしてやりました(^^)/

      • C

        cha_chan

        ご両親の心配を他所に、しっかりとお泊りできた娘さん、すごいと思います!
        いつも当たり前にいるはずの子供がいない時の物足りなさや、なんか変、という気持ちがよく分かります。我が家は長男がかまってちゃんなので、たまに実家のじいじばあばの家にお泊りすると、そんな気持ちになります。

        • P

          pamapama

          ほんとうにぽっかり穴が開いたようでしたが、それを楽しめるようにこちらも「成長」したいと思います(*^-^*)

        • B

          baikinman

          親はいろいろ心配するけど、子どもはちゃんとやるんですね。

          娘さんと同級生の我が息子は、お友達にお泊まりに誘われても「ママがいないと無理だ」と言ってます。

          来年は自然教室で宿泊がありますが、息子を信じて見守りたいと思います。

          • P

            pamapama

            子どもってすごいですよね。来年もそわそわすると思いますが、ことしよりは楽しめそうな気がします(^^)/

          • O

            orangeoor18

            カレー2皿とは大人以上の食欲ですごいです!カレーはやっぱりお泊まり系の行事では鉄板メニューですね。
            > サッと経験しました。
            自分こちらが気になりました(笑)

            • P

              pamapama

              カレーは偉大ですね。
              > サッと経験
              本当に一瞬参加しただけなんでしょうね(^_^;)