早朝は青空が広がっていたものの、太陽が高くなるにつれ徐々に雲がでてきた。
大菩薩連嶺の東側を覆っている雲が稜線を越えて西側へと流れ込むものの、晴れの勢力に負けて雲が消える。そのせめぎ合いがとてもダイナミックで、いくら見ていても飽きることがなかった。
雷岩から30分ほど歩くと「賽の河原」に到着する。賽の河原は、冥土の三途の川にある河原で、亡くなった子供が父母の供養のために石を積んで塔を作る場所と言われている。
緑溢れる明るい稜線上の趣とは異なり、どこか荒涼感も漂う場所である。
賽の河原の近くにある「親不知の頭」に上ると大菩薩峠が見えた。ここで昼食を取ることにする。
食べ終って少し休むと大菩薩峠へ。峠には山小屋・介山荘が建っている。
大菩薩峠に到着。ここから上日川峠へと下る。ほかに石丸峠に続く登山道もあるので、時間や体力などに応じて下山コースを選ぶことができる。
ササが生い茂る美しい斜面を見ながら下山開始。
大菩薩峠と上日川峠を結ぶ登山道は、なだらかな上に道幅も広くて歩きやすい。山道というよりもハイキングコースのようである。
下山途中に小川が流れていた。清涼感があり、疲れていなくても一休憩したくなる場所である。
小川から少し歩くと富士見山荘がある。しかし、現在は営業していないとのこと。
富士見山荘から5分ほど歩くと福ちゃん荘に着く。ここから朝登ってきたのと同じ道を戻り、上日川峠の登山口に下山した。
今回は登りに急な坂道の唐松尾根コースを選んだが、逆回りの大菩薩峠を経由して山頂を目指すのもおすすめである。
逆回りのコースは山頂まで緩やかな登りで、下山は急な下り坂となる。登りが楽であるという良さがある反面、怪我をしやすい下山時の危険性が増すので注意が必要である。
大菩薩嶺の魅力について
大菩薩嶺の一番の魅力は開放的で気持ちの良い稜線歩きにあると思う。秀麗な富士の姿を見ながら美しいササが生い茂る中の道を歩いていると、まるで天上を散歩しているような爽快さがある。
素晴らしい山岳風景に加え、標高2,000メートルを越える山でありながら登山口から山頂までの所要時間が短く、歩きやすい安全な登山道。このような良さを持った山は少ないのではないかと思う。
実際に歩いてみて、なぜ多くの人が大菩薩嶺に登りたいと思うのかよくわかった山行であった。
大菩薩嶺
Text & Photo:sKenji
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