山登りのススメ Vol.28 ~雲取山~

sKenji

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ビルが建ち並ぶ大都会を連想してしまう東京にも、ここが本当に日本の首都だろうかと思ってしまうほど豊かな自然やのどかな集落が残っている場所がある。奥多摩エリアである。その奥多摩にある山の盟主とも言うべき存在が雲取山で、標高2,017メートルは東京都の最高峰である。

雲取山と言えば「東京都の山」という印象が強く、漠然と奥多摩方面から登ることしか頭になかったのだが、いざ登ろうと思い調べてみると、埼玉県側からの登山ルートも存在した。しかも、歩行時間が奥多摩方面のメジャーなルートよりも短く、日帰り登山も可能であった。

そこで、シルバーウィークに奥秩父エリアの他の山とセットで登ることにし、行ってきた。

雲取山登山レポート

雲取山の主な登山ルートは奥多摩方面から登る「鴨沢ルート」と「三条の湯ルート」、奥秩父方面から登る「三峯神社ルート」の3つがある。

人気が高く、登山者が多いのは鴨沢ルートである。三条の湯ルートは3つのなかで最も歩行時間が短いコースではあるが、登山口までの林道が工事で通行止めになっていることも多いと言う。そして、今回私が登ったのが三峯神社ルートで、埼玉方面に住んでいる方にとっては登山口へのアクセスが良い。

 雲取山簡易登山マップ
www.pref.saitama.lg.jp  

三峯神社ルートの標準的なコースタイムは往復でおよそ10時間半。日帰りで登ることにする。

三峯神社の駐車場に車を停める。駐車場は広く、普通車を約300台ほど停めることができる。ただし、満車で駐車待ちになる場合もあるので注意が必要である。

駐車場から朝日を受ける雲取山が見えた。距離は直線で約8kmほど。あそこまで歩くのかと思うと気が引き締まる。

駐車場脇の小道から登山口へ向かう。

駐車場から歩き始めてすぐの所に三峯神領民家と呼ばれる古民家がある。

江戸時代、この辺りは三峯神社の神領になっており神社南側の斜面には集落があった。住民は神社に年貢を納め、賦役に従事していたという。この古民家は実際に使われていたものを1979年に移築、復元したものである。

駐車場から登山口までは石畳の道を歩く。

駐車場から5~10分ほど歩くと鳥居が現れる。ここが登山口のようで、地面が石畳から土へと変わる。

登山口からしばらくの間は立派な杉林が続く。神社特有の厳かな雰囲気が漂う区間である。

登山口から1時間20分ほど歩くと炭焼平に着く。ここはその昔、木炭が作られていた場所で、今でも炭焼きに使用した当時の釜が残っている。

炭釜の脇にあった説明板によると、木炭は焼き方により黒炭と白炭の2種類があるという。黒炭は消火する際に釜を密閉し、空気を遮断することによって消火するのに対し、白炭は外にかき出し、水分を含ませた灰や土をかぶせて消火するそうである。白炭でよく知られているものに備長炭がある。

炭焼平で作られていたのは白炭である。昔、秩父地方では白炭が作られていたものの、戦後は重労働な白炭から生産効率の高い黒炭へと切り替わったという。

炭焼平から50分ほど歩くと霧藻ヶ峰に着く。山頂には休憩所がある。

霧藻ヶ峰は以前、地元の人に燕岩と呼ばれていたらしいのだが、1933年8月、秩父宮雍仁親王が登山をされた際に、サルオガゼ(霧藻)が多かったことから霧藻ヶ峰と命名し、現在の名称になっている。

天候が良ければ、霧藻ヶ峰の小屋から両神山など奥秩父エリアの山々を見ることができる。

雲取山頂までの登山道は、その大半が木々に覆われているものの、樹木が美しく気持ちの良い道である。

霧藻ヶ峰から1時間半ほど歩いた所に白岩小屋跡がある。廃屋となっているものの、簡易トイレが設置されていた。ちなみに雲取山(※三峯神社コース)は、要所要所にトイレが設けられている。

小屋跡のすぐ近くには見晴らしのよい場所がある。ここは三峯神社コース上で最も展望が良いポイントだと思う。正面にある白石山などの山々がとても大きく感じられる。

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