山登りのススメ Vol.29 ~大菩薩嶺~

sKenji

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山梨県にある大菩薩嶺には毎年多くの登山者が訪れる。人気の秘密は山頂付近の素晴らしい風景に加え、東京からのアクセスの良さ、小さな子供から年配の方まで歩きやすい登山道にある。

かなり前に大菩薩嶺山頂付近を写した一枚の写真を見たことがあった。ササが広がる展望の良い稜線に爽やかさを感じ、一度は登ってみたいと思っていた山であった。

先月のシルバーウィーク、その大菩薩嶺に登り、気持ちの良い稜線を歩いてきた。

大菩薩嶺登山レポート

大菩薩嶺の山頂に至る登山ルートは複数あるが、今回は最も人気が高く、そしてコースタイムも短い上日川峠の登山口から頂上を往復するルートで登る。

 大菩薩嶺簡易マップ(大菩薩観光協会)
www.daibosatsukankokyoukai.net  

上日川峠には第一から第四まで4つの駐車場があり400台以上の車を停めることができる。しかし、新緑や紅葉などのハイシーズンの週末になると、停めることができないケースも多い。

峠にはキャンプ指定地があるので、確実に車を停めたい場合は、前日の夕方あたりに現地へ行き、キャンプをして翌日に山を登るといいと思う。

指定地は林の樹木を切り開いただけのシンプルなもので、トイレは近くの公衆トイレを利用することができる。

峠には山小屋・「ロッジ長兵衛」もあり、宿泊や食事をすることができる。

上日川峠の登山口はロッジ長兵衛の横にある。山小屋・福ちゃん荘を目指して歩き始める。

福ちゃん荘までは、登山道と車も通ることができる舗装道路の2つがある。登山道は登り口(※上の写真)から20メートルほどの地点の左側に入口がある。

福ちゃん荘へ向かう登山道。舗装道路とほぼ並行するように造られている。

登山口から30分ほど歩くと福ちゃん荘に到着する。

ここから登山道は、唐松尾根を歩いて雷岩に続くコースと大菩薩峠に続くコースに別れる。いずれのルートでも大菩薩嶺の頂上に行くことができる。

唐松尾根コースは山頂までの最短ルートではあるものの、急な山道を登ることになる。反対に大菩薩峠を経由するルートは山頂までの時間が余計に1時間ほどかかるが、途中の登山道はなだらかでとても歩きやすい。

どちらのコースで山頂を目指すか考えた結果、唐松尾根コースを選択。

同コースの前半は樹林帯のなかを歩く。展望はないものの、木漏れ日に癒される。

唐松尾根コースの後半部分は展望が開け、見晴らしがよくなる。この日、富士山がとても綺麗に見えた。

福ちゃん荘から1時間ほど登ると雷岩に到着する。大菩薩嶺の頂上はここから10分ほど。

標高2,057メートルの大菩薩嶺山頂に到着!

登山口からわずか1時間半ほどの距離である。頂上は樹木に覆われているため、残念ながら眺めはいまひとつ。展望を楽しみながら昼食や休憩を取りたい場合は、雷岩がおすすめである。

雷岩に戻って休憩をする。天気が良ければ富士山や南アルプスの峰々を望むことができる絶好の展望地である。ここから見た富士の姿は、まるで絵に描いたような美しさであった。

雷岩を後にして大菩薩峠へと向かう。

この区間が今回の山行のハイライトである。ほぼ同じくらいの高さに見える雲と展望の良い開放的な稜線歩きは、さながら天上を散歩している気分になる。

後ろを振り返ると、これまた素晴らしい光景が。360度を見渡すことができる目がほしい。

早朝は青空が広がっていたものの、太陽が高くなるにつれ徐々に雲がでてきた。

大菩薩連嶺の東側を覆っている雲が稜線を越えて西側へと流れ込むものの、晴れの勢力に負けて雲が消える。そのせめぎ合いがとてもダイナミックで、いくら見ていても飽きることがなかった。

雷岩から30分ほど歩くと「賽の河原」に到着する。賽の河原は、冥土の三途の川にある河原で、亡くなった子供が父母の供養のために石を積んで塔を作る場所と言われている。

緑溢れる明るい稜線上の趣とは異なり、どこか荒涼感も漂う場所である。

賽の河原の近くにある「親不知の頭」に上ると大菩薩峠が見えた。ここで昼食を取ることにする。

食べ終って少し休むと大菩薩峠へ。峠には山小屋・介山荘が建っている。

大菩薩峠に到着。ここから上日川峠へと下る。ほかに石丸峠に続く登山道もあるので、時間や体力などに応じて下山コースを選ぶことができる。

ササが生い茂る美しい斜面を見ながら下山開始。

大菩薩峠と上日川峠を結ぶ登山道は、なだらかな上に道幅も広くて歩きやすい。山道というよりもハイキングコースのようである。

下山途中に小川が流れていた。清涼感があり、疲れていなくても一休憩したくなる場所である。

小川から少し歩くと富士見山荘がある。しかし、現在は営業していないとのこと。

富士見山荘から5分ほど歩くと福ちゃん荘に着く。ここから朝登ってきたのと同じ道を戻り、上日川峠の登山口に下山した。

今回は登りに急な坂道の唐松尾根コースを選んだが、逆回りの大菩薩峠を経由して山頂を目指すのもおすすめである。

逆回りのコースは山頂まで緩やかな登りで、下山は急な下り坂となる。登りが楽であるという良さがある反面、怪我をしやすい下山時の危険性が増すので注意が必要である。

大菩薩嶺の魅力について

大菩薩嶺の一番の魅力は開放的で気持ちの良い稜線歩きにあると思う。秀麗な富士の姿を見ながら美しいササが生い茂る中の道を歩いていると、まるで天上を散歩しているような爽快さがある。

素晴らしい山岳風景に加え、標高2,000メートルを越える山でありながら登山口から山頂までの所要時間が短く、歩きやすい安全な登山道。このような良さを持った山は少ないのではないかと思う。

実際に歩いてみて、なぜ多くの人が大菩薩嶺に登りたいと思うのかよくわかった山行であった。

大菩薩嶺

Text & Photo:sKenji

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