山登りのススメ Vol.27 ~甲武信ヶ岳~

sKenji

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奥秩父のヘソとも呼ばれる甲武信ヶ岳(こぶしがたけ)は、山梨、埼玉、長野の県境に鎮座している。山名の由来については諸説あるものの、甲州、武州、信州の3国の境に位置することからつけられたと言われている。

千曲川(信濃川)、荒川、笛吹川(富士川)の源流にそびえる山で、甲武信ヶ岳の頂に降った雨が日本一長い信濃川などの大河となり、海へ注がれていると考えると、それだけで感慨深いものがある。

その甲武信ヶ岳に先日9月20日、登って来た。

甲武信ヶ岳登山レポート

甲武信ヶ岳の主な登山口は、山梨県の西沢渓谷と長野県の毛木平(もうきだいら)の2ヶ所がある。最短コースは長野県側からのルートで日帰り登山も可能である。

私は登山口までのアクセスの良さから山梨県側から登ることにした。西沢渓谷からのコースは健脚者ならば日帰りも可能ではあるものの、通常は1泊2日での登山が推奨されている。

 甲武信ヶ岳登山(山梨県側)の簡易地図
www.city.yamanashi.yamanashi.jp  

スタート地点は西沢渓谷入口から。近くの駐車場に車を停め、一般車両進入禁止のゲートを越えて登山口を目指す。

登山口までは西沢渓谷に沿って造られた舗装道路を歩く。

駐車場から渓谷沿いの道路を20分ほど歩くと「近丸新道」入口に到着する。

さらに道路を10分ほど歩いた場所には「徳ちゃん新道」入口がある。2つの登山道は途中で合流し、山頂へと続いている。上りは近丸新道を歩くことにする。

登山口から歩き始めて約10分ほど傾斜のある山道を登ると、その後はなだらかな登山道となる。

かつて、西沢渓谷には伐採した木材を搬出するために「三塩軌道」と呼ばれる森林鉄道が造られ、昭和43年までトロッコが走っていた。現在はもう使われていないが、当時のレールがまだ一部残っている。

近丸新道を歩いているとその森林鉄道のものと思われるレールがあった。恐らくこの登山道はトロッコ道を利用して造られたのだろう。

途中には廃屋もあった。木材を伐採していた時に使われていた小屋と思われる。

近丸新道の入口から1時間ほど歩くと、砂防ダムが見えてくる。

登山道は沢を横切って造られているので、渡渉する必要がある。

この日は少し水量が多く、顔を出している岩の上をジャンプして渡ろうとしたのだが、途中で滑って小川にザブン・・・。片足を沢に突っ込んでしまった。

対岸で靴下を絞った後に登山再開。

危険なレベルの増水が予想されるときは、徳ちゃん新道から登ったほうがいい。

沢を渡った後は徳ちゃん新道との合流地点まで尾根上の坂道を登って行く。

合流ポイントまでの途中に巨大なキノコが落ちていた。大きさは20センチ近くあっただろうか。

砂防ダムから1時間半ほど歩くと、徳ちゃん新道との合流地点に出る。

山梨県側の登山道はそのほとんどが樹林帯のなかにあるが、一か所、開けた場所があった。この日はガスっていたが、晴れていれば眺望が期待できそうである。

2つの登山道の合流地点から2時間ほど歩くと、標高2,469メートルの木賊山(とくさやま)の頂に出る。

登り始める前、西沢渓谷から見上げた時にあれが甲武信ヶ岳だろうかと思っていた峰があったのだが、どうやらそれはこの木賊山であったようだ。

木賊山の山頂にある樹木の一部はすでに紅葉していた。

木賊山から甲武信ヶ岳は一度下って登り返す。往きはちょうど甲武信ヶ岳の山頂に雲がかかっており、その姿を見ることはできなかった。

木賊山の山頂から15分ほど下ると甲武信小屋が現れる。

小屋の近くには「荒川水源の碑」が建てられている。この辺りに降った雨水が小屋から400メートルほど標高の低い地点から川となり東京湾へと流れている。

小屋からは甲武信の山頂までは20分ほどの登りである。山頂はもうすぐそこ!

標高2,475メートル、甲武信ヶ岳登頂!

長野県側には雲がかかっておらず、山頂からの眺めを楽しむことができた。

ちなみに写真に写っている谷間の上流部に日本一の大河、信濃川(※全長367km。長野での名称は千曲川)の源流がある。

自宅アパートを出発した時点では、甲武信ヶ岳の山頂を踏んだ後は下山する予定であった。

しかし、登山前日、深田久弥の著書「日本百名山」の甲武信ヶ岳の箇所を読んでいると、甲武信の北にある「三宝山」の方が堂々した山容をしていると書かれていた。

実際に見てみると確かに立派な姿をしている。しかも甲武信ヶ岳よりも標高があり、埼玉県の最高峰だという。おまけに一等三角点もあるというので行ってみることにする。

三宝山までは歩いて約40分ほどの距離である。甲武信の山頂から70メートルほど下った後に80メートルほど登る。

三宝山の頂上に到着!標高は2,483メートル。

山頂は木々に覆われており、眺望はよくない。

しかし、山頂から少し戻った地点からは立派な形の甲武信ヶ岳を見ることができた。三宝山に劣らず威厳に満ちた姿をしている。

三宝山頂上付近で30分ほど楽しむと甲武信ヶ岳に戻り、西沢渓谷へ下山を開始した。

下りは徳ちゃん新道を歩く。登山道のほとんどは近丸新道と同じ樹林帯歩きだが、途中、広瀬湖が見えるポイントもあった。

甲武信ヶ岳山頂から3時間半ほど歩くと徳ちゃん新道入口にある西沢山荘(※休業中)に出る。ここから西沢渓谷入口にある駐車場までは30分ほどである。

甲武信ヶ岳の魅力について

実際に登ってみて、甲武信ヶ岳の一番の魅力は山頂からの展望にあると感じた。山梨市の公式WEBサイトによれば、頂上からは43もの日本百名山を見ることができるそうである。また、個人的に3つの大河の分水嶺という点にも強く惹かれるものがあった。

長野県側の毛木平登山口からのコースでは、途中、千曲川の源流を見ることができるので、次はぜひ日本で一番長い川のスタート地点を見てみたいと思う。

今回、登り始めた西沢渓谷は全国屈指の渓谷美で知られている。特に初夏や秋の紅葉の季節は素晴らしく、時間が許すならばのんびり滝と清流を見て歩くのもおすすめである。

甲武信ヶ岳

参考WEBサイト

 甲武信ヶ岳
www.city.yamanashi.yamanashi.jp  
 西沢渓谷
www.city.yamanashi.yamanashi.jp  
 登山地図&計画マネージャ「ヤマタイム」 - 主要登山地の登山道のコースタイムや注意点がわかる! - Yamakei Online / 山と渓谷社
www.yamakei-online.com  

Text & Photo:sKenji

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