山登りのススメ Vol.11 ~会津駒ヶ岳~

sKenji

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会津駒ケ岳は、福島県の奥深い場所にある。

山奥のさらにその奥にあり、周りは山に囲まれている。日本百名山を書いた深田久弥は、同じ福島県の磐梯山より会津駒ヶ岳の知名度が低い理由を「平地からはどこからも見えないからだろう」と、その著書で述べている。

山深い場所に位置する会津駒ヶ岳だが、登山口から山頂までは4時間ほどで登ることができる。途中に危険な箇所もなく、入門的な山とされている。
登山を始めたばかりの方も比較的容易に登れるにもかかわらず、山の魅力は高山にひけをとらない。

会津駒ヶ岳を表現するならば「穏やかな女性的な山」である。

なだらかな山頂には草原のような光景が広がり、あちらこちらに池塘(ちとう※)や湿原が広がっている。自然が作った天空庭園の名に相応しい。
山頂を歩いていると、ここが山であることを一瞬忘れてしまうほど、広く開放的であり、安らぎを覚える。なだらかでのんびりとした山行を好む人には最適な山だろう。個人的に、とても魅力を感じた山である。

※池塘:高山の湿原や泥炭地にある池沼。

登山口へ

会津駒ヶ岳への主な登り口には「滝沢登山口」と「キリンテ登山口」がある。

いずれも福島県の桧枝岐村(ひのえまたむら)にあり、東北自動車道の西那須野塩原ICから約100㎞ほどの場所にある。新潟県側からだと、関越自動車道の小出ICから約80㎞の距離だ。

僕は、9月初めに「滝沢登山口」から日帰りで登った。会津駒ヶ岳登山の前日から、1泊2日で平ヶ岳に登っており、登山当日に平ヶ岳から下山をすると、その足で桧枝岐村(ひのえまたむら)を目指した。

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桧枝岐村は、平家の落人伝説が伝わる村で、標高はおよそ900m。根雪日数が年間140日を超える豪雪地であり、最深積雪量は多い年で300cmを超える。

人口減少率が、この40年間で20%以上の少子高齢化が進む村だ。村の産業は、かつては林業が主力だったのだが、今では「尾瀬の北の玄関口」と「温泉」という観光資源を活かして、就業人口の約9割が第三次産業となっている。稲作に適さない土地柄のため、昔からそばが作られてきた。

平ヶ岳下山口から桧枝岐村へ向かう途中には、そばの白い花が一面に咲いていた。
平ヶ岳下山口から桧枝岐村へ向かう途中には、そばの白い花が一面に咲いていた。
 参考WEBサイト:檜枝岐村 ホームページ
www.hinoemata.com  

会津駒ケ岳山頂へ

滝沢の登山口は、国道352号から林道を2kmほど登った場所にある。登山道の入口は、木製の長い階段となっている。入口近くに駐車場があるのだが、停められる台数が限られているために、木製階段から数百m手前にある駐車スペースに車を停める。

登山道は、山頂手前の駒ノ小屋近くまでは鬱蒼とした森の中の道となっている。展望は期待できないが、夏の日差しが強い日には、ここちよい木陰を作ってくれるだろう。水場は途中に一カ所ある。登山道を登りきって稜線にでると、視界は開ける。ここまで来ると、駒ノ小屋はもうすぐそこだ。稜線にでてからは、湿原の中に作られた気持ちのよい木道を歩く。

駒ノ小屋は池塘の横に建てられている。

季節になるとハクサンコザクラなどの高山植物が咲き乱れるという。木製のテーブルとイスがあり、休憩をすることができる。

ここから会津駒ヶ岳山頂までは15分程だ。会津駒ケ岳の山頂は展望がよく、平ヶ岳や尾瀬の山々を見渡すことができる。

稜線にでると湿原が広がる。奥の山が会津駒ケ岳山頂。
稜線にでると湿原が広がる。奥の山が会津駒ケ岳山頂。
駒ノ小屋へと続く木道。
駒ノ小屋へと続く木道。
歩いてきて道を駒ノ小屋から振り返る。
歩いてきて道を駒ノ小屋から振り返る。
池塘の横にたつ駒ノ小屋。
池塘の横にたつ駒ノ小屋。
駒ノ小屋の横にある池塘。
駒ノ小屋の横にある池塘。
会津駒ケ岳山頂から駒ノ小屋を望む。
会津駒ケ岳山頂から駒ノ小屋を望む。

会津駒ケ岳の見どころ

駒ノ小屋から山頂へ登ると、さらにその奥には中門岳まで木道が続いている。会津駒ヶ岳登山のハイライトは、この山頂から中門岳の区間ではないだろうか。緑の絨毯ような湿原の上には、木道が浮かぶように遠くまで伸びている。

夏、山の涼しい風を受けながら、この木道を歩けば、きっと山登りの魅力に取りつかれるに違いないだろう。

山頂から中門岳へと続く木道。
山頂から中門岳へと続く木道。
中門岳に行く途中の湿原には、いくつもの池塘がある。
中門岳に行く途中の湿原には、いくつもの池塘がある。
中門岳と池塘。
中門岳と池塘。
中門岳にて。
中門岳にて。

登山後記

会津駒ケ岳は、日帰り登山だったのだが、次は泊まりで登りたいと思った。駒ノ小屋に泊まり、早朝と夕方、のんびりと散策したら、さぞかし気持ちがいいことだろう。夜には満点の星空が見られるに違いない。

深田久弥は著書・日本百名山の中で、尾瀬の燧ケ岳から会津駒ヶ岳を見た時の感想を次のように述べている。

「北にあたって長い山稜を持った山が見える。一頭地を抜いた峻抜な山の形には
 見えないが、その尾根の長いおだやかな山容が私を魅惑した。」

山容だけでも、かの深田久弥を魅了した会津駒ヶ岳。実際に登ると、さらに虜にされてしまう山である。

一般的なコースタイム

「滝沢登山口」
  →→→[徒歩:約2時間]→→→
「水場」
  →→→[徒歩:約1時間30分]→→→
「駒ノ小屋]
→→→[徒歩:約20分]→→→
「会津駒ケ岳山頂」
  →→→[徒歩:約50分] →→→
「中門岳]
→→→[徒歩:約1時間] →→→
「駒ノ小屋」
  →→→[徒歩:約1時間10分]→→→
「水場」
  →→→[徒歩:約1時間30分]→→→
「滝沢登山口]

※ コースタイムは標準的な時間です。所要時間は人によって大きく変わります。
 時間はあくまでも目安として、余裕をもった登山計画を立てて下さい。

中門岳へと続く道。会津駒ケ岳のハイライト区間。
中門岳へと続く道。会津駒ケ岳のハイライト区間。

会津駒ケ岳

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Text & Photo:sKenji

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