伊豆の隠れた名瀑・旭滝

sKenji

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旭滝
旭滝

静岡県・伊豆半島にある滝と聞いて、真っ先に思い浮かぶのは「浄蓮の滝」かもしれない。しかし、知名度こそあまりないものの、その姿において勝るとも劣らない瀑布がある。旭滝である。あまり知られていない伊豆の名瀑、旭滝をご紹介したい。

旭滝について

旭滝は静岡県伊豆市の大平地区にある。全長105メートルの段瀑(※1)で六段に折落している。名称は真東を向いている滝が、朝日を受けた時に美しく輝くことに由来しているそうである。

直瀑(※2)と段瀑という違いはあるものの、旭滝は「浄蓮の滝」の実に4倍以上の落差を誇る伊豆随一の大きな瀑布である。伊豆半島の滝によくある柱状節理の特徴が見られ、伊豆半島ジオパークのジオサイトにも指定されている。

柱状節理とは、火山から流れ出た溶岩が冷えて固まる際、六角形や五角形などの柱状の割れ目ができる火山活動の跡を示すもので、水が流れ落ちる旭滝の岩肌にその跡をはっきりと見ることができる。

※1:段瀑とは、滝口から流れ出た水が岩などにぶつかり、段を造りながら落ちている滝のこと。

※2:直瀑とは、滝口から滝ツボへほぼ垂直に直接落ちる滝のこと。

旭滝を歩く

大平神社の駐車場から撮影。ここから歩いて滝へ向かう
大平神社の駐車場から撮影。ここから歩いて滝へ向かう

旭滝は伊豆の小京都とも称される修善寺の温泉街からおよそ3km、車で約10分ほどの場所にある。

修善寺道路の修善寺ICを降りて国道136号線を南下していると、少しわかりづらいのだが、右手に旭滝の存在を示す看板がある。

案内に従って国道から脇道に入り、200mほど行った道路の突き当りに大平神社があるので車をここへ停めて旭滝まで歩く。

旭滝へ続く道の脇には、滝から流れ出した小川がある。暑い夏場には清涼感があっていい。

途中の道は全て綺麗に舗装されているのでサンダルで歩いてもOK。

駐車場から歩いて2、3分ほどの所に滝がある。

木々に覆われているために全体像は見づらいが、その一部だけでも伊豆屈指の落差を誇る滝であることがわかる。

実は、訪れるまで落差100m以上の滝だとは思ってもいなかったために、見た瞬間のインパクトは大変大きいものがあった。

写真は滝の下段3段ほどを写したものであるが、水が流れ落ちている岩肌には人の手で岩のプレートをはめ込んだような柱状節理が、まるでパズルのように見られる。

ちょっとわかりづらいかもしれないが、滝の全景を撮影したものである。写真上部には滝口が小さく写っており、中央右側には流れ落ちている滝を間近で見ることのできる観賞台のような場所がある。

滝から流れ出る小川の左岸に階段がある。ここ登って1分ほど歩くと滝の中腹付近に設けられている観賞台へ行くことができる。

向かう途中に旭滝を見ると、段瀑であることがよくわかる。

観賞台まで来ると滝はすぐ目の前。ときおり舞う水しぶきが心地よい。

観賞台から下に目をやると、先ほど滝を見上げていた場所が見える。

滝のさわやかなマイナスイオンに癒された後、来た時と同じ道を歩いて駐車場へ戻る。

旭滝は考えていた以上に見ごたえのある滝であった。ただ、唯一残念な点をあげるとすれば、せっかくの名瀑も木々に覆われているためにその全貌をよく見ることはできないこと。もし、滝の正面に位置している山腹あたりに展望台を設置してくれれば、さらにその魅力を感じることができると思う。

とはいえ、伊豆半島を代表する滝のひとつであることに間違いはない。修善寺を訪れた時や近くを通る際に時間があれば、ぜひ立ち寄ってほしい場所である。

滝の周辺にはモミジが生えていて緑がとても眩しかった。秋、色づいたころには滝との組み合わせが絵になりそうである。「紅葉の季節にまた来よう!」そう思いながら、伊豆の隠れた名瀑を後にした。

旭滝

参考WEBサイト

 静岡県/もっと“しずおか”を知ろう「光る、水音」旭滝(伊豆市大平)/県民だより2009年7月号
www.pref.shizuoka.jp  
 旭滝 | 南から来た火山の贈りもの
izugeopark.org  

Text & Photo:sKenji

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