日本のイグアス?! ~富士宮市・白糸の滝~

sKenji

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白糸の滝
白糸の滝

富士山のふもとに名瀑がある。「白糸の滝」である。

同名の滝は軽井沢など日本各地にあるが、今日ご紹介するのは静岡県富士宮市にある「白糸の滝」である。

富士宮市の「白糸の滝」には先週末にに行ってきた。同滝は10年近く前に一度訪れたことがあるものの、今回は写真を撮りたく再び訪れた。

白糸の滝について

富士宮にある白糸の滝は大変ユニークな滝である。一般的な滝が、川にできた段差に1本もしくは数本流れ落ちているのに対して、同滝は湾曲した崖から幅150mにわたって大小数百の滝が流れ落ちている。その光景はまさに白い糸を垂らしたようで、同滝の名称の由来になっていると言われている。

崖とその上に生い茂っている木々のあいだから約20mの落差の滝が無数に流れ落ちる光景は実に壮観である。

白糸の滝は1936年に国の名勝及び天然記念物に指定されている。昨年6月には富士山とその周辺の神社や湖、三保の松原など共に世界文化遺産にも登録されている。これは、富士講(※)の開祖とされる長谷川角行が白糸の滝で修行を行い、富士講を中心とした人々の巡礼・修行の場となっていた同滝の文化的価値が認められたものである。

以前、世界三大瀑布のひとつである南米の「イグアスの滝」を見たことがある。鬱蒼と茂るジャングルの中、約2.7㎞に渡って無数の滝が連なっている世界の名瀑であり、「白糸の滝」はそのイグアスの滝に似ている。「日本のナイアガラ」と形容される滝があるように、白糸の滝も「日本のイグアス」とたとえてもいいのではないだろうかと思う。

※富士講:江戸中期に主に町人層に広まった富士山信仰を中心とする教団。修験道・弥勒(みろく)信仰を習合するが、道系の教義を説く。講を組んで富士登山を行なったり、市中に築いた富士塚に参詣した。(出典元:大辞林)

白糸の滝を歩く

白糸の滝を見るには、滝口近くにある駐車場に車を停めて、滝つぼまで歩いて行くことになる。駐車場はいくつかあり、いずれも徒歩5~10分と比較的近い。公共交通機関利用の場合は、JR富士宮駅からバスが出ている。

滝つぼへと降りる遊歩道は川の両岸に1カ所ずつの計2ヶ所ある。

私は上流から見て川の右岸にある遊歩道で滝つぼを目指した。遊歩道が始まる崖の上には、無数に流れ落ちる滝を一望することできる展望ポイントがある。

ちなみに白糸の滝では「100年前の滝の姿を取り戻すため」に滝つぼ近くにあった建物を取り除くなどの工事が昨年12月まで行われていた。現在、同工事は完了しており、建物が建てられていた以前とは違った白糸の滝を見ることができる。

滝つぼへとつながる遊歩道
滝つぼへとつながる遊歩道
遊歩道スタート地点にある展望ポイントから撮影
遊歩道スタート地点にある展望ポイントから撮影
展望ポイントからは、滝つぼ近くで見るのとはまた別の趣の「白糸の滝」を見ることができる
展望ポイントからは、滝つぼ近くで見るのとはまた別の趣の「白糸の滝」を見ることができる

遊歩道はコンクリートで作られている。道幅も大人2~3人が通れるほどあり、大変歩きやすい。滝つぼとの標高差は30~40mほど。

コンクリートで作られた遊歩道。大変歩きやすい
コンクリートで作られた遊歩道。大変歩きやすい
1段がそれほど高くないので階段も歩きやすい。さらに手すりもあるので安心
1段がそれほど高くないので階段も歩きやすい。さらに手すりもあるので安心

遊歩道の階段を下りきると川岸にでる。ここから滝つぼまでは20~30mほどである。川を挟んだ対岸の崖からは無数の滝が流れ落ちている。

階段を降り切った所から、白糸の滝から流れ出る川の下流方面を撮影。対岸に渡る橋が架かっている
階段を降り切った所から、白糸の滝から流れ出る川の下流方面を撮影。対岸に渡る橋が架かっている
対岸の崖からは無数の滝が流れ落ちている
対岸の崖からは無数の滝が流れ落ちている

滝つぼ付近は大きな淵となっている。水は驚くほど清らかで、透き通ったブルーの色が大変美しい。

白糸の滝の水の落ち口をよく見てみると、通常の滝とは異なることがわかる。多くの滝は川の段差にできたものである。しかし、白糸の滝のほとんどは崖から染み出るように水が流れ出している。これは同滝の水が湧水であることを物語っている。

白糸の滝付近の地層は、上部に「白糸溶岩流」と呼ばれる水を通しやすい地層があり、その下部に「古富士泥流」と呼ばれる水を通しに難い地層がある。この2つの地層の境を富士山麓の雪解け水が流れていると考えられており、白糸の滝を構成する無数の滝のほとんどは、この地層の境を流れる水が崖から染み出たものである。

白糸の滝とその滝つぼ
白糸の滝とその滝つぼ
白糸の滝は約150mに渡って無数の滝が流れ落ちている
白糸の滝は約150mに渡って無数の滝が流れ落ちている
白糸の滝で一番大きな滝。これは川の水が滝となったもの
白糸の滝で一番大きな滝。これは川の水が滝となったもの
写真中央から右側にかけての滝をよく見ると、崖から染み出た水が滝となっている
写真中央から右側にかけての滝をよく見ると、崖から染み出た水が滝となっている
滝つぼ付近。透き通るようなブルーの色が美しい
滝つぼ付近。透き通るようなブルーの色が美しい

滝の下流100mほどの所には橋が架かっている。この橋からの眺めもまた一味違うものがある。

白糸の滝を満喫した後は、同滝から直線距離にして150mほどの所に「音止めの滝」と呼ばれる滝があるので、足を延ばしてみるといいかもしれない。落差25mの滝で見ごたえがある。

富士宮市・白糸の滝

参考WEBサイト

 白糸の滝 - 観光課 - 富士宮市
www.city.fujinomiya.shizuoka.jp  
 富士山世界文化遺産登録構成要素:富士宮市公式WEBサイト
www.city.fujinomiya.shizuoka.jp  

Text & Photo:sKenji

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