【ベトナム旅行レポート】ベトナムの長距離寝台列車 ~Vol.3~

sKenji

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ベトナムの寝台列車。サイゴン駅にて
ベトナムの寝台列車。サイゴン駅にて

前回の旅行レポート

ミトーからホーチミン市に戻ると、ダナン行の寝台列車が出発するまで時間があったので、ホーチミンの市内観光をしていた。

 【ぽたるページ】【ベトナム旅行レポート】躍動するホーチミンシティ ~Vol.2~ - By sKenji - ぽたる
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寝台列車でダナンまで

ベトナムの国土は南北にとても長い。同様な国の代表格といえば南米のチリが真っ先に思い浮かぶがベトナムもなかなかのもので、思いのほか国内移動に時間がかかる。

飛行機を使ってしまえばあっという間なのだろうが、よほどのことがないかぎり国内移動は鉄道やバス、船などを使うことにしており、今回のベトナム旅行でもそれに変わりはなかった。

ホーチミンの後はベトナム中部の街、ホイアンへ行こうと決めていた。その移動手段として2つの選択筋が考えられた。ひとつはバスでもうひとつは鉄道。

ベトナムの長距離バスは横になって寝ることができる快適な寝台バスもある。満席になることも少なくないなど旅行者にとても人気がある。鉄道(寝台車)はバスに比べて運賃は高いものの、旅情がより強く感じられる。両方利用してみたいと思っていたのだが、選んだのは後者だった。

理由はベトナムにある統一鉄道(※正式名称は南北線)と呼ばれるハノイ・ホーチミン間1,700km以上を結ぶ路線に一度乗ってみたいという憧れがあったからである。それに加えて近年、日本から寝台列車が次々と姿を消していることも大きかった。

ホイアンには鉄道駅がないので最寄のダナンまで行き、そこからバスに乗り換えることにした。ホーチミンのサイゴン駅からダナン駅までは速い列車でもおよそ17時間。久しぶりの長距離列車に心が躍る。

ベトナムの鉄道について

ベトナムの国土は日本の約9割ほどである。しかし、鉄道を比べてみると路線、列車本数ともに圧倒的に少ない。路線は全土で6、7本程度しかなく、列車本数はベトナムの主要路線である統一鉄道ですら時刻表を見る限り1日に5、6本しか走っていなかった。

全路線を合わせた鉄道の総延長距離は約2,600km。その大半が300km以下の短中距離路線であり、約1,700kmの統一鉄道は群を抜いた長距離路線となっている。同路線は現在、ホーチミン・ハノイ間を30~40時間かけて結んでいるが、古い橋梁や機関車を使用していた以前は72時間もかかったという。

列車の席は大きく別けて「座席(シート)」と「寝台(ベッド)」があり、それぞれ座り心地が柔らかい「ソフト」と硬い「ハード」がある。

寝台車両は小部屋に区切られたコンパートメントタイプになっている。1室あたりのベッド数はハードベッドが上中下3段×2列の計6つあり、ソフトベッドは上下2段×2列の計4つある。

運賃は当然、座席よりも寝台が高く、座席、寝台共に乗り心地の良いソフトの方が高い。寝台はベッドの位置によって料金が異なり、上中下の順番で安くなっている。

サイゴン駅からダナン駅へ

サイゴン駅入口「GA(ガー)」とはベトナム語で「駅」のこと。「STATION」の「I」という文字が剥がれていてもそのままのところはお国柄(笑)

サイゴン駅入口「GA(ガー)」とはベトナム語で「駅」のこと。「STATION」の「I」という文字が剥がれていてもそのままのところはお国柄(笑)

ホーチミン観光を終えると晩御飯を軽く食べて、早めにサイゴン駅へと向かった。

駅はホーチミンの中心部ベンタイン市場から4kmほど離れた場所にある。もとは市場の近くにあったのだが、1970年代に現在の場所に移転したという。

住所はホーチミン市だが、駅名には以前の街の名称であるサイゴンという名が残されている。

サイゴン駅前
サイゴン駅前

サイゴン駅はベトナム最大の駅と聞いていた。しかし、発展しているホーチミン中心部と比較すると駅前は結構閑散としていた。

夕闇のサイゴン駅
夕闇のサイゴン駅
サイゴン駅正面入り口
サイゴン駅正面入り口

サイゴン駅に着いたときには太陽もすでに落ちたのか、辺りは薄暗くなっていた。駅舎は特別大きいものではなく、体育館2~3個分ほどであった。

駅舎は2階建て。2階から1階を撮影
駅舎は2階建て。2階から1階を撮影
駅舎の2階にて
駅舎の2階にて
駅舎の1階。待合席のほか、売店などがある
駅舎の1階。待合席のほか、売店などがある

駅舎内部は簡素でだだっ広い造りとなっており、日本の駅の雰囲気とは大きく異なる。異国情緒が感じられて、高揚感がふつふつと湧いてくる。

写真右側のホームに列車が停まり、左側には食堂などの店がある。その間にはテーブルとイスが置かれていて食事や休憩をすることができた
写真右側のホームに列車が停まり、左側には食堂などの店がある。その間にはテーブルとイスが置かれていて食事や休憩をすることができた
ホーム脇にあったテーブルでバインミーを食す
ホーム脇にあったテーブルでバインミーを食す

ホームの脇には食堂や雑貨屋が軒を連ねている。日本の駅構内にも売店はあるが、ずいぶん異なった趣である。

ホーム脇にテーブルとイスが置かれているという日本にはないロケーションにつられて、列車内で食べようと買っておいたバインミー(※ベトナムのサンドイッチ)をついつい食べてしまった。

ハードベッド車両内。通路左側がコンパートメントになっている
ハードベッド車両内。通路左側がコンパートメントになっている
ハードベッド。3段×2列の6ベッド
ハードベッド。3段×2列の6ベッド

列車出発5分ほど前に車両に戻る。席はハードベッドの中段。

予約する際に上段は安いが高さも低いので中段をすすめられた。実際に乗ってみると快適性という観点以外にも、上段からは車窓の景色がよく見えないなどといった欠点があり、中段にして正解であった。下段だと移りゆく風景を楽しむことができる上に、テーブルも使えるので日記を書いたり食事をする際にはとても便利である。

ハードベッド車両の洗面台
ハードベッド車両の洗面台
給湯器?ちなみに中国の列車には必ずといっていいほど給湯器がある
給湯器?ちなみに中国の列車には必ずといっていいほど給湯器がある
トイレ。壁にあるホースで水を流すことができる。美しい車窓からの景色ならいざ知らず、トイレを撮影している日本人をベトナム人は怪訝な目で見ていたかもしれない・・・
トイレ。壁にあるホースで水を流すことができる。美しい車窓からの景色ならいざ知らず、トイレを撮影している日本人をベトナム人は怪訝な目で見ていたかもしれない・・・

車両にはベッドの他に洗面台とトイレが備わっている。給湯器のようなものもあったが使っている人を見かけなかった。

翌朝のハードベッド車両内にて
翌朝のハードベッド車両内にて
少し怪しげな気配も漂っていた昨夜とは異なり、明るく開放的な雰囲気
少し怪しげな気配も漂っていた昨夜とは異なり、明るく開放的な雰囲気
同室の乗客は「若いカップル」と「父と娘の親子連れ」、そして「中年の男性」だった
同室の乗客は「若いカップル」と「父と娘の親子連れ」、そして「中年の男性」だった

一夜明けて明るくなった車内。夜と昼では同じ車両でもかなり雰囲気が変わる。それぞれ異なる列車の旅気分が味わうことができる。

列車が駅に停車している間にお弁当などを買うことができる
列車が駅に停車している間にお弁当などを買うことができる
購入したお弁当。車窓に見えるのはお弁当を買ったホーム脇にあるお店
購入したお弁当。車窓に見えるのはお弁当を買ったホーム脇にあるお店
ライスに鶏肉などが載ったお弁当。味についてはノーコメント・・・(笑)
ライスに鶏肉などが載ったお弁当。味についてはノーコメント・・・(笑)

移動中の食事は周ってくる車内販売の乗務員から買うことができる。その他に列車が途中の駅で停車している時に降りてホーム脇の店で買ってくることもできる(※乗り遅れに注意)。私は途中の駅でライスに鶏肉などが載っているお弁当を購入。

昼食を取ってまもなくすると列車はダナン駅に到着。下車してバスに乗り換え、ホイアンへと向かった。

<【ベトナム旅行レポート】200年前の街並みが残る、ホイアン旧市街 ~Vol.4~ に続く>

 【ベトナム旅行レポート】200年前の街並み、ホイアン旧市街 前編 ~Vol.4~
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ダナン駅

Text & Photo:sKenji

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