災害発生時に重要な「受援力」という力

sKenji

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以前、「防災とボランティア週間」の際に、ボランティア活動について調べたことがありました。

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防災ボランティアと聞くと、どうしても支援をする方ばかりに目がいっていました。しかし、「受援力」と呼ばれる、ボランティアなどの支援を受け入れる側の環境や知恵も重要とのことです。災害発生時は、支援をする側と受ける側、それぞれの力がうまくかみ合ってはじめて、支援の力を活かすことができると言われています。

東日本大震災の発生からもうすぐ4年。この機会に災害発生時に欠かすことができない「受援力」についてご紹介します。

阪神淡路大震災発生時の受援力

1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災。過去に例がないほどの多くのボランティアが被災地に集まり、この年が日本におけるボランティア元年と言われています。

当時、災害ボランティア活動がいまほど一般的ではなく、ノウハウなどがほとんどなかったようです。そのため、支援する側が宿泊や食事などのあてもないまま被災地に入ったことにより、かえって被災地の負担になるなどの問題が発生しました。しかし、支援する方だけではなく、受け入れる側においても次のような問題点があったそうです。

■支援を受け入れる側の問題点

・ボランティアの受付窓口を開設したものの、多くのボランティアが殺到して、中止せざるを得くなった自治体もあった。

・被災された方のニーズとボランティアを効果的に結びつけることができずに、ボランティアを十分に活かすことができなかった。

・大量の救援物資が届いたものの、受入れ、配布、輸送体制が整っていなかった。また、ニーズとのミスマッチもあった。

・諸外国からの人命救助援申し入れ があったが、受け入れ体制が整わなかったことなどから、支援受け入れは数日後となった。

 7−2 阪神・淡路大震災の経験と対応
www.bousai.go.jp  

受援力の向上は平時からの取り組み

阪神淡路大震災の際、自治体によってボランティアや支援物資を活用できたところとそうでないところがあったそうです。その違いの要因のひとつが「受援力の差」と言われています。

災害発生時に支援を受け入れる力は、災害発生前の平時から高めておくことが必要であり、内閣府の「防災ボランティアのページ」によると、次のような取り組みの重要性が述べられています。

●災害時に被災地外からやってくるボランティアは被災地の土地勘がありません。地域の情報整理(地域の危険箇所をチェックしたり、そのマップづくりなど)をしておけば、ボランティアの受け入れの際に役立てることができます。

●地域によっては、災害ボランティアセンターを実際に設置する訓練を行っている場合があります。訓練に参加して、地域内でお互いに顔見知りになっておくこと、ボランティアの受け入れ方法やボランティアがどういう活動をするのかを知っておくのも大事です。いざというときに、地域住民同士の助け合いにもつながります。

●災害時にお手伝いをしてもらえる相手が誰かを把握しておくことが大事です(地域の市区町村役場、社協、自治会・町内会、民生委員・児童委員など)。地域の民生委員・児童委員では、災害時にお手伝いをしてもらえる相手を事前に確認しておく取組が行われています。

防災ボランティア活動を受け入れる知恵 ー「受援力」その1ー(出典元:内閣府)

災害ボランティアセンターについて

災害が発生した有事の際にボランティアなどの支援の受け入れなどで大きな役割を果たす組織のひとつが「災害ボランティアセンター」です。

災害ボランティアセンターとは、ボランティア活動を円滑に行うために災害時に被災地に設置される組織のことです。被災地域の社会福祉協議会や、平時からボランティア活動にかかわっている人たち、行政が協働して担うことが多いそうです。近年発生している災害のほとんどで設置されており、次のような活動を行います。

■災害ボランティアセンターの活動内容

・被災地のニーズの把握
家の片付け、避難所でのお手伝いなど、被災地の暮らしのニーズを収集します。

・ボランティアの受け入れ、調整(マッチング)、派遣
活動を希望するボランティアの受付を行い、支援を必要とする人のニーズに合わせてボランティアを派遣します。

・活動に必要な資機材の貸し出し
活動に必要な道具や地図などを貸し出します。

・活動の報告・振り返り
活動の結果、気がついたこと、住民からの要望などを報告し、その後の活動のために活かします。

災害発生前から、ボランティアセンターの設置訓練や、支援のニーズとボランティアを結び付けるボランティアコーディネーターの育成が重要であると言われています。

 防災ボランティア活動をサポートする 災害ボランティアセンターとは?
www.bousai-vol.go.jp  

受援力の向上と東日本大震災の支援活動

災害発生時、効果的な支援に欠かすことができない受援力。阪神淡路大震災の教訓を元に、その後経験したいくつもの災害を通して向上してきたと言われています。

東日本大震災において、多くのボランティアが被災地に入り、様々な支援活動が阪神淡路大震災よりも円滑に行われたのは、受援力の向上も大きな要因であったと思います。

もうすぐ、東日本大震災から4年。支援を受け入れる側の力の重要性も認識しておきたいと思います。

参考WEBサイト

 地域の受援力を高めるために
www.bousai-vol.go.jp  
 東日本大震災災害ボランティアセンター報告書
www.shakyo.or.jp  
 「災害時におけるボランティアの受入体制とネットワーク化に関する報告書」 | 愛知県
www.pref.aichi.jp  
 特集 防災ボランティア
www.bousai.go.jp  
 平成24年版 防災白書 【本文 目次】
www.bousai.go.jp  

紹介:sKenji

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