救援物資を送る時の「当たり前」

iRyota25

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日本ではいつどこでどんな大災害が発生するか分かりません。災害が発生した時、全国から送られてくる救援物資は被災地の人たちの支えとなる大切なもの。東日本大震災でも、阪神淡路大震災でも、被災地の方からは「ありがとう」の声が今でも聞かれます。

しかし、中には困ったものもたくさんあったそうです。神戸市新長田の大正筋商店街の一角を使った震災ミュージアムに展示されたパネルは、読んでみるとかなりショッキングな内容。本文を引用して紹介します。(順番は入れ替えています)

まとめて送ろう

…個々に送ると受け入れ先では整理に大変です。学校や地域別にまとめて送れば無駄も少なくてすみます。

新長田、大正筋商店街の震災ミュージアムの展示から

「今すぐなんとかしてあげたい」という熱い思いは伝わるかもしれません。しかし、現実には物資の仕分けが大変な作業になりました。仮に1万人が個々に救援物資を送ったら、物資の数も1万個。20人づつまとめて送れば500個で済みます。梱包資材のゴミが少なくなるのはもちろん、仕分け作業の負担も大きく軽減されます。

阪神淡路大震災の時には、仕分けができない物資が積み上がったそうです。救援物資はただの荷物ではなく、全国の人々の気持ちそのものです。被災地の人たちは何とか仕分け作業を進めようとしてご苦労されましたが、それでも仕分けしきれない物資の山を前にして苦しい気持ちになったそうです。広く知られた話でしたが、東北の被災地でも同じことが繰り返されてしまいました。

被災地が必要としている物資を

…物資の中には、「なぜ」と思うようなものも多く送られてきます。被災地ではその仕分けに困ってしまいました。送る前に必要なものを確かめて送りましょう。

新長田、大正筋商店街の震災ミュージアムの展示から

仕分けは被災地の人たちにとって大変な作業です。被災された人やボランティアの人たちががんばってがんばって荷物を開いてみたら「なぜこんなものを…」というような品物が出てくる。その時の気持ちを想像してみてください。

電化製品などは予備用品も

…懐中電灯・ラジオなどの電池や掃除機のゴミを取る紙パックなど、予備として必要なものもあわせて送りましょう。

新長田、大正筋商店街の震災ミュージアムの展示から

せっかく送ってもらっても使えない。被災地でぜひとも必要な物なのに使えない。電池のない懐中電灯やラジオは使えません。ゴミ取り紙バッグのない掃除機も使えません。最近でこそ日本国内の缶詰はパカっと開けられるものがほとんどですが、缶詰が送られてきても缶切りがないという状況もあったとか。東日本大震災では、海外からの支援物資の中にそんなケースがよくあったそうです。

ほんの少しの思いやりや被災地の状況を想像することができれば、そんな残念なことは起こらずに済むはずです。

不要なものや下着などはやめましょう

…いくら被災者だといっても古い下着はなかなか着けられないものです。下着を送る場合は新品を、また送っても着られないようなものや不要と思われるものは送らないようにしましょう。

新長田、大正筋商店街の震災ミュージアムの展示から

悲しくなる話ですが、古下着が救援物資として送られてくるケースは東北の被災地でも繰り返されました。災害直後の混乱の中、大渋滞の道路を通ってようやく届けられた物資も、使えないモノだとただのゴミです。貴重な輸送インフラを使って、被災地にゴミを捨てる行為にほかなりません。

送らないようにしたいもの

…これらは実際に送られてきたものですが、本当に被災者が望んでいるものでしょうか。

◇生もの・賞味期限が切れたもの、または短いもの
◇ガラス容器など割れやすいもの
◇ガスボンベ(カセットボンベは別)
◇使用法のない薬や危険物
◇スキー板など特殊なスポーツ・レジャー用品
◇毛皮や指輪など高級品
◇取り扱いが難解な機器など

新長田、大正筋商店街の震災ミュージアムの展示から

繰り返しになりますが、大変な労力をかけて被災地に運び込まれ、大混乱している現地で、被災した人たちやボランティアが寝る間も惜しんで開梱や仕分け作業に取り組んだ挙句にこんな品物が出てきた時の気持ちを考えてほしいと思います。

古着を送る場合の注意

…被災地では、古着の多くは引き取り手がありませんでした。使えそうなものを選別して、自分が貰っても着たいと思うものをクリーニングしてから送りましょう。また、季節外れの古着は送らないようにしましょう。

新長田、大正筋商店街の震災ミュージアムの展示から

自分が貰っても着たいと思うもの。そしてクリーニングした上で。これが基本です。

「誰か着てくれる人がいるんじゃないか」という考えで送っても、被災地に迷惑をかけるゴミになるだけです。東日本大震災の避難所でも、衣類の物資が届けられるとたくさんの人だかりができるけれど、多くの人が落胆した表情でその場を去っていく。後には誰も欲しくないような古着がゴミとして残される――。そんな情景が繰り返されたそうです。

そしてパネルでは一番上に示されていたのが次の項目です。

被災地の援助で一番ありがたいもの

…もちろん初期の段階では、食料などの身近なものがありがたいですが、義援金の元となる「現金」の支援が一番ありがたいのです。

新長田、大正筋商店街の震災ミュージアムの展示から

震災から数カ月のうちに、阪神淡路の被災地についての報道は潮が引くように減少していきましたが、新長田で焼失した商店街が再開できたのは、震災から10年後だったところもあったそうです。被災地の方々は再出発のためにローンを組んだり、収入の見込みがない中で家族を養い、生活を維持しているのです。「現金の支援が一番ありがたい」という言葉の意味を直視する必要があります。

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