公園に五本の滝と重要文化財の古民家があった! ~裾野市中央公園~

sKenji

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五竜の滝
五竜の滝

勢いよく流れ落ちる写真の滝。静岡県・裾野市の中央公園にある五竜の滝である。

裾野市は富士山の東南山麓に位置しており、裾野駅から1.5kmほどの近郊に五本の滝と重要文化財に指定された古民家を擁する裾野市中央公園はある。

一昨日の日曜日、梅雨の合間をぬって中央公園を訪れる。

裾野市中央公園を歩く

中央公園西側にある入口。正門の存在を知らず、ここから入園する

中央公園西側にある入口。正門の存在を知らず、ここから入園する

中央公園は黄瀬川、佐野川など3本の川が1本に交わるところにあり、入口は正門を含めて4か所ある。私は正門の存在を知らず、公園西側の裏手から入る。

門を入ると佐野川沿いに小道が伸びている。道を歩いて行くと小さなせせらぎがあり、その先に蕎麦屋と太鼓橋があった。園内は緑と水に溢れていて、入って100mも歩かないうちに安らぎ感を覚える。

門から続く小道。右側に佐野川が流れている
門から続く小道。右側に佐野川が流れている
道の脇に小さなせせらぎが流れていた
道の脇に小さなせせらぎが流れていた
佐野川に架かる太鼓橋。橋の長さは34m
佐野川に架かる太鼓橋。橋の長さは34m

太鼓橋を渡ってみる。対岸に渡ると少し開けたスペースがあり、河原に降りることできる。川の流れは比較的緩やかであり、夏には川遊びを楽しめそうである。

河原には父と息子の親子連れがいた。

川の土手からしばらく見ていると、彼らは小石を川に投げて「水切り」を始めた。
最初、父が息子に見本を見せた。低い体勢から投じられた小石は6、7回ほど水面を弾んだ。なかなかのものであった。

次に子供が挑戦。

うまくいかずに小石は一度も跳ねずに水中へ「ドボン」と消えた。

すると父が息子に手ほどきを始めた。秘伝の水切り技を伝授された息子が、再び小石を投じる。

しかし、残念ながら思うような軌跡は描かなかった。悔しそうだった。見ていると心がほんわかする。

彼らが石を投じていた川の奥には、吊り橋が架かっていた。見ていると渡りたくなる。吊り橋へと向かう。

太鼓橋の上から佐野川の上流方面を撮影
太鼓橋の上から佐野川の上流方面を撮影
黄瀬川の河原で水切りをする親子
黄瀬川の河原で水切りをする親子
吊り橋の上から黄瀬川下流を撮影

吊り橋の上から黄瀬川下流を撮影

吊り橋にたどり着くと、川岸からは豪快に流れ落ちる3本の滝が見えた。五竜の滝である。名称から察しがつくかもしれないが、滝は5本ある。このうち本流の黄瀬川にかかる3本が雄滝と呼ばれている。残り2本は雌滝といい、雄滝のすぐ脇を流れる支流にある。

吊り橋を渡ってみる。橋の中央からは雄滝を正面にして見ることができる。雄滝右側の林の中に雌滝のうちの1本がかすかに見えた。雄滝の落差は約12m。マンションでいうと5階ほどの高さである。

五竜の滝はかつて佐野瀑園と呼ばれた東海の名園であり、皇族のほか、新田次郎や若山牧水らも訪れている。若山牧水は近くにあった宿に投宿して「麦の秋」などの歌集を創作し、新田次郎は小説「蒼氷」なかで五竜の滝を舞台として書いている。

雄滝。落差12m。左側から「雪解(ゆきどけ)」、「富士見」、「月見」と名付けられている。雌滝は写真右側の林の中にある。
雄滝。落差12m。左側から「雪解(ゆきどけ)」、「富士見」、「月見」と名付けられている。雌滝は写真右側の林の中にある。
吊り橋を渡り切った所から中央公園を撮影。吊り橋は長さ63m。写真左側の赤い橋が太鼓橋である。
吊り橋を渡り切った所から中央公園を撮影。吊り橋は長さ63m。写真左側の赤い橋が太鼓橋である。

吊り橋を渡った対岸の川岸には雌滝の滝つぼへと通じる道があるのだが、わたしが訪れた時は立ち入り禁止となっていた。

吊り橋を引き返し、公園の正門へと向かうことにする。

途中の園内は、木立の中に小さなせせらぎが流れており、清涼感に溢れている。

園内を流れるせせらぎ
園内を流れるせせらぎ
小さいながらも清涼感あふれる流れである
小さいながらも清涼感あふれる流れである
結構、起伏に富んだ場所もある
結構、起伏に富んだ場所もある
裾野市の市章。確かにカタカナの「ス」の字がある(赤字で加筆した箇所)

裾野市の市章。確かにカタカナの「ス」の字がある(赤字で加筆した箇所)

話が少し脇道にそれるが、公園内の所々には裾野近辺に伝わる昔話や、ちょっとした豆知識が書かれた説明版が設置されていて、これが結構面白い。その一つに裾野市の市章と市名の由来が書かれていたのでご紹介したい。

それによると、裾野市の市章は、裾野(スソノ)の「ス」を星型に5つ組み合わせ、外側の結合部は富士山をあらわしたものなのだとか。5つの「ス」は、富士の裾野の旧5か村が固く団結することを表し、中央の円は平和に栄えることを表わしたものだという。

次に裾野市の名称の由来だが、1952年、小泉村と泉村が合併して裾野町となった際にあった「裾野駅」から名前をとったそうである。ちなみに裾野駅は、もとは「佐野駅」という駅名だったが、大阪と栃木に同名の駅があって紛らわしかったために、1915年、富士の裾野にあることから「裾野駅」と改称されたという。

国指定重要文化財・植松家住宅

国指定重要文化財・植松家住宅

公園の正門に近づくと、1軒の茅葺屋根の古民家が見えてきた。

国の重要文化財「植松家住宅」である。植松家は、代々この地の名主を歴任してきた上層農家であり、園内にある古民家は18世紀初めに別の場所に建てられていたものを1974年、中央公園に移築してきている。静岡県東部に残るものでは、古くて保存状態が良く、1973年に国の重要文化財に指定されている。

修繕もされているのだろうが、植松家住宅の梁などは300年前のものとは思ないほどしっかりしている。先日に訪れた岩手県・遠野の古民家といい、昔作られた木造建築の耐久性には驚かされる。メンテナンスさえしっかりすれば、200年、300年は十分に持つのだ。現存する世界最古の木造建築とされる法隆寺にいたっては、7世紀に建てられている。現代の日本の木造住宅は、最近でこそ100年住宅など耐久性をうたったものもあるものの、一般的には平均寿命が30年にも満たないと言われている。古民家が畏敬に値する建築物に思えた。

植松家住宅の内部は自由に見ることができるが、見学時間は土曜日13~16時、日曜日、祝日9~12時、13時~16時となっている。

植松家住宅を見終えると、中央公園をあとにした。

自然と文化財が詰まった公園

裾野市の中央公園は、1.8ヘクタールと東京ドーム半分以下の広さにも関わらず、五本の滝と重要文化財に指定されている古民家のほか、吊り橋、太鼓橋、せせらぎなどが盛りだくさんの公園である。滝や重要文化財が園内にある公園はそうそうないだろう。さらに重要文化財の植松家は無料で見学できる。

滝を見て、古民家を見て、川で遊んで。自然と文化財の両方を満喫できる裾野市の中央公園は子供から大人まで楽しむことができる公園である。

暑くなるこれからの季節、夕涼みに裾野市の中央公園を訪れるのもいいかもしれない。

裾野市・中央公園

参考WEBサイト

 静岡県裾野市公式ウェブサイト|富士のすそのの健康文化都市
www.city.susono.shizuoka.jp  
 中央公園 : 公共施設案内|静岡県裾野市公式ウェブサイト|富士のすそのの健康文化都市
www.city.susono.shizuoka.jp  

※その他、中央公園内に設置されていた説明版を参考にしています。

Text & Photo:sKenji

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