今年1月、宮城県が津波対策ガイドラインを改正しています。ガイドラインには、津波から避難する上で、宮城県だけに限定されない、有用な情報が書かれています。
これまでも、津波の避難場所について調べてきましたが、今回は、宮城県の新しい津波対策ガイドラインから、津波の避難場所、避難経路の選定条件を中心に、ご紹介したいと思います。
避難場所を検討する前に・・・。津波予報について
地震発生時、避難先を決めるためには、気象庁が発表する津波の高さと到達時間に関する予報は重要です。
気象庁は、地震発生後、約3分(一部の地震については最速2分程度)を目標に津波警報等を発表するそうです。通常、予想される津波の高さは、5段階の数値で発表されます。しかし、地震の規模がマグニチュード8を超えるような巨大地震は、精度の高い予測を数分内で行うことは困難であり、過小に見積もられる恐れもあります。そのため、巨大地震の第一報については、下記のような「巨大」、「高い」といった表現で発表されます。
大津波警報が発令され、その津波の高さの予想が「巨大」と発表されたときは特に注意が必要です。
「大津波警報」や「津波警報」が発令された場合には、沿岸部や川沿いにいる人は、ただちに高台や避難ビルなど安全な場所へ避難をし、「津波注意報」の場合には、海の中にいる人は、ただちに海から上がって、海岸から離れることが必要とのことです。
巨大地震が発生し、「巨大な」、「高い」といった表現で第一報が発表された場合、気象庁は、地震発生からおよそ15 分程度で正確な地震規模を求め、その予想される津波の高さを数値で示して、再度発表します。
また、実際の津波が観測された場合には、その数値と時刻を公表しますが、その際、観測された津波の高さが低い間は、誤解を避けるために「観測中」と発表します。「観測中」の場合は、津波がまだ到達中であり、その後に、より大きな津波が押し寄せる恐れがあります。
避難場所の条件について
最終的に避難する場所は、地震発生時に決める必要がありますが、事前に避難先の候補地をいくつか決めておくべきです。
すぐ近くに指定された避難所があるならば、そこへ逃げることができますが、指定避難所まで逃げる時間がない場合や、想定外の巨大津波が予想される際には、別の場所に避難する必要があります。
では、いったいどのような場所を避難場所にすればいいのか。ガイドラインには、次のように書かれています。
■避難先の条件
・自治体が公表している津波浸水想定区域から外れていること。
(津波浸水想定区域の不確実性も考慮して、想定区域より海抜が高い場所とする)
・周辺に山・がけ崩れ、危険物貯蔵所等の危険箇所がないこと。
(がけ崩れ等の恐れがある地域は、自治体がハザードマップを公表している
場合が多いです)
・予想される津波よりも大きな津波が発生する場合も考えられることから、
さらに高台へ避難できる場所が望ましい。
・袋小路となっていないこと。
・背後に階段等の避難路等がない急傾斜地や崖地付近は避けること。
・避難場所に到達後、自治体が指定している避難場所へ避難できるような
避難路等が確保されていることが望ましい。
(※避難先の条件は、ガイドラインの「指定緊急避難場所」、「指避難目標地点」
の設定条件から、一部をピックアップしています)
ガイドラインでは、指定避難所以外に、住民が設定した一次避難場所を「避難目標地点」と呼んでいます。避難目標地点について、ガイドラインでは次のように解説しています。
津波避難では,時間と余力のある限り,安全な場所を目指すことが基本です。
津波が短時間で到来する場合,必ずしも市町が指定した指定緊急避難場所への最短コースを避難する必要はなく(例えば最短コースによる避難が津波浸水想定区域内を長時間通過しなければならない場合,最短コースによる避難がかえって危険を増す可能性がある),何よりも避難対象地域の外に最も安全かつ早く避難できる目標の地点(避難目標地点)への最短コースを避難することが重要です。
避難目標地点は,避難対象地域の外縁と避難路,避難経路との接点付近となります。
この避難目標地点も,津波浸水想定区域といった「想定」をもとに設定されるものであり,可能な限りより安全な場所へ,安全な経路で避難することが必要です。
以上、ガイドラインの記載です。これらの条件と避難先の海抜を調べた上で、いくつか候補地を決めるといいのではないでしょうか。海抜の目安は、下記WEBサイトで確認できます。
※補足:指定避難所について
想定外の規模の津波が発生する可能性もあります。事前に指定避難所の
海抜を調べておき、それ以上の津波が予想される場合は、より安全な場所
へ避難する必要があります。また、避難所が指定された時期は重要です。
多くの自治体では東日本大震災後に、指定避難所の見直しを行っており、
震災後の避難場所は、従来では想定されていなかった巨大地震も考慮して
決められているケースが多いようです。
<【宮城県津波対策ガイドライン】津波の避難場所について ~後編~ へ続く>
※後編では、避難可能距離や避難経路の設定について書く予定です。
参考WEBサイト
Text:sKenji
最終更新: