南米エクアドルを旅行していた時のことです。
泊まっていた安宿のお兄さんが言いました。
「世界で一番高い山はどこだか知っているか」
んっ?なぜそのような当たり前の質問をするのだろうと疑問に思いつつ、
「エベレスト」と答えると、安宿のお兄さんはニヤッと笑って
「いや、違う」と言いました。
「チョモランマ?」エベレストの別名を言うと、
「いや、違う」と言います。
「サガルマータ?」
「それも違う」
他にエベレストの呼び名があるのかなと思いながら、
「どこ?」と聞くと、
「チンボラソ」という答えが返ってきました。
チンボラソはエクアドルで一番高い山です。標高は、海抜6310m。高い山ではありますが、海抜8848mのエベレストよりも2500m以上低いです。自分の国の山が世界一高いと思いたい気持ちはわからなくもありませんが、少し無理があります。訳が分からないでいると、安宿のお兄さんは説明してくれました。
「エベレストの8848mは海抜だ。つまり海面からの高さでは、世界一だ。しかし、地球の中心から測った場合、世界で一番高い山は、チンボラソになる。」そう得意気に話をしてくれました。
その時は、慣れない英語での会話ということもあり、よく理解できなかったのですが、後日、調べてみると、確かに地球の中心から測った場合は、エベレストよりもチンボラソの方が高いようです。
なんだか狐につままれたように感じる方もいるかもしれませんが、チンボラソが世界で一番高い山ということは、ある意味、間違ってはいないようです。
地球は丸いと言われますが、正確に言うと真球、つまり完全な球体ではありません。写真でみると、人の目には丸く見えても、精密に測定すると楕円形だそうです。
具体的な数値は、北極と南極の方向の直径が12714㎞であるのに対して、赤道方向の直径は、12756㎞です。つまり、極点方向と赤道方向で約42㎞の差があります。赤道方向の直径が長いのは、地球の自転による影響ではないかと言われています。
そのため、ほぼ赤道付近にあるチンボラソが、海面からの高さでは低くても、地球の中心からの距離だと、エベレストよりも約2100m以上も高いそうです。
もし、地球上にある海が干上がってしまったら、世界一高い山はチンボラソになるかもしれない?!
チンボラソ
Text :sKenji
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