国内には6,000を越す島々が存在します。それだけたくさん島があれば、中には一風変わった面白い島もちらほら見かけたりします。このシリーズでは、そんな島々の中でも「日本で唯一、●●な島」だけを取り上げて紹介していきたいと思います!話のネタに、島旅の参考にどうぞ!
鹿児島県の離島・種子島は、「日本で唯一の実用衛星発射基地がある島」として有名です。簡単に言うとすれば、「日本で唯一の(現役の)ロケット発射場を備えた島」でもあります。
例えば、私たちが日常生活の中で触れる気象情報や、テレビ放送、カーナビなどの位置情報は、人工衛星からの観測や通信が大いに役立てられています。種子島は、これら人工衛星を積んだロケットの発射拠点にあたるのです。現在では、種子島観光においても欠かせない存在となり、観光客誘致の側面でも一役買っていると言えるでしょう。
では、なぜ種子島がこのような役割を担うようになり、注目を集めるようになったのでしょうか。そこには種子島ならではの理由がありました。
ココに注目!~日本で唯一たるポイント~
■1.最も赤道に近かった!
1960年代になると、国内において宇宙開発の機運が高まってきました。商用の実用人工衛星を打ち上げるため、1964年(昭和39年)7月、科学技術庁宇宙開発推進本部(現・宇宙開発事業団の前身)が設置され、宇宙開発組織が着実に整備されていきます。こうした準備期間のなか、ロケットの発射場として注目されたのが種子島でした。
ロケット発射場の建設にあたり重要だったのは、「種子島が最も赤道に近かった」という点だそうです。どういったメリットがあったのでしょうか。
【1】少し専門的な話になりますが、人工衛星を上手く軌道に乗せるためには、秒速7.9kmの速さが必要だと言われています(計算したところ、地球の赤道<=40,075km>が約1時間24分で1周できてしまう速さでした)。人工衛星をこの速さに到達させるためには、地球の自転の速度を最大限に活用し、勢いをつける必要がある。そして、その自転速度は赤道に近ければ近いほど速くなる・・・とのことです。
日ごろ、自転の速度なんてあまり意識しませんが、こうすることで、自点の遠心力を活かし、ロケットは大いに加速するそうです。また、この結果として余分な燃料の節約にもつながるそうですから、かなり奥が深いですね!
【2】この自転の力を活かすため、種子島にロケット発射場が設置されたのは1969年10月のことでした。
特筆すべきは、この当時、沖縄がまだアメリカの占領下にあったことです。赤道の近さだけで言えば沖縄の島々の方がより近いのですが、当時はまだ返還の目途も立っていませんでした。その結果、当時の日本最南端に近く、立地的にも好都合だったのが種子島だったのです。
沖縄が返還されたのはその3年後の1972年のこと。例えばもし、沖縄の本土復帰のタイミングが少しでも違っていれば、種子島にロケット発射場が建設されなかったかも知れませんね。
■2.東の海が開けた立地
ロケット発射場の設置にあたり、種子島が好都合だったのは、東の海が開けているという点だそうです。
もし万が一ロケット発射時に何か事故が起こった場合、懸念されるのは落下物などによる人的被害ですね。世界には26か所のロケット発射場がありますが、どれもこうした落下物による被害が及ばないような場所(海沿い、人の生活に影響が及ばない内陸部など)に建設されているそうです。JAXA(宇宙開発事業団)では、種子島に設置した理由として、陸上、海上、航空における安全に支障のなかったことを一番の理由として挙げています。
他にも、必要な用地面積の確保や、交通の便の良さ、住民理解など、いくつかの条件が挙げられていたようです。さすがに条件の全てを求めるとなると、なかなか容易ではない気がしますね。事実、種子島では、建設の是非が問われたこともあったそうです。
もちろん、最終的には種子島にロケット発射場が設置され、大いに役立てられてるわけですから、日本にとっても島民にとっても誇れる存在であってほしいですね!
■3.世界一美しいロケット発射場
日本で唯一の実用衛星発射基地として知られる種子島のロケット発射場ですが、その光景の美しさは世界一とも評されています。鹿児島以南の海はサンゴ礁にも恵まれ、エメラルドブルーの海が印象的ですが、世界一なんて言われるとなんだかちょっと嬉しいですね!先にも述べたように、世界には26か所ものロケット発射場があります。世界一と言うからには、26か所すべてを見比べた人がいるのでしょうか・・・。
種子島宇宙センター
世界一美しいと言われるロケット発射場。見学も可能。
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