娘の夏休み中は海へ行けなかったので、夏の名残がある今のうちに急いで海へ行ってきました。
場所は沼津市の「らららサンビーチ」。海水浴場としての営業は8月いっぱいで終了している(のでライフセーバーはいない)のですが、それ以外のシーズンでも浅瀬で遊ぶ子どもたちが多く見られる人気のスポット。この日もビーチには多くの家族連れがテントを張って、思い思いの過ごし方をしていました。
娘は水遊びが大好き。でもここ数年で起きた「異変」があります。それは「泳がなくなったこと」です。
保育園の年中さんの頃からスイミングスクールの障害児クラスに通っており、腕浮き輪をつければ上手にバタ足をしてスイスイ進めた娘。
しかし小学校4年生になった頃でしょうか、泳いでいる最中に突然「あ、足が着くじゃん!」と気づいてから徐々に泳ぐことが少なくなり、ある時からまったく泳がなくなりました。
上陸寸前のゴジラのようにゆっくりと歩くか、指を弾いた水滴をじっと眺めているか。あんなに大好きだった泳ぐことを引退してしまったのです。
それでも海へ行けば足のつかない深さのところでは思い出したようにバタ足をしていた頃もあったのですが、最近はまったく泳ごうとしません。
初めてのライフジャケット
深いところへ行かなくなったとは言え、離岸流など潮の流れによっては沖へ流されてしまう危険もあります。
さらに恥ずかしながら私たち両親が泳げないことを考慮すると、深いところへは行かない心がけを徹底したとしても「ライフジャケット」は必須です。身体が大きくなったので、腕浮き輪の浮力では足りないと思うのです。
問題発生
ライフジャケットは初めての娘。少し嫌がったものの、ある程度の圧迫刺激が好きなこともあって、思ったよりもすんなり着てくれました。
さあ海の中へ。しかしこの日もご多分に漏れず、ママとおばちゃんが娘の身体を寝かせてあげて「楽しいよ~」「バタバタバタ~」と誘っても、ムダに長い脚が動くことはありませんでした。
有り余る体力でわたしたちをいつも困らせているので「泳いで疲れて欲しいんですけど」なんてぼんやり見ていたわたし(荷物係)。すると間もなく、浅いところだったとはいえ海の中で娘が自らファスナーを下ろし、ライフジャケットを脱いでしまいました。
そっか、ファスナーものは「着れないけど脱ぐことはできる」んだ…左右からカチッとロックするヤツは外せないので、あっちのタイプじゃないとダメか、もっとよく考えて買うんだった…。
幸いその後ライフジャケットを外すことはありませんでしたが、大きな海を小さく使って遊ぶ娘は30分もすると海から上がり、江戸っ子の風呂のように短くて粋な海水浴が終わりました。
海から上がりながら「ファスナーを自分で降ろせないよう、後ろ前に着せてみたらどうだろう」と試してみたら、あんまり違和感はありません。
その方が「シカゴPD」みたいでカッコいいね、なんて冗談はさておき、正規の向きで着用しないことはもちろん推奨されないことですから、脱げやすさなどの可能性を改めてきちんと確かめることにします。
自閉っ子の寿命は短い?
さて、自閉症の子はケガや事故が多く、アメリカでの調査によれば
「14歳以下の子どもがケガにより死亡する危険性は一般集団よりも40倍も高い。ケガに関する全ての死因のなかで溺死が占める割合は46%に達する。これは他の子どもたちよりも160倍も危険性が高いことを意味する」
となっています。まったくうなずける話です。知的障害の有無、程度やタイプにもよりますが危険察知が鈍かったり、できない子はたくさんいますし、うちの娘と同じく水が好きな子も多いですからね…。ということで「一般の人がケガで死亡した場合の平均年齢は約55歳であるのに対し、自閉症の人のそれは約29歳」だそうです。
リスクと笑顔
最重度の知的障害があり多動性も強いうちの娘の場合、危険はなおさら高まります。実際問題として、駅のホームにいても、道路を歩いていても、海沿い川沿いを散歩していても緊張の連続です。
娘の身体がこの先どこまで大きくなるか、多動性が収まるようなことはないのか。あしたのことさえわかりませんが、リスク減を優先するあまり娘の笑顔が減るようなことはしたくない。そのためにわたしたち親が負う責任と、持つべき覚悟について考える日々です。
たとえ一時的にではあっても、娘の笑顔ひとつで大抵の悩みは吹っ飛びます。あとは美味しいお酒と食べ物ですね。そこにはめっちゃ忠実に日々暮らしています(笑)
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