戦艦大和の大型模型が展示されている広場に一旦戻り、反対側にある入り口から『大型資料展示室』へと進んでいきます。
広さは大和の展示広場と同等、いやそれよりも広いかもしれません。戦争で使用された兵器、そして使用されずに終わった試作品も展示されています。
零式艦上戦闘機六二型、特攻兵器「回天」十型(試作型)などの実物資料で戦争の悲惨さや平和の大切さを伝えます。
呉で培われた材料をつなぐ技術や目標へまっすぐ進む技術などは、現在の宇宙ロケット製造技術にも引き継がれています。
大戦末期に開発された人間魚雷
太平洋戦争に突入して2年、戦局悪化のなか、ついにその打開策として「人間魚雷」が考案されるに及びます。それは、航空機とレーダーの時代に入り兵器庫に山積みとなっていた93式魚雷を改造、自らが操縦して体当たりしようというものでした。この構想の中心となった黒木中尉や仁科少尉らは採用を求め海軍上層部に血書嘆願を行いますが、海軍では「必死」を前提とする兵器は採用しないという伝統があり却下され続けました。しかし、昭和19年2月のトラック大空襲により前進基地が壊滅すると、ついに採用を決断。以後、多くの悲劇が生まれることとなりました。
大和ミュージアム 人間魚雷「回天」採用の血書嘆願
「天を回らし戦局を逆転する」
敗戦濃厚だった太平洋戦争末期、このような願いを込めて造られた回天とは、人間一人で操縦する魚雷のこと。目標とする敵艦の船腹等に体当たりし、爆発によって船を破壊させる特攻兵器です。
主に研究開発をしていたのが、呉の海軍工廠。回天は一型、二型、四型、十型等タイプは様々あったのですが、実戦に使われたのは一型のみ(約420基が製造)でした。同じく展示されている「九三式酸素魚雷」の装置をそのまま用いて開発されたもので、一度エンジンを始動させると停止は不可、さらには脱出も不可という構造。つまり一度起動させると帰ってくることはできません。
こちらのミュージアムでは本土決戦の際、近距離における特攻兵器として開発された十型を展示しています。酸素魚雷の一型とは異なり、電気モーター型の「九二式魚雷」を利用したものなのだそうです。
地元の静岡県沼津市にもかつては海軍工廠があり、回天等を格納する特攻隊基地もあったされています。回天自体聞いたことはあったものの、試作型ですが実物を見たのは初めてです。
「こんな狭いのか」と率直に思いました。上の写真を見るとわかるのですが、中央に出っ張っている部分があります。この中に人が足を伸ばして座るよう設計されていたそうです。(写真だと大きさがわかりづらいです…。)
回天に搭乗し亡くなった方は100名以上。そのほとんどが20歳前後の青年でした。
こちらでは搭乗前に語った隊員の遺言(肉声)を聴くこともできます。家族への感謝の気持ちを伝えることから始まり、これまでの思い出、そして特攻への決意などが語られています。特に印象的だったのが、すべてを語ったあと明るく締めたこの言葉でした。
みなさんさようなら!元気で征きます。
大和ミュージアム
遺言を文字起こしたパネルで読むこともできますが、実際の声で聴くと同じ内容でも印象が変わるのかもしれません。
大和ミュージアム見学後
大和だけでなく、船を操作できるシミュレーション施設やシアタールームなど、子どもと一緒に遊びながら学べるコーナーもあります。
各フロアを回り、海が見える展望デッキでしばし休憩。見学後、ここからの眺めに癒されました。(写真を取り忘れてしまった…)
時刻は11時前。
候補はいくつかあったものの、この後の予定はもともと決めていませんでした。
次はどこに行こう?と相談した結果、自分の意見が通りました!動物があまり得意では妻をなんとか説得し、さっそく車を走らせます。
その行き先は…。
続きます。
前回までの旅の記録
最終更新:
cha_chan
回天は自爆テロと同様、攻撃された側も不幸ですが、攻撃する側も不幸ですよね・・・。
人の命の尊さをしっかりと考えて、このようなことが二度と起こらないようにしなければならないですね。
pamapama
「回天」のことは話としては知っているものの、現実だと信じることができません。「特攻隊に行くはずだったがその前に終戦を迎えた」という方がわりと身近にいたこともあり(いまは故人)「遠い昔の出来事でもないし現実なんだよな」と思い知らされます。二度とこんなことがあってはいけませんね。
Vermeer
> 一度エンジンを始動させると停止は不可、さらには脱出も不可という構造。
回天に搭乗した兵隊さんは怖かったでしょうね。
勝つために必死だったのだろうけど、人間の命が軽く扱われていたことに胸が痛みます。
akaheru
子供を持つ親として、回天に搭乗し命を落とした方々の親御さんの気持ちを想像すると胸が苦しくなります。
ほんの75年前にこんなことが起きていたことを、決して忘れてはいけません。