約2年ぶりに広島平和記念資料館を見学しました。今年の4月にリニューアルオープンした同館。前回工事中だった本館は初めての見学になります。
平和記念公園内も歩くことを想定したため、負担を軽くするベビーカーに息子を乗せて入館。チケット購入後、私たちの様子を見た警備員の方が「こちらへ進んでください」と誘導してくれました。通常はエスカレーターですが、今回はエレベーターを使わせてもらいました。
受付から、まずは3階まで上がるという順路はリニューアル前と変わっていません。
上がってすぐの東館では、以前紹介した本川小学校の模型から映像技術が加わったことで当時の経過を示すホワイトパノラマが中央に配置されており、それを取り囲むように被爆前後の広島市内の様子を写したパノラマ写真が展示されています。
その後は本館へ移動。入口につながる連絡通路は、表現が正しいかわかりませんが、黒を基調としたシックな雰囲気。まるで映画館のような印象を受けました。
そして、まず目に入ってくるのが「被爆少女の写真」。館内には数々の写真が展示されていますが、最も記憶に残っている写真の一つです。
入ってすぐの通路には、当時の白黒写真が実物大に近い大きさで展示されています。
まだ序盤ですが、ここでしばらく立ち止まってしまいました。
頭髪は焼けちぢれ、
顔、腕、背、足のいたるところの火ぶくれが破れ、
火傷の皮膚がボロぎれのように垂れ下がる。
頬に涙が伝い、ファインダーを通す情景がうるんだ。
まさに地獄だ。
広島平和記念資料館
写真に添えられていたキャプション。おそらく撮影された方のものであり、短い言葉ですが、脳裏に焼き付くほどの衝撃でした。
本館のテーマは「被爆の実相」ということで、展示物は実物が中心です。ガラスケースに置かれた建物疎開の作業を手伝っていた生徒たちの遺品(衣類中心)。「人影の石」や「黒い雨」の跡が残った壁といった原爆の恐ろしさを伝える遺物。
終始暗い館内の中、数々の写真や遺品が浮かび上がるように展示されていたり、爆風で破壊された建物の一部を展示する背景に被爆当時の写真を使用していたりと工夫が施されています。
ここでは挙げきれないほどの展示物が配置されている館内ですが、ほとんどのブースは数名で同じ展示物を眺めることしか出来ない(1人で観るタイミングはない)程の混雑ぶり。順路では人の列が自然にでき、ゆっくり進んでいきました。
魂の叫び
これは「8月6日の惨状」「放射線による被害」と並び、付けられている本館のサブタイトルです。被害を受けた人々が遺した物が大切に保存され、広い空間の中に配置されています。
2年前は東館に展示されていたと記憶していますが、その時と比べて特に印象的だった変更箇所は、下の写真のように遺品の持ち主にスポットが当てられている点です。
遺品自体に目が行きがちですが、添えられている生前の写真を見て、それはその人が当時身につけていたり、大切にしていたものであると同時にたくさんの命が奪われたことに改めて気付かされました。
犠牲になった子どもたちが遺したものに添えられた家族の言葉にも胸が痛みます。我が子との思い出から後悔の念を綴ったものまで…。中には直視できなかった、幼い子どもの遺品もありました。
このブースを見学している途中、ついに息子の我慢が限界に達しました。(よく頑張った!)妻にエントランス付近で待ち合わせすると約束し、ここからは1人で進みます。
戦後も続いた苦しみを知る
本館の最後は「生きる」がテーマです。展示されているのは、佐々木貞子さんの一生や被爆によってそれまでの生活が一変しバラバラになった家族のお話など。
もっと生きられるはずだった。これからは一人で生きていかなければならない。決して元の生活には戻ることはなかった。
戦争を生き抜いた後も被爆に悩まされた方々の物語を知ることができます。
ここからも原爆の悲惨さが伝わってきます。
本館を出て東館に戻る通路はギャラリーになっており、その窓からは園内を見渡すことができます。どちらも映っているのは現実なのに、別の世界を観ているかのような不思議な感覚でした。
続きます。
前回までの旅の記録
最終更新:
akaheru
原爆資料館の展示品は何度見ても胸が締め付けられますね。
だからこそ、定期的に行かなければいけないのかも知れません。
baikinman
広島平和記念資料館の写真を見ると、会場が暗く写真にスポットが当たっているので、余計な情報が入らずにその物に意識を向けやすいですね。
ここも子供と行きます!
cha_chan
子連れ平和学習いいですね!まだ小さいお子さんには戦争や被爆のことを理解できないかと思いますが、もう少し大きくなった時に、広島の写真やこちらの記事を一緒に見て学習することもできますね。
pamapama
> 戦争を生き抜いた後も被爆に悩まされた方々の物語
戦争に終わりはないんでしょうね。絶対にしちゃいけませんね。