フランスのシャモニーを後にして向かったのがスイスです。「ヨーロッパアルプスの美しい山並み」、「牧歌的」、「雄大な自然風景」などといったイメージを持っていたスイスは、日本を旅立つ前から行きたいと思っていた国でした。絵に描いたような風景を見ながらトレッキングを――。そんなことを夢見ていたのですが……
なんと、訪れた年の夏はこともあろうか異常気象の連続だったのです。
真夏だというのに雪が降り、さらには記録的な大雨にも見舞われました。雨量は歴史的と言っても過言ではなく、道路や鉄道は寸断。近くの川が氾濫して街にも水が流れ込んできたほどです。
おかげで山道はもちろんのこと、街中の通りすら歩くことができない日もあり、ホテルに缶詰状態でした。当然、楽しみにしていたトレッキングコースも通行止めで歩くことができませんでした。
そのようなこともありスイスの旅は不完全燃焼でしたが、天候が回復した後に少し歩いてみると、イメージしていたようなスイスの風景を一部見ることができました。
写真はそのひとつ。インターラーケンから日帰りでラウターブルネンの村を訪れた時のものです。村は氷河によって削り取られた深い谷底にあり、断崖に囲まれています。崖から流れ落ちる滝は迫力がありました。
上の写真は同じくインターラーケンから日帰りでグリンデルワルト近郊(だったはず……)をちょっと歩いてきた時のものです。山頂に雪を抱いたアルプスの風景はまさに夢に見ていたそのもの。氷河によって削り取られた険しく、そしてダイナミックな地形は圧倒的な存在感があります。
できることならば、天候回復後にもう少し滞在して通行可能なトレイルを歩いてみたかったものの、スイスは世界で最も物価の高い国のひとつ。旅の始まりだった南米のとある国における1週間分ほどの宿代が、スイスではインターネットカフェを1時間利用するだけで飛んでしまうのです。心残りはありましたが、「これもまた旅。いつの日かまた来よう!」と思い、バスでチェコへと向かったのでした。
インターラーケン
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