国民の約8割が農業に携わっているという農業国、ラオス。国土の7割は山岳地域が占めています。豊かな自然の中をアジアの大河・メコン川がゆったりと流れる心安らぐ国です。そのラオスには、中国からタイを目指す途中に寄りました。
心安らぐ国・ラオスを象徴するような街、ルアンパバーン
ラオスの首都はビエンチャン。しかし、私が寄ったのは首都ではなく、ルアンパバーンでした。
ルアンパバーンは14世紀にラーンサーン王国が建国されて以降、500年もの長きに渡って都が置かれていたラオスの古都です。街全体が世界遺産に登録されています。
人口約3万人の小さな街には、60を越える寺院があります。周囲の緑の豊かさもあって、落ち着いた雰囲気の漂う街です。
そのゆったりと流れる時間に引き寄せられるように、多くのバックパッカーがルアンパバーンを訪れるのです。
ラオスの古都・ルアンパバーンについて
ルアンパバーンの朝は僧侶の托鉢で始まります。
ラオスは敬虔な仏教国。早朝、多くの地元の人が道端に並び、一列になって歩く僧侶にもち米や金品などを喜捨します。
国民の9割が仏教を信奉し、男性は一生に一度は仏門に入ることが義務と考えられているといいます。
数多くあるルアンパバーンの寺院のなかでも、最も美しいと言われているのが、ワット・シエントーンです。
1560年に創建されたラーンサーン王国時代のお寺で、街のシンボルになっています。重なるようにある急傾斜の屋根が特徴的であり、その姿に優美さを感じます。外壁に描かれたモザイク画も見事で、ルアンパバーンのみならずラオスを代表する寺院です。
個人的にお気入りの場所はプーシーの丘。街のほぼ中央にある高低差150メートルほどの小高い丘で、夕暮れ時にここから眺めるルアンパバーンの街とメコン川の光景は郷愁を誘います。
激しい戦場だったラオス
ラオスの国旗をご存知でしょうか?
赤、青、白円から成っています。中央にある白い円はメコン川に昇る月を、青は国の豊かさを、そして赤は独立闘争で流された血の色を象徴しているといいます。
今は大変のどかなラオスですが、実は歴史上、最も多くの爆弾を落とされた国なのです。
19世紀から20世紀にかけて、ラオスはフランスの植民地でしたが、1954年にフランスがディエン・ビエン・フーの戦いでベトナムに敗れると独立を果たしました。
しかし、その後に勃発した第2次インドシナ戦争で、第2次世界大戦中に全世界で使用された全ての量を上回る爆弾が、ラオスに投下されたといいます。
第2次インドシナ戦争は、1960~1975年にアメリカとの間で行われた戦争で、日本ではベトナム戦争と呼ばれることの方が多いかもしれません。
そのせいか、ベトナムが戦争で大きな被害を受けたことは多くの人に知られていますが、ラオスについてはベトナムほど知られていないように思います。恥ずかしながら、私はラオスが激しい戦場であった歴史を知りませんでした。
開発が進むラオスのいま
ラオスの一番の魅力は、そこに住む人々の素朴な人柄と生活、そして豊かな自然です。
しかし今、ラオスはダムの建設計画が目白押しです。メコン川に水力発電用のダムをいくつも造ろうとしているのです。
ラオスに住んでいない人間の勝手な思いであることはわかりつつも、美しく、そして素朴な風景を形作っているメコンの自然が壊されないことを願わずにはいられません。
悠久の大河・メコンにダムはあまりにも不自然です。
またいつか、ラオスを訪れたいと思っています。その時、かわらない素朴でのどかなラオスであってほしいと思います。
ルアンパバーン
参考文献
ラオス 観光公式ガイド(監修:ラオス情報文化観光省、編者:藤田昭雄、発行所:株式会社めこん)
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