自閉症・重度知的障害の娘と「ことば」の関係

pamapama

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ことし11歳になる娘は言葉を話すことができません。でも「その時その場にふさわしい言葉」を発することがあります。そんな言葉が今いくつあるのか、ちょっと数えてみました。

1.おいしそー!
2.おしっこしー!
3.さようならー(本当にさようならの場面と、「あっちへ行って」の時)
4.ゴシシ、ゴシシ(体や髪を洗う時、爪を削る時)
5.チョキキ、チョキキ(髪を切る時)
6.たのしーなー
7.ほんとにもー
8.ばたばたー、ばたばたー(プールの縁に座ってひざ下だけバタバタする時)
9.いちに、いちに(駆け足する時)
10.おーいで!
11.おかし
12.おかーあさん
13.パパ
14.ママ
(以下、備忘メモを兼ねて追記)
15.あけて!(お菓子の袋を持ってきた時、iPadのロックを解除して欲しい時)
16.またねー!(さようならー、と同じ使い方)

これぐらいですかね…。「パパ」「ママ」はわたしたち親が食べ物の用意を申し付けられる時の言葉。パパママが反対になる時もあるのですが、呼ばれるとものすごくうれしいので「ひいき」してこの中に入れておきました。

悪天候による不機嫌からようやく立ち直って笑顔。「なんてはこそくそ(←のちほど説明があります)」を連発してました。
悪天候による不機嫌からようやく立ち直って笑顔。「なんてはこそくそ(←のちほど説明があります)」を連発してました。

まわりから学んでる♪

パパ、ママ以外はみなさんお気づきのように、ごはんを食べる時、トイレに行った時、帰りの車に乗り込んだ時などに「近くの人がかけてくれる言葉」です。

7番めの「ほんとにもー!」は「悪いことをした時、ママが言う言葉」です。いけないことをしてママに「ほんとにもー!」と言われると、悪いことした張本人がいつまでも「ほんとにもー」「ほんとにー」「とに、もおー」ってずーっと言ってます。ママを余計に怒らせて「あんたのことや!」って言われてます。

そもそも誰もが「どんな場面でどんなことを言えばいいのか」をまわりの人が発する言葉から覚えていくのでしょうから、重い知的障害の娘も同じプロセスで「言語を獲得している」感じがしてうれしくなります。

さらに、意味を知らない娘にとってもこれらの言葉は正しく機能を果たしてくれていることになります。これもうれしいことです。

言葉が通じないことが原因で生じる不便や危険はとても大きなストレスになります。少しずつ、ゆっくりでもいいから、上に挙げたような言葉が増えていけばお互いどんなに楽になるだろうと想像します。楽しみにしています。

意味はないけどあるバージョン

上に挙げた言葉のほかにも、娘の感情がわかる言葉があります。言葉というよりは「適当な音(おん)の並び」に過ぎませんし、その音からわたしたち親がわかるのは「機嫌がいい」「機嫌が悪い」と「痛い」という情報だけなのですが、わが家の家族カーストでトップに君臨する娘の機嫌が耳だけでわかるのは、わたしたち下僕にとって大事なことなのです(笑)。

いくつか挙げてみましょう。

■機嫌がいい時のフレーズ
・あんもがな(わざと変な言い方をして「ボケる」ようなことも。機嫌がこれから上向きな感じ)
・いとわず いとわず(好奇心が刺激されている感じ)
・がら、どぅっどぅどぅ!(元気)
・なんてはこそくそ なんてはこそくそ(元々は「どんぐりころころ」の「泣いてはドジョウを困らせた」だったのに、どんどんおかしくなってきた。平常心に近い元気、な感じ)
・いんろいさかなん いんろいさかなん(やんちゃ元気な感じ)
(以下、備忘メモも兼ねて追記)
・いきしょになな!(朗らかに元気)
・かきかこーこー かきかこーこー(元気に近い平常心)
・だっくり かだかだ だっくり かだかだ(元々は「どんぐりころころ」の出だしだったのに、どんどんおかしくなってきた。やんちゃに元気な感じ)
・ぽでぃっぽ でぃぽでぃー ぽでぃっぽ でぃぽでぃー(おだやかとやんちゃの間ぐらいの元気)

■機嫌が悪い時のフレーズ
・とぅわー!(定番。かなり小さい時から使われている)
・なちどち なちどち なちどち(気圧の変化などによる不快感)

■痛い時
・かうゎ!(必ず裏声。どこかにぶつかった。うんちが硬い)

ぐらいでしょうか。「どんぐりころころ」由来のふたつ以外、出典はまったくわかりません。

「機嫌がいい時のフレーズ」にはどれもメロディーがあるのでほぼ「歌」です。機嫌がいいともうずーーーーっとこれらのフレーズを歌っています。新しく生まれては消えていく幻のフレーズも無数。

「いつ息継ぎしてんの?」と不思議なくらい、とにかくずーーーーっと歌ってます。うるさいです。

娘のフレーズの源になっているかもしれないYouTube。カバー左上の傷は娘の噛みつきが激しかったころの名残です。
娘のフレーズの源になっているかもしれないYouTube。カバー左上の傷は娘の噛みつきが激しかったころの名残です。

自閉症とエコラリア

自閉症の特徴のひとつに「エコラリア」というものがあります。相手が言った言葉をすぐにそのまま繰り返す「即時性エコラリア」と、前に聞いたことのあるフレーズを突然繰り返したりする「遅延性エコラリア」があります。

うちの娘にも両方のタイプのエコラリアがみられますが、彼女のように知的障害が重く、もともとの語彙も極端に少ない子がどんな時にどんな理由でこのようなことをするのか、今のところは傾向めいたものさえつかめません。

一度聴いただけなのに、カーオーディオに合わせて突然正確に「あかいー!すいーとぴー!」と歌ったこともあります。神秘の脳みそです。

エコラリアが上手(という表現がいいのかどうかわかりませんが)な子だと、とんでもない場面でとんでもないことをいきなり口走ったりして大変なこともあるそうですよ。

「親の言葉をマネして突然口走る」ことは健常なお子さんでもあるでしょうから、大人は言葉遣いに気をつけなければいけません。わたしもママもニュースや外国ドラマで見た悪い人にすぐ「死ねばいいのに」って言わないようにします(^_^;)

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