竜巻災害に対しての備えについて

sKenji

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今月6日の夜、千葉市で竜巻とみられる突風により、ケガや建物の破損などの被害が発生しました。竜巻による被害は米国など海外での出来事で、日本では無縁に近い災害だと思っていたのですが、ここ3、4年、以前よりも竜巻による被害を伝えるニュースを目にするようになったと感じます。そこで今日は竜巻について調べてみました。

竜巻について

竜巻は発達した積乱雲の下にできる上昇気流のことで、渦を巻くように高速で回転します。まれに雲がない所で渦を巻いた上昇気流を見かけることがありますが、これは「じん旋風」や「つむじ風」などと呼ばれています。

ちなみに風の回転方向について、北半球の竜巻の多くが反時計回りであるのに対し、つむじ風はいずれの方向でも起りえるそうです。

国内で発生した竜巻のうち最も大きかったものは、竜巻の強さを示すF(藤田)スケールで「3」となっています。これは風速にしておよそ70~92m/sです。被害状況で言うと住宅が倒壊(※鉄骨造りでもつぶれる)したり、自動車が飛ばされるほか、大きな樹木においてもその多くが折れたり倒れたり時には引き抜かれることもあるという強さです。

竜巻発生時の気象条件は、温暖な空気が寒気に覆われていたエリアの流入する「暖気の移流」やその逆の「寒気の移流」、「台風」、「寒冷前線付近」など、大気の状態が不安定な場合に多く発生しています。

データから見る竜巻の発生状況

気象庁が公開している竜巻に関するデータ(※「竜巻等の突風データベース」)から、発生状況について見てみたいと思います。

「竜巻の年別発生確認数(1961~2014年)」(気象庁ホームページより)

「竜巻の年別発生確認数(1961~2014年)」(気象庁ホームページより)

1年間に発生する竜巻の件数は、平均約25件(2007~2014年、海上竜巻を除く)となっています。海上での竜巻も含めると年間で約61件発生しており、およそ6日に1つ発生していることになります。

この数字は確認されたものだけですので、実際にはそれ以上発生していることが考えられます。

竜巻の発生件数について、ここ3、4年、増えているように感じていたのですが、データを見る限り大きな変化はなさそうです。

「竜巻の月別発生確認数(1991~2014年)」(気象庁ホームページより)

「竜巻の月別発生確認数(1991~2014年)」(気象庁ホームページより)

月ごとの数を見てみると、竜巻は1年を通して発生しているものの、9月を筆頭に10月と8月が特に多くなっています。これは台風や冷たい寒気の流れ込みなど、竜巻が発生しやすい気象条件となる日が多いことによると思われます。

「発生時刻別の確認数(1991~2014年)」(気象庁ホームページより)

「発生時刻別の確認数(1991~2014年)」(気象庁ホームページより)

時間別でみると24時間、常に発生する可能性があります。ただ、過去24年間のデータ(総件数396件)を見る限り、発生は夜間よりも日中が多く、ほぼ半数は11時から18時の間に発生しています。

「都道府県別の発生確認数(1991~2014年)」(気象庁ホームページより)

「都道府県別の発生確認数(1991~2014年)」(気象庁ホームページより)

都道府県別の発生数を見ると、沖縄県と北海道が頭一つ抜けて多く、次に高知県、宮崎県、鹿児島県、秋田県が続きます。面積を考慮すると、日本で一番竜巻が発生しやすい場所は、沖縄県と言えます。

竜巻発生の前兆について

竜巻が発生する際には、事前に次のような現象があると言われています。このような前兆が見られたときは安全な屋内に退避するか、避難できる建物の位置を確認しておき発生してもすぐ気付けるように特に周囲の状況に注意を払うようにしたほうがいいと思います。

■竜巻発生の前兆
・空が急に暗くなる。
・低く黒い雲(積乱雲)が近づいてくる。
・大粒の雨、ひょうが降る。
・雷鳴が聞こえたり、雷光が見える。
・急に冷たい風が吹く。
・地上に伸びる雲が表れる。

発生時の対応について

竜巻が発生した際には次の行動を取ることが推奨されています。

「屋内にいる時」は地下階や1階に移動します。部屋は建物の中心に近く、窓がない部屋が望ましいです。雨戸、シャッター、窓などがある場合は閉めてカーテンを引きます。カーテンはガラスが割れた際に飛び散るのを軽減してくれます。

室内では窓やドア、外壁から離れた位置や、頑丈な机の下、押入れなどに入り身を小さくして頭と首を守るようにします。以前、アメリカで巨大竜巻に襲われた人がお風呂の湯船の中に避難して助かったという話も聞いたことがあります。

「屋外にいる時」は近くの頑丈な建物へ避難します。この時、車庫や物置、プレハブ小屋及び橋の下などは危険なので逃げないようにします。

避難できる建物がない場合は、側溝などの窪みや頑丈な建造物の陰などに隠れて、飛来物の直撃を避けます。

竜巻との距離が十分にあるケースでは遠くへ逃げることもあるかと思いますが、竜巻の移動スピードには注意が必要です。竜巻は最大で時速100キロメートルもの速さで移動する(※平均では36キロメートル。多くは60キロメートル以下と言われています。ちなみにウサイン・ボルトが100m走の世界記録を出したときの平均時速は37.6キロメートルです)ので、走って逃げることはできないと考えるべきです。

竜巻の移動経路の特徴として、直線的に動くことがあります。例えば、2012年に茨城県で発生した竜巻被害の範囲は、長さが17キロメートルもあったのに対して、幅は最大で500メートルほどです。竜巻の進路はほぼ真っ直ぐで、多少斜めに移動することはあっても直角に曲がることはないと言われています。そのため、竜巻の進行方向に対して90度の方向へ逃げるようにします。

参考までに竜巻の寿命を調べてみると、日本の場合はそのほとんどが数分から十数分程度とのことです。

自宅での避難場所の確認を!

前述の通り、竜巻の発生件数は以前と比べてもそれほど変化はありませんが、強さについては増しているという話も聞きます。

竜巻発生の予報としては気象庁のレーダー・ナウキャストなどもありますが、多くの人は発生してからの避難行動になる可能性が高いのではないでしょうか。その時に落ち着いて行動するためにも、発生時における自宅の避難場所を確認しておくなど、最低限の防災対策を事前にしておくことをおすすめします。

参考WEBサイト

 気象庁 | レーダー・ナウキャスト(降水・雷・竜巻)
www.jma.go.jp  
 気象庁|竜巻等の突風データベース
www.data.jma.go.jp  
 竜巻への対応について - 岡谷市ホームページ
www.city.okaya.lg.jp  
 福岡管区気象台|竜巻Q&A
www.jma-net.go.jp  
 気象庁|防災啓発ビデオ「急な大雨・雷・竜巻から身を守ろう!」
www.jma.go.jp  

Text:sKenji

最終更新:

コメント(2

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  • H

    habihabi64

    ありがとうございます!気をつけます。

    • S

      sKenji

      コメントありがとうございます!自分も気を付けたいと思います。
      万が一、発生した時は湯船に避難します!