夏は積乱雲が発達して落雷が増えるシーズンです。特に暑い日が続いている最近は大気の状態が不安定で危険性がよりいっそう高まっています。そこで、今日は落雷について調べたいと思います!
雷について
稲妻は見たことがあっても、その発生原理などについてはあまり知られていないかもしれません。雷は、雲の中にある大きさの異なる氷の粒がぶつかることにより正負の電荷分離が起こり、放電する現象と言われています。一般社団法人 日本雷保護システム工業会のWEBサイトに詳しく書かれているのでご紹介します。
雷雲の発生についての代表的な説を紹介します。
太陽の熱で大地が暖められると、地表に近い大気中の水蒸気は上昇気流となって上昇し、上空に達すると冷却されて水粒氷粒になって雲になります。
通常の雲はこのようにして形成されますが雷雲の場合は、大規模で強力な上昇気流が継続して発生することが必要条件となります。
雷雲の中には強い上昇気流があり、この中で大きい氷の粒(あられ)と小さな氷の粒(氷晶)がぶつかり合います。
あられはマイナス(-)の電気(電荷)を帯び、重力の作用で下方に移動します。小さい氷の粒はプラス(+)の電気(電荷)を帯び、上昇気流に吹き上げられて上方へ運ばれます。その結果、雷雲の中では上方にプラス(+)の電気が集まり、下方にマイナス(-)の電気が集まります。また、下の方には、別の方法でできる『ポケット電荷』と呼ばれるプラス(+)の電気も部分的に蓄積されます。雲の中や雲どうしのプラス(+)とマイナス(-)の電気の放電を雲放電とよびます。
雷雲中の電気と大地の間の放電を落雷と言い、建築物や設備機器及び人体の被害等は、この落雷により起こります。
雷は一見すると、一気に雷雲から地表に落ちているように見えます。
しかし、実際は最初に雲から地面に向けて「先行放電」と呼ばれる電気の流れが数十メートル進んで止まり、さらに空気中の伝達しやすい経路を見つけては数十メートル進むということを繰り返しているそうです。先行放電の速さは秒速100kmほどと言われています。
先行放電が地面の直前まで達すると、今度は主放電と呼ばれる地面からの放電が発生して先行放電の経路を通って流れます。主放電の速さは秒速10万kmと言われています。
雷がジグザグなのは、先行放電の経路が真っ直ぐではないからだそうです。
雷雲が発生した場合について
以前、雷は金属に落ちると言われていましたが、今では高い場所に落ちる(※正確には先行放電が進んで停止した状態の時に一番近くにあるもの)ということが広く知られています。
落雷には、直接人体に落ちる「直撃雷」と樹木などの落ちた雷が人体に飛び移る「側撃雷」などがあります。
雷が落ちる危険性は、雨が降り出す前、「ゴロゴロ」という音が聞こえて来た時にはすでにあります。
落雷の恐れがある場合は、ビルや住宅(※木造家屋でもOK)、車の中などに避難します。屋内では全ての電気器具、天井、壁から1m以上離れるとさらに安全です。
もし、近くに安全な建物などがない野外にいる場合は、傘や釣り竿、ゴルフクラブなど長い物体は体から離れた地面に寝かせた状態で、次のような避難行動をとることが望ましいとされています。
■安全な建物などがない場合の行動
電柱や鉄塔など、高い物体の近くに避難します。ただし物体が低すぎても高すぎても落雷の危険性があります。5~20m(※5~30mという説も有り)の高さのもので、先端から45度以内が安全と考えられています。ただし、物体に近すぎると側撃雷を受ける恐れがあるので、4m以上離れるようにします。
樹木の場合は全ての幹や枝、葉などから4m以上離れるようにしますが、できない状況では最低でも2m以上離れた方がよいと言われています(※ただし、2m以上離れていても亡くなっている事例も有ります)。
避難できる高いものが無い場合は両足を揃え、膝を抱えるようにしゃがんでやり過ごします。この時、鼓膜が破れないように指で両耳をふさぎます。
落雷の直前は地面の電位変化により、「口の中に鉄の味のような異常な味が広がる」、「髪の毛が逆立つ」、「皮膚がビリビリする」という報告もあるそうです。
雷雲が無くなったら(※目安は雷の活動が終ってから20分以上経過後)、安全な場所に避難します。
雷を発生させる積乱雲は、発生から消滅までは、通常およそ1時間弱と言われています(※積乱雲1個当たりの時間です。複数の積乱雲が発生している場合は数時間以上続く場合があります)。
ちなみに金属は身に着けたままでいいそうです。また、よく言われていた「落雷から数秒間は次の雷が落ちない」というようなことはなく、連続して落ちることもあるそうです。
雷雲発生前の安全な場所への避難について
落雷対策で一番有効なのは、雷雲が発生する前に安全な建物や車へ避難することです。
例えば、AMラジオをつけて「ガリガリ」というノイズが発生している場合は50km以内に雷雲が発生している可能性があると言われています(※ただし、最近の高性能なラジオは雑音を消すためにノイズは発生しないとも言われています)。
また、気象庁では「雷ナウキャスト」と呼ばれる雷予報も行っているので参考になります。雷ナウキャストは、雷の激しさや可能性を1km格子単位で解析し、その1時間後(10分~60分先)までの予測を行うもので、10分毎に更新して提供しています。
天気予報で「大気の状態が不安定」、「雷を伴う」という表現があった場合は雷雲発生の可能性があるので、雷ナウキャストやAMラジオなどでチェックするといいかもしれません。
落雷は年間100万回以上発生していると言われています。そして、8月は雷雲が特に発生しやすい季節(※)ですので、気を付けてレジャーを楽しみたいですね。
(※日本海側では冬に一番雷雲が発生すると言われています)
参考WEBサイト
Text :sKenji
最終更新: