お昼を食べ終わると天上山で最も大きいと言われる不動池へ。
池には龍神が祀られているという小さな中洲がある。霧と中洲、そして池の周りにあるコケが作りだす光景は今回の登山で一番幻想的なものであった。
不動池の後は、表砂漠を経由していよいよ最高地点へ。
展望は全くなかったけれども、それでも頂上に立った時の達成感は格別である。たとえ低い山であっても、山容や風景が素晴らしい山ならば、高峰に勝るとも劣らない充実感がある。
頂を踏むと白島下山口へ向かい、山を下り始める。
同じ山、しかもほぼ同程度の標高にあるにも関わらず、天上山の2つの登山道の趣は全く異なるものであった。
黒島登山口からのルートが急斜面に作られ、眺望の開けた開放的なものであるのに対し、白島登山口からのルートは比較的なだらかで、うっそうとした林の中の道である。
眺望を良さや日本アルプスの森林限界線の上のような風景が好きな方には、黒島登山ルートがおすすめである。
下山口から1時間ほど歩くと白島登山口にたどり着き、登山は終了。
天上山は大海原とダイナミックな地形を一望できたり、砂漠と呼ばれる荒涼としたエリアや池が点在するなど、その魅力は個性的で変化に富んでいることにびっくりする。
そして何より、児童から大人まで多くの人が日本アルプスにも劣らないような風景を比較的容易に楽しむことができることに驚嘆せずにはいられなかった。
離島であるために本州から登山口までのアクセスは大変ではある。しかし、それを差し引いても、登る価値が天上山にはあり、登山経験の長さに関わらず、全ての人が来てよかった、また登りたいと思ってしまう山だと思う。
誰でも日帰りで登れる山であることから、特に小さなお子さんや登山を始めてみたいと考えている方におすすめしたい名峰である。
神津島の島名は、伊豆の島々を作る際、神々が集って相談した島であったという言い伝えに由来するという。天上山の最高地点の近くには、伊豆七島の神々が集まり島の豊かな水の分配について話し合ったと言われる場所もある。
一瞬晴れた時に見えた眺望、霧の中の幻想的な池や砂漠などを目の当たりにすると、これらの伝説が生まれたのもわかるような気がしてしまう。神津島の最高峰はその名の通り天の上にある庭園のような場所であった。
今回は霧のかかった幻想的な光景であったが、次は晴れ上がった眺望を楽しみにこの山に登りたいと思う。
天上山
参考WEBサイト
Text & Photo:sKenji
最終更新: