港に着くと翌日の船便で帰る埼玉ガールズなど、青ヶ島で出会った旅人と八丈島で知り合った島の人が見送りに来てくれていた。
港で一緒に写真を撮り、東京・竹芝桟橋行きの船、橘丸へ乗船する。
船が岸壁から離れ始めると、見送りに来てくれた人たちが大きく手を振った。自分たちも答えるように振り返す。船旅ならではの旅情があった。
もう少し島に残りたいという気持ちをよそに、橘丸は桟橋からどんどん離れて行った。見送りに来てくれた人たちは、船が埠頭の突端を回って見えなくなるまで手を振り続けていた。
底土港を出た橘丸は途中、御蔵島、三宅島、大島に寄港して夜、予定通りに東京・竹芝桟橋に到着。夕方、東京湾から見た夕日と富士が素晴らしかった。
島旅の魅力
東京とは思えない亜熱帯の孤島、青ヶ島と八丈島。しかし、暖かいのは気候だけではなかった。島の人は親切な方が多く、話をしているだけで心が暖かくなってきた。ゆっくりと流れる島の時間が、そこに住む人の心にも穏やかさやゆとりをもたらしているのかもしれない。
青ヶ島で歩いている時に車とすれ違うと、決まって運転している人が会釈をしてくれる。こちらもぺこりとお辞儀をする。ちょっとしたことかもしれないが、そんなことにささやかな幸せを感じる。時には「どこまで行くんだ?」と声をかけてきて乗せてくれることも珍しくなかった。
八丈島では、道を尋ねた地元の方たちの表情がとても穏やかであった。今回の島旅の前にベトナムを旅行したのだが、微笑みに溢れていた同国とどこか共通するものがあった。
久しぶりに行った島の旅。忘れかけていた離島の魅力を思い出し、再び取りつかれそうである。
青ヶ島を目の前にしたの船上で、ひとりの旅行者がこんなことをつぶやいていた。
「念願がかなった今、次の夢はいったいなんだろう」と。
八丈島から東京に戻る船上、私もふと同じことを思った。
<GW島旅レポート 終り>
青ヶ島
参考WEBサイト
Text & Photo:sKenji
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