【救急の日】安易な救急要請により、命が失われるかもしれない

sKenji

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今日9月9日は「救急の日」です。救急医療や救急業務に理解と認識を深めることを目的として、1982年に定められました。

毎年9月9日を中心に「救急医療週間」が設けられ、全国各地で応急手当などの講習会が実施されています。今年は9月7日から9月13日までとなっています。

救急車の出動件数が増加につれ、平均到着時間が遅くなっている

以前、地元の消防本部で受講した「上級救命講習」で学んだ救命処置や応急手当などについて、ぽたるページでご紹介しました。

 【ぽたるページ】救命講習受講レポート ~前編・応急手当~ - By sKenji - ぽたる
potaru.com
 【ぽたるページ】AED、高い設置率、低い使用率 ~AEDの使用手順について~ - By sKenji - ぽたる
potaru.com

その救命講習を受けていた時のことです。教えて下さっていた消防士の方が、救急車の要請について、

「本当に緊急性があるときのみ、救急要請をしてほしい」

という旨の話をしていました。特にここ数年、緊急性がないと思われる状況でも救急車を要請するケースが増えているようです。

東京都のデータですが、昨年に東京消防庁管内の救急出動は42秒に1回の割合で発生しています。出動件数は年々増えており、それに伴い救急車が現場に到着する時間も伸びています。

平成21年には出場件数が約66万件、平均到着時間が6分18妙であったのが、昨年は出場件数が約75万件、到着時間は7分54秒となっています。
4年間で平均「1分36秒」到着が遅くなっています。

この「1分36秒」という数字は何を意味するのでしょうか。

下記のグラフは、心肺などが停止してからの経過時間と生存率の関係を示した救命曲線です。

左側が「心臓と呼吸が停止」した際の救命曲線で、右側が「心臓停止、呼吸停止など個別」の救命曲線です。

カーラーの救命曲線
カーラーの救命曲線

www.city.kamakura.kanagawa.jp

まず、左側のグラフの「心臓と呼吸が停止した場合」ですが、救急車到着が1分36秒遅れることで、生存率がおよそ5~8%ほど下がっています。

次に右側のカーラーの救命曲線で呼吸停止のケースを見てみると、呼吸停止後6~8分の間は、生存率が急激に変わっています。

消防庁の公表資料によると、昨年救急車で運ばれて亡くなった方は81,134人います。救急車の到着が1分36秒遅れることの意味が救命曲線から見えてくるかと思います。

心肺停止状態で搬送されて命を取り留めた方でも、救急車の到着が遅れることにより、後遺症が残る確率も増加します。

救急要請の50%以上が軽症。なかには不要と思われる要請も

消防庁の公表資料によると昨年、救急車の出動件数の50%以上は軽症だったそうです。救急車を呼ぶほどの重症かどうかについては、一般の人では判断が難しいケースがあるかもしれません。しかし、明らかな軽症であるにも関わらず救急要請をするケースが増えていると今年3月28日付の産経新聞が報じています。

極端な事例かもしれませんが、消防庁が公表している資料によると「病院で長く待つのが面倒だから」、「今日入院予定日だから、病院に行きたい」といった理由や「歯が痛い」、「蚊に刺されてかゆい」、「海水浴で日焼けした」などという軽度な症状で救急車を呼んだケースもあるようです。

適切ではないと考えれる救急要請は全国的にあるようで、私が地元の消防本部で救命講習を受けた際にも、消防士の方から同様の事例を聞きました。

どのような場合に救急要請をすべきなのか

適切な救急車の利用と言っても、判断が難しい場合もあると思います。本来、要請すべきケースであるにも関わらず、ためらってしまうことは絶対にあってはいけないことです。消防庁のWEBサイトには、救急車を要請すべき症状について書かれていますので一部をご紹介します。

◆ためらわず救急車を呼んでほしい症状:大人◆
<身体の部位にでる症状>
■頭
・突然の激しい頭痛
・突然の高熱
・支えなしで立てないぐらい急にふらつく
■顔
・顔半分が動きにくい、あるいはしびれる
・ニッコリ笑うと口や顔の片方がゆがむ
・ろれつがまわりにくい、うまく話せない
・視野がかける
・ものが突然二重に見える
・顔色が明らかに悪い
■胸や背中
・突然の激痛
・急な息切れ、呼吸困難
・胸の中央が締め付けられるような、または圧迫されるような痛みが
2~3分続く
・痛む場所が移動する
■腹
・突然の激しい腹痛
・持続する激しい腹痛
・吐血や下血がある
■手足
・突然のしびれ
・突然、片方の腕や足に力が入らなくなる

<その他>
■意識の障害
・意識がない(返事がない)又はおかしい(もうろうとしている)
・ぐったりしている
■けいれん
・けいれんが止まらない
・けいれんが止まっても、意識がもどらない
■けが・やけど
・大量の出血を伴う外傷
・広範囲のやけど
■吐き気
・冷や汗を伴うような強い吐き気
■飲みこみ
・食べ物をのどにつまらせて、呼吸が苦しい
・変なものを飲み込んで、意識がない
■事故
・交通事故にあった(強い衝撃を受けた)
・水におぼれている
・高所から転落

◎その他、いつもと違う場合、様子がおかしい場合

消防庁:救急車を上手に使いましょう

逆に下記のようなケースでは、基本的に適正な利用と言えないようです(※例外を除く)

・夜中に診察してくれる病院がわからない
・救急車で行けば優先して診察してくれる
・タクシーだとお金がかかる
・診察の予約日だから

救急車の適正な利用のお願い (救急車を上手に使いましょう)|三島市

その他「爪がはがれた」、「ねんざ、打撲」等も基本的に緊急性を要するものではないそうです。

以上、大人の方についての救急車要請の適否の一例です。15歳未満の小児向けについても、下記に記載がありますので小さなお子様がいらっしゃる方は、一読しておくといいかもしれません。

 救急車を上手に使いましょう(消防庁)
www.fdma.go.jp  

助かるかもしれない人が、命を落とすかもしれない

救急車や救急医療は限られた資源と言われています。その貴重な資源を緊急性がないにもかからず安易に利用することにより、助かるかも知れない人の命が失われるかもしれません。

救急の日の今日。どのような症状の時に救急要請が必要なのかなど、一度確認しておく日にするのもいいかもしれないですね。

参考WEBサイト

 東京消防庁<広報テーマ(2014年09月号)>
www.tfd.metro.tokyo.jp  
 平成25年度版 救急・救助の現況(出典元:消防庁)
www.fdma.go.jp  
 救急出動591万件、4年続けて最多更新 2割は明らかな軽傷で救急車 - MSN産経ニュース
sankei.jp.msn.com  

紹介:sKenji

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