2015年7月28日 今日の東電プレスリリース

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7月28日(火曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。

「日報」に登場する主な施設(Google Mapに加筆)
「日報」に登場する主な施設(Google Mapに加筆)
 福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年7月28日
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【まとめ】今日の東電プレスリリース「ここがポイント」
 【まとめ】今日の東電プレスリリース「ここがポイント」
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※ 情報を追加して更新します

1号機建屋カバー屋根パネルの取り外しを開始

※7月28日午前6時59分、1号機原子炉建屋カバー屋根パネルの1枚目(南3)の取り外し作業を開始。ダストモニタおよびモニタリングポストの値に有意な変動がないことを確認。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年7月28日

クレーンカメラ映像
クレーンカメラ映像

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福島第一原子力発電所1号機 建屋カバー
屋根パネル(1枚目)の取り外しについて

本日、1号機建屋カバーの屋根パネルの取り外しを行いました。
放射性物質濃度を監視しているダストモニタや敷地境界に設置してあるモニタリングポストに有意な変動はありませんでした。

<概要>
作業日
2015年7月28日

作業時間
6時59分:屋根パネル吊り上げ開始
7時38分:屋根パネル仮置き

福島第一原子力発電所1号機建屋カバー屋根パネル(1枚目)の取り外しについて|東京電力 平成27年7月28日

1号建屋山側
1号建屋山側

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1号建屋山側全景(この項の写真は3枚とも「福島第一原子力発電所1号機 建屋カバー屋根パネル(1枚目)の取り外しについて」撮影日:2015年7月28日 撮影:東京電力株式会社)
1号建屋山側全景(この項の写真は3枚とも「福島第一原子力発電所1号機 建屋カバー屋根パネル(1枚目)の取り外しについて」撮影日:2015年7月28日 撮影:東京電力株式会社)

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重要な電源装置に事故(警報発生)が連続

※7月28日午前8時25分頃、6,900V電源盤(M/C2B)の地絡警報が発生したことを確認。また、5号機中央制御室において、6,900V電源盤(M/C5F)の地絡警報が発生したことを確認。状況を確認したところ、運転中であった窒素ガス分離装置(B)の停止および陸側遮水壁用のすべての冷凍機の停止を確認。窒素ガス分離装置については、A系が運転しており、窒素供給には問題がない。
現場の状況を確認した結果、以下の設備に異常がないことを確認。
・1~3号機原子炉注水設備
・1~3号機燃料プール冷却設備
・共用プール冷却設備
・モニタリングポスト
・構内ダスト放射線モニタ

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年7月28日

「M/C」とはメタルクラッドという電源設備の略称。福島第一原子力発電所1~4号機では、炉心や使用済み燃料プールの冷却、汚染水処理などさまざまな設備で使用する電力を、冨岡町にある新福島変電所から6万6000キロボルトの送電線2系統で発電所構内に送っている。それぞれの系統で受電し、構内用に6900キロボルトに電圧を下げたものをメタルクラッドで受けた上で、それぞれの施設に配電している。

今回、地絡(電路から大地に電流が流れること。漏電と同じく危険な現象)が発生したメタルクラッド2Bは同2Aとともに、1~4号機に関連する多くの設備・施設に電気を送る極めて重要な施設だった。

メタルクラッド2Bは、その下流側に接続されたメタルクラッドを通して、原子炉注水ポンプ、1号機~4号機の使用済燃料プール冷却系、タービン建屋滞留水移送装置、多核種除去設備、共用プール冷却系、原子炉格納容器ガス管理設備、さらに窒素ガス分離装置B(今回停止)、凍土遮水壁設備(今回停止)、計測用電源、建屋内照明、そして免震重要棟に電気を送る配電設備だった。

これらすべての施設・設備がストップしなかったのは、メタルクラッド2A系によるバックアップがあったためで、万一2A系にも同時に事故が発生したら、非常用ディーゼル発電機や電源車による送電を行わなければならない事態になっていた恐れがある。

メタルクラッド5Fについては、手元の資料でどのような設備に配電していたのかは不明だが、配電図によると2Bと接続するメタルクラッドで、6号機のディーゼル発電機に繋がっている。配電図で端と端に位置する両メタルクラッドで事故が発生したということは、その間に繋がっている他の配電盤や設備等に影響が無かったか懸念される。

◆地絡の原因はケーブルが収められたフレキシチューブの火災か

また、午前8時34分頃、多核種除去設備(ALPS)建屋西側において、電源ケーブルが収納されているフレキシブルチューブより白い煙があがっていることを発見したとの連絡が協力企業作業員よりあったことから、午前8時40分に双葉消防本部へ連絡。
その後、白煙の発生が止まっていることを、午前8時42分に確認。

多核種除去設備建屋近傍における白煙の確認については、双葉消防本部による現場確認の結果、フレキシブルチューブの火災であると判断。午前9時30分、同消防本部により、鎮火を確認。白煙が確認されたフレキシブルチューブには、6,900V電源盤(M/C2B)の負荷ケーブルが収納されていたことから、当該ケーブルに地絡が発生したことが原因で、ケーブルと接続している電源盤に地絡警報が発生したと判断。

火災発生時刻に、白煙が確認された箇所付近で防草シートの敷設作業を行っていたことから、現在当該作業との関連を調査中。なお、電源盤の地絡警報については、現在すべてクリアしており、本件について、けが人は発生していない。また、停止した窒素ガス分離装置(B)については、異常がないことを確認したことから、午後0時16分に起動し、午後0時34分に窒素ガスの供給を開始。陸側遮水壁用の冷凍機については、午後2時5分にシステムの運転を開始。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年7月28日

大きな事故につながらなかったことは幸いだが、メインの電路の2つのうち1つが止まる事態は重大だ。他の場所での地絡やトラブルの影響でフレキシチューブ内のケーブルが加熱・発火した可能性も含め、徹底した原因究明が求められる。

 【参考ページ】[電源設備ダウン]廃炉まで40年。設備更新は大丈夫か?
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廃スラッジ貯蔵タンク(A)変形の続報。放射性廃棄物を収めるステンレス製の貯蔵タンクが3メートルの水位差で変形していいものなのか?

※6月18日の移送作業時に確認した3号機廃棄物地下貯蔵建屋(以下、「FSTR建屋」という)の廃スラッジ貯蔵タンク(A)の変形について、原因調査の結果、3号機FSTR建屋の滞留水水位が、タンク内水位よりも最大で約3,000mm高い位置にある時期が確認されたことから、滞留水の水圧により、タンクに変形が生じたものと推定。3号機FSTR建屋から3号機廃棄物処理建屋への滞留水移送については、水質による影響がないことから7月29日より計画的(断続的)に実施する。なお、当該タンク内包水については、滞留水の水位を低下させた後、異常が確認されていないタンクへ移送する。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年7月28日

 【参考ページ】2015年6月23日 今日の東電プレスリリース
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変形が発覚した際の「今日の東電プレスリリース」

真夏日が続く中、作業員に熱中症発生

※7月27日午後5時54分頃、構内で汚染水タンク雨水抑制対策工事に従事していた協力企業作業員(男性)が体調不良を訴え、入退域管理棟救急医療室に入室し、医師の診察を受けた。診察の結果、緊急搬送の必要があると診断されたため、同日午後6時16分に救急車を要請し、午後6時43分に救急車にて福島第一原子力発電所を出発し、南相馬市立病院に搬送。当該作業員に意識はあり、身体に放射性物質の付着はない。
7月28日、診断の結果、熱中症(熱疲労)Ⅱ度と診断された。なお、頭部CTで異常がなく、輸液投与し、同日退院。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年7月28日

1号機

・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
加えて、
・1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水を1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中

※ タービン建屋地下滞留水の移送は停止中

2号機 使用済燃料プールの冷却を停止。停止予定は7月31日まで

1号機の冒頭3項目に加え、
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中

・使用済燃料プール循環冷却系停止中

※2号機使用済燃料プール(以下、SFP)代替冷却系について、当該系統の空気作動弁用コンプレッサの交換に伴う準備作業(コンプレッサユニットおよび防護柵のアンカー打設作業)を行うため、7月28日午前6時2分に停止。冷却停止時のSFP水温度は29.4℃。停止は7月31日までの予定で、2号機SFP代替冷却系停止時のSFP水の温度上昇率は0.136℃/h、停止中のSFP水温度上昇は最大で約11.4℃と評価しており、運転上の制限値65℃に対して余裕があることから、SFP水温度の管理上は問題ない。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年7月28日

3~6号機

◆3号機
1号機の冒頭3項目に加え、
・使用済燃料プール循環冷却系停止中
(6月30日には、6月29日午後1時46分SFP代替冷却系を起動と報告されている。また本日7月21日には、ポンプ交換のために一時停止した後再起動とある)
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中

※ タービン建屋地下滞留水の移送は停止中

◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。

◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

共用プール・水処理設備および貯蔵設備

新規事項なし

◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。

◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)停止中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・RO濃縮水処理設備停止中

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