富岡町は花の町

iRyota25

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原発から約10キロ。今年の3月にようやく警戒区域が解除された富岡町には、
いまもなお震災の爪痕と、原発事故の影響が色濃く残る。

そんな富岡町に初めて入った。
人の姿をほとんど見かけることのない町の中に、色とりどりの花が咲き乱れていた。

2013年6月22日
2013年6月22日

富岡駅近くの住宅前に咲いていたバラ。
湧きあがるような新緑にかこまれて、ひときわ色鮮やかだった。

通りに面した家の庭先で、たくさんの花が咲いている。

小学校近くの民家の玄関先に咲いていたトケイソウ。
花びらと、おしべめしべの形が、本物の時計のよに見える。
トケイソウは南国の果物パッションフルーツの仲間だ。
パッションフルーツの「パッション」は情熱ではなくて、
「キリストの受難」の意味だとか。

人の姿をほとんど目にすることのない町で見かけた受難の花。

暗示的だった。

被災地では、花の色が鮮やかになるという話を、
以前から、さまざまな場所で耳にしてきた。

このバラの花の紅もまた。

マンホールの蓋には、桜の花のレリーフが施されている。
この桜は夜の森公園の桜並木のイメージだろう。
富岡の町を歩いていると、
「花の町」として行政ががんばっていただけではなく、町の人たちに
花を愛する人たちがたくさんいたことが感じられる。

それにしても、このマンホール、まるでみどりの冠を付けているようだ。

こちらも富岡町のマンホール。
錆びているのは浸水地域だったから。

こちらの緑の冠は、なんだかヤンチャな男の子のような雰囲気だった。

新興住宅街になるはずだった、造成済みの土地には、野の花が咲き乱れていた。
タンポポ、アカツメクサ、ハルジオン、そして名前を知らない花々。

海へ向かう道沿いにも、多くの花が咲いていた。

桜とならんで町の花であるツツジ。
海辺近くの宅地跡にはヘラオオバコ。
そのほかもろもろの花々。
土壌の塩分に負けることなく咲いている。

住宅跡地に残された基礎を囲うように、
ハマナスが枝を伸ばし、ピンク色の花を咲かせていた。

2013年6月下旬。富岡の町の花々は、見にきてほしいと呼んでいるようだった。

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●TEXT+PHOTO:井上良太

最終更新:

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  • O

    ockn1006

    「時が止まったような」と口で言うのは簡単ですが、こういった写真で見ると時間は動いているんだなと感じました。

    パッションは「受難」っていう意味なんですね。
    「受難」を受けてもしっかりと咲いていて、植物も少しずつ復興しているのかなと思うと、やっぱり「情熱」と解釈したいなぁと思います。