島を忘れないでほしい ~伊豆大島台風災害~

sKenji

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「島を忘れないでほしい」

台風26号の災害から3か月が経過した伊豆大島の被災者の声だという。都知事選のニュースが紙面をにぎわすなか、1月16日付産経新聞では、次の記事を報じていた。

台風26号による伊豆大島(東京都大島町)の土石流災害は、16日で発生から3カ月を迎える。23日には都知事選が告示されるが、候補予定者の関心は2020年東京五輪や原発政策に向いており、島の復興についての訴えはほとんど聞こえてこない。各地に災害の爪痕が残る町で、被災者らは「島を忘れないでほしい」と悲痛な声を上げている。
(中略)
元町地区で書店を経営する成瀬田鶴夫(たづお)さん(54)も同じ思いを抱いている。都知事選のニュースは連日報じられているが、「島のことが忘れられている」と嘆く。
 成瀬さんの自宅は土石流災害で氾濫(はんらん)した「大金沢」の流域にあり、全壊した。今後台風が島を襲った場合、再び危険に直面する恐れがあるが、大金沢流域を今後どうするかについての方針は決まっておらず、自宅を再建するかどうかも決められない状況が続く。

【都知事選】「復興、忘れないで」伊豆大島土石流から3カ月、島民と温度差 +(1/2ページ) - MSN産経ニュース

台風26号が伊豆大島を襲って3か月以上が経ち、報道されることが減った大島の台風災害についてもう一度考えてみたいと思う。

台風26号について

伊豆大島に大きな被害をもたらした台風26号は、2013年10月10日21時にマリアナ諸島で発生した。その後、大型で強い勢力を保ったまま16日明け方に伊豆諸島北部を通過し、同日15時に三陸沖で温帯低気圧となった。

この台風により、伊豆大島では1時間に122ミリの猛烈な雨が降り、24時間の雨量が824ミリに達したという。この量は10月の平年雨量の倍以上だという。

 参考WEBサイト:内閣府 防災情報のページ
www.bousai.go.jp  

伊豆大島の被害状況

台風26号により、伊豆大島では36名の方が亡くなり、3名の方が行方不明となっている(2014年1月29日現在。伊豆大島以外でも4名の方が亡くなっている)。建物被害は379棟あり、このうち住宅は152棟(うち全壊71棟)となっている。被害を大きくしたのは、大量の雨が一度に降ったことにより発生した土石流である。大島町の災害対策本部などの情報によると、土石流は16日午前3時ころ、島西部の三原山外輪山の中腹が幅950メートルにわたって崩落。そこから西の海側に向かって流れ、元町地区を襲い、多くの方が犠牲になったという。避難指示を出さなかったことも被害を拡大させた原因ではないかと、町の対応に疑問も投げられていた。

伊豆大島の現状と復興状況

伊豆大島では、台風26号の後も、10月19日、25日に大雨と台風により、避難勧告がだされている。内閣府公表の情報によると、2013年11月25日時点で、島外避難者46名、島内避難者が27名いる。東京都が、元町地区の小学校跡地に計46戸の仮設住宅を建設し、30世帯90人の方が、今月25日より順次、仮設住宅へ入居し始めている。仮設住宅の入居期間は原則2年間という。

伊豆大島の復興状況だが、大島町は2013年12月6日に災害復興本部を設置し、17日に「大島町土砂災害復興基本方針」を策定している。基本方針によると、「被災者生活再建支援」、「地域基盤・インフラの復旧」、「産業・観光復興支援」及び「防災まちづくりの強化」を復興計画の柱として、今後は、応急的な復旧事業から本格的な復興に向けた取組を実施する段階へと移行していくという。

 東京都大島町公式サイト【大島町土砂災害復興基本方針】
www.town.oshima.tokyo.jp  

「東京都防災ホームページ」によると、具体的な復興計画については、平成26年度に策定する予定とのこと。行政による復興はこれから始まるという状況のようである。

 東京都防災ホームページ:平成25年の台風第26号に対する東京都の対応
www.bousai.metro.tokyo.jp  

先行きを不安視する被災者

冒頭でも紹介した以外にも、先行きを心配する声がある。以下、1月17日付朝日新聞の記事に掲載されていた被災者の声。

財政力豊かな都が災害復旧のため、多額の予算を投入してくれる。だが、この日あった被災者の集まりでは「インフラにはどんどん金が回るが、被災者の生活再建は自己責任にされる」「道路が元通りになっても、そこに人が住まなくなれば意味がない」。そんな声が次々出た。

足元から (3) 伊豆大島:朝日新聞デジタル

「特需の後を考えなければ」と話すのは、前町長の藤井静男さん(68)。都の支援の大きさを痛感してきたが、観光など、自ら「外貨」を稼ぐ手立てを考える必要があるという。26日には恒例の「椿(つばき)まつり」が始まるが、「観光客は半減するのではないか」と危惧する。妻が営む郷土料理の店は災害後もにぎわってはいる。ただ、混み合うのは平日の昼間だけ。工事関係者や都職員など仕事で滞在する人たちが中心だ。団体客の予約は入らない。「経済の立て直しなしに復興はできない」

足元から (3) 伊豆大島:朝日新聞デジタル

伊豆大島の主要産業は観光業であり、平成22年に実施された国勢調査では、約77%の島民が第三次産業に携わっている。台風災害の風評により、観光客の減少が懸念されている。

 東京都大島町公式サイト【町勢データ:観光・産業】
www.town.oshima.tokyo.jp  

被災後、およそ3か月で早くも風化の声も聞かれますが、今後も伊豆大島の復興を注視していきたいと、冒頭の記事を読んで思います。

大島町・元町地区

 関連記事:伊豆大島・椿まつり開催! [1/26~3/23]
potaru.com

参考WEBサイト

 内閣府:平成25年台風第26号による被害状況等について(第30報)
www.bousai.go.jp  
 東京都大島町公式サイト
www.town.oshima.tokyo.jp  

Text:sKenji

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