火山災害について ~前編・火山災害の基礎知識~

sKenji

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日本は世界でも有数の火山国です。
世界におよそ1500あると言われる活火山のうち、110火山が日本にあります。
鹿児島県の桜島など、活発に活動している火山のほか、世界遺産登録が決まった富士山も噴火が懸念されています。地震に対しては意識が高いのですが、火山については知識が乏しいので、今回は火山災害について調べてみました。

マグマとは

火山に関する単語を辞書を引いてみると、

火山:地下のマグマやその生成物が地表に噴出して生じた地形のこと。
火山活動:地下のマグマやガスの上昇、地上への噴出とそれに伴う諸現象の総称。
     噴火や溶岩の流出、火山性地震など。

と記載されています。

火山や噴火について調べていると、頻繁にマグマという単語がでてきます。「高温で赤くドロドロしたのもの」というイメージしか思い浮かばない方もひょっとしたらいるかもしれませんが、マグマは地球のマントルが溶けたものです。

マントルとは、地球の中心部分にある核と地球表面部分の地殻の間にある岩石の層で、地球の体積の約80%を占めています。マントルは固体と考えられており、このマントルの一部が溶けたものがマグマです。

それでは、なぜ固体のマントルが溶けるのでしょうか。その原因は水にあると言われています。地球表面を覆っている海洋プレートが大陸プレートに沈み込む際に、水も一緒に地下深くにもたらされると考えられています。高圧下で水が加わると岩石の融点が下がり、マントルが溶けてマグマができます。マグマはその後、ゆっくりと上昇し、地表にでると火山噴火となります。

マグマの粘性や温度などの性質は、含まれる二酸化ケイ素の量によって異なってきます。例えば、二酸化ケイ素が50%前後の玄武岩マグマは、温度が約1200℃前後で、粘り気の小さい流動性の高いマグマとなり、70%以上の流紋岩マグマは、温度が850℃前後で、粘り気の大きい流動性の低いものとなります。

玄武岩マグマや流紋岩マグマなど、マグマの名前は、冷えて固まった時にできる火山岩の種類にちなんでつけられています。ちなみに、マグマが地表にでると溶岩とよばれます。

火山の種類

活火山という言葉を耳にすることがあるかもしれません。活火山とは過去1万年以内に噴火したことがある火山のことです。以前は死火山や休火山という言葉も使われていましたが、現在は、数万年に一度の割合で噴火する火山もあることから、これらの言葉は使われなくなっています。

火山は、伊豆東部火山群に代表される一回の噴火で作られる単成火山と、何度か噴火を繰り返してできた富士山などの複成火山に大きく分けられます。火山の形状はいくつかありますが、代表的なものを下記にあげます。

■形状による火山の分類
・盾状火山(たてじょうかざん)
 傾斜の緩い盾を伏せたような形をした火山です。
 溶岩の粘り気が少なく、流れやすいために火口から出てきても
 すぐに広がってしまい、緩やかに傾斜する斜面を持った火山です。
 複成火山です。代表的な火山として、ハワイ島のキラウエア火山があります。

・成層火山(せいそうかざん)
 火山灰や火山礫などと溶岩が積み重なりできた火山です。
 溶岩の粘り気は中間であり、円錐形をしています。複成火山です。
 代表的な火山として、富士山があります。 

・溶岩ドーム(溶岩円頂丘)
 溶岩の粘り気が強くて、流動性が低いために、
 火口近くに盛り上がった火山です。単成火山です。
 代表的な火山として、昭和新山があります。

粘り気が小さく流れやすいマグマは穏やかな噴火となり、粘り気が強く流れにくいマグマほど激しい爆発をともなう噴火となります。

話は少しそれますが、世界最大の火山が気になって調べてみました。
世界最大の火山は、タム山塊と呼ばれる海底火山で、日本の東約1600㎞の沖合にあります。
最近発見された火山であり、その裾野の広さは約30万平方キロメートルあります。北海道が約8万3,450平方キロメートルですから、北海道3.5個分以上の大きさの火山になります。これは、太陽系最大の火山と言われるオリンポス山に匹敵する規模だそうです。ちなみに、陸上にある最大の活火山は、ハワイのマウナロア山でおよそ5200平方キロメートルです。

火山の噴火について

火山が噴火すると、溶岩や火山性ガスのほかに火山砕屑物(かざんさいせつぶつ)と呼ばれる火山灰や大小様々な岩石がでます。
噴火の際に放出されるもので、新聞やニュースでよく目にする単語について、下記にまとめてみました。

■噴火の際に放出されるもの
・溶岩:   マグマが地表に流れ出たものです。
・火山性ガス:マグマ中の揮発性成分がマグマから分離して地表に放出された
       もののことです。成分のほとんとが水蒸気ですが、その他にも
       二酸化硫黄なども含まれています。
・火山灰:  直径2mm未満の火山砕屑物のことです。
灰と聞くと、新聞紙や木の燃えカスを想像してしまいますが、
火山灰は、細かいガラスや鉱物結晶などです。
・火山れき: 直径2mm以上64㎜未満の火山砕屑物のことです。
・火山岩塊: 直径64㎜以上の火山砕屑物のことです。
・火山弾:  噴火の際に放出され、空気中で冷やされて固まったものです。
       火山弾でも多孔質で軽く白っぽいものを「軽石」とよび、
       同じく多孔質で軽い黒っぽいものを「スコリア」とよびます。

噴火の際に「火砕流」という言葉を聞くことがあるかもしれません。
「火砕流」とは、火山灰・軽石・スコリアなどが火山ガスと混合して一気に火口から流れ下る現象のことをいい、大変危険です。
「火砕流」に対して、溶岩の流れは「溶岩流」といいます。

<火山災害について ~後編~ へ続く>
※後半は、火山噴火がもたらす被害などについて調べます。

 火山災害について ~後編・火山災害への備え~
potaru.com

参考WEBサイト

 NHK そなえる 防災|コラム|火山・降灰
www.nhk.or.jp  
 気象庁 | 気象等の知識 火山
www.jma.go.jp  
 火山災害の基礎知識|北海道釧路市ホームページ
www.city.kushiro.lg.jp  
 火山の活動
www.max.hi-ho.ne.jp  
 阿蘇山火山防災連絡事務所 ”火山に関係する用語”
www.jma-net.go.jp  

Text:sKenji

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